
加茂から大阪方面への乗り継ぎはスムーズで、さすがに便利が良い。
平城山あたりの賑やかな町並みを見ながら、奈良には20分ほどで到着する。
どうと言う目的が有るわけでもないが、折角だから少し奈良で降りてみる。

駅では、「せんとくん」が出迎えてくれる。
その「せんとくん」は今日全国各地で流行っている、いわゆる「ゆるキャラ」とは少し
趣が違いそれらとは一線を引いているが、平安遷都1300年を記念して誕生した公
式キャラクターであり、現在では県の観光マスコットに採用されている。

仏様が鹿の角を生やしたような風貌を「気味が悪い」「仏様を侮辱している」など
と物議をかもしたのは記憶に新しい。
しかしそう言った報道が逆に宣伝効果を高め、すっかり人気者に定着、兄の「鹿坊」、
祖父の「鹿爺」などその家族まで披露されたらしいが、残念ながらこの二人(?)には
まだお目にかかる機会がない。

降り立った奈良駅は連続立体化事業により駅舎は新しく成り、ホームも高架に
成っていた。その工事に伴い昭和9年に完成した当時の2代目の駅舎は、取り壊
される運命にあったらしい。
この駅舎は奈良の街並みを考慮して設計されたもので、大きな方形の屋根の上
に仏塔に見るような相輪を乗せた和洋折衷方式の堂々としたもので、歴史的価
値の有る名建築で有った。

取り壊しには当然のように反対の声が上がり、結局は曳家と言う方法で20メート
ル近く移動させ、現在では奈良市の総合観光案内所として利用し保存されることに
成った。古都奈良の玄関にふさわしい建物で有るだけに取り壊されなくて本当に良
かったと思う。(続)


