簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

四国遍路 ロッジ・尾崎

2010-05-31 | Weblog
6時半頃今晩の宿、ロッジ・尾崎に到着した。
先客の何人かは既にテーブルに付いて食事中だ。
先ずは風呂、部屋に案内され靴下を脱いで唖然とした。



よくもまあこんな足で歩いてきたものだ。
右足のマメは無数に重なり合って、マメの上にマメが出来ているようにも見える。
しかもそれらは完全に潰れている。
下の皮膚は赤く腫上がり、ところどころ裂けて血がにじみピリピリと痛い。
浮き上がった皮は、まるで水餃子の皮のような形状で醜く縮れ、ふやけている。



左足のマメはまだ大豆程度の大きさながら、数えて見たら5つほど出来ていた。
こちらはまだ潰れてはいないので、歩き方によっては、ズキンと痛みが突き上げる。
靴下を脱いだら、痛くて足の裏をまともに地に付ける事が出来ない。

風呂に入る。
しかし足を浸けると裂けたところがピリピリと沁みて痛い。
止む無く足の裏を湯から出し、不自然な姿勢で湯に浸かる。
湯の中は気持ちが良いが、こんな姿勢では長湯も出来ず、「ゆっくりする。その後洗濯を
する」と言う相棒を残し食事に向う。

先客は既に食事を終えている。
そんな人達が足のマメの話題に付き合ってくれる。
聞けば誰もが一度や二度はマメに悩まされてきたと言う。
いろいろアドバイスを貰った。

疲れた身体にビールが美味い。
40年前に始めたという女将のお母さんが話の輪に加わった。
「長いこと歩いてきた遍路さんが、夕食でビールを飲みすぎたのか、そこのトイレで倒れ
てしまって・・・大騒ぎになったことがあった。」
「体調を崩す人も多い」と昔を振り返った。
それほどこの土佐路は長く過酷な修行の道なのであろう。(続)


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四国遍路 尾崎の集落

2010-05-28 | Weblog
随分歩いたと思い時計を見ると僅か5分ほどしか経っていない。
段々に時間の感覚も距離の感覚も鈍くなってきた。
東海岸を行く国道は、この時間には日陰が多くなる。
その日陰に入るととたんに気温が下がり寒くなる。
相変わらず風も強い。



海岸線の先に集落が見えた。
「あの先に見えるのが尾崎の集落ですか?」
通りかかったジョギング中の男性に希望を持って訪ねてみた。
「いやあれは違う、あの先に見える岬を廻って、もう少し先に進んだところが尾崎だ。
集落の中の道が近いから左の道を行くといい」と教えてくれる。
随分歩いたような気がしていたが、後で地図を見ると佛海庵からはまだ1キロほどしか歩
いていない。
僅か1キロが、遠く、遠く感じられるようになって来た。

軒先で佇んでいた老婆が励ましてくれた。
尾崎の集落を尋ねると「まだ2キロほど先だ」と教えてくれる。
佐喜浜の港に臨む町中の道から、都呂の旧道を抜け、その先で再び国道55号に合流する。
ここまで来れば遠くに集落が見えるだろ・・との期待も虚しく、相変わらず見えるのは
青い海に迫る山、南下する国道だけ。
民家の姿は全く見えない。

足は悲鳴を上げている。
右足のマメは完全に潰れているようだ。
踵のマメは腫れ上がっているのだろう。
どうかすると激痛が突き上げる。
こんな右足を庇い続けて歩いてきたため、左足の甲の外側には疲労による鈍痛がある。



海に薄暗い帳が折り始めた6時過ぎ、はるか先に数件の建物が見通せるようになった。
今度こそ間違いなく尾崎の集落だ。
ようやく先が見えてきた。
42キロのゴールが近づいてきた。(続)

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四国遍路 遥かなる室戸

2010-05-26 | Weblog
高知県東部には強風注意報が発令されていた。
切り通しの小さな峠道に差し掛かると、海から物凄い風が吹きつけ、行く手を阻む。
砂を巻き込んで吹き付ける風に立ち往生する事もしばしば。
この頃足の痛みは両足に及び、充分な踏ん張りも利かないから尚更具合が悪い。
ここ何キロかは、足の痛みとの格闘が続いている。
心配した負の連鎖が始まってしまった。



気温は暑くも無く、寒くも無く丁度良い。余り汗をかくことも無い。
空も海も何処までも青く、海岸線の景色は申し分ない。
足の裏さえ痛くなければ・・・。
車なら楽しみな絶景だが、周りを愛でる余裕は無い。
歩けども、歩けども遠くに見える岬の景色は殆ど変わらない。
こんな中、固いアスファルトの上をただ黙々と足を前に出す動作を繰り返す。
歩いているというより、意識的に、機械的に、そうして強制的に足を運んでいるだけのよ
うな感覚だ。



時計の針は16時20分を指していた。
鯖大師から35キロ、歩き始めて9時間を過ぎた頃、小さな集落佐喜浜にある佛海庵に着いた。
昔の遍路は、波が打ち寄せ、石ころがゴロゴロと転がる海岸を歩き続けてきた。
そんな遍路の難渋を救うために築かれたのがこの庵だと言う。
ここで今晩の宿に連絡の電話を入れる。



「まだ6~7キロはありますから・・・」
宿の女将に言われ、「もう少し」と元気が出ると思いきや、まだそんなに有るのかと、
かえって落胆の方が大きくなってしまった。
足のダメージは結構大きく、これからは1時間4キロのペースは維持出来ず、休憩も多く
なるだろうから、2時間は優にかかる計算だ。(続)


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四国遍路 淀ケ磯の海岸線

2010-05-24 | Weblog
旧宍喰町に入ると道路の先にモスク調の建物と南欧のリゾートホテル風建物が見えてくる。
55号線沿い、大手海岸の真向かいにある道の駅宍喰温泉だ。



立ち寄り湯も有り、こんな疲れた日に温泉は最高なのだが、以前焼山寺を降りて神山温泉
に寛いで大失敗した。
過ちは二度犯すわけには行かない。
先程休んだばかりでもあり、ここは横目で睨みながら素通り。



ここから1キロ程の水床トンネルで県境を越えるといよいよ土佐路・修行の道場に入る。
歩き始めて4時間余り、道の駅東洋町でお昼休憩。



この頃になると右足のマメは明らかに大きく、指の付け根全体に広がり、そこだけではな
く踵にも出来ている様子で痛くて適わない。
左足は多少の痛みが有るものの幸い今のところダメージは少ない。

甲浦で逆打ちの女子大生遍路に出会う。
足を引きずって歩く我々に比べるとなんと足取りが軽いこと。
とても通し打ちをしている風には感じられない。
内妻で泊ると言う彼女に那佐のお接待所を紹介し、爽やかな元気を貰って別れる。



野根の町並みを過ぎると国道55号は、より海に近づく。
淀ケ磯と呼ばれる海岸線だ。



間近に急峻な山が迫り、切り開いた僅かばかりの隙間を縫って、うねうねと延びる国道は、
荒波を被りそうなぐらい海に近い。
国道が整備されていなかった頃、歩き遍路はこの波に怯えながら、砂浜道をひたすら歩い
たと言う。



ここら当たりでは沿道にお店は勿論、民家さえ見ることは無い。
コンビニで昼食を買っておいて正解だった。
国道脇には野猿が金網を越えてやってくる。凄いところだ。(続)


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四国遍路 瑠胡ちゃんの誕生日

2010-05-21 | Weblog
歩き始めて10キロ余り、2時間半以上経過していた。
休憩所が有ればそろそろ休みたいなぁ・・と話しながら宍喰町那佐に差し掛かったとき、
道路の左側に看板を見つけた。
ようやく休める・・と道路を横切り尋ねて見る。



“二日限りのお遍路さん休処”。
倉庫のような建物の中央にテーブルと椅子が置かれ、みかんやお菓子、飲み物が用意
されている。
ありがたく休ませて頂いていると、奥からここのご主人かと思しき人が現れ「立ち寄って
くれて有難う」との弁。
無人の休憩所かと思っていたので些かこちらも慌てて「いや、どうも・・・助かります・・」。



ふとテーブルの上に目を遣ると
“愛娘瑠胡(ろこ)8才の誕生日3月20日
全てに感謝を込めて19日・20日と二日限りの
心ばかりのお接待です!
少しばかり足を休めて下さい”
瑠胡(ろこ)ちゃんの写真を添えてこんな掲示がしてあった。



「今日は娘の誕生日なので昨日と今日、感謝を込めてお遍路さんの接待をさせて頂いてい
る」と言いながらサイフォンでコーヒーを煎れてくれるのだ。
テーブルのみかんを頂きながらコーヒーの出来るのを待つ。
「立ち寄ってくれるお遍路さんが少ないので・・・立ち寄ってくれた事が嬉しい・・・」と。



我々も今日はこれまで歩き遍路には誰とも出会っては居ない。
昨夜同宿だった遍路の何人かは、我々よりも早く宿を発って行ったからここを通った筈だ
が気付かなかったのか、はたまたまだ休む必要が無かったのか。

足の痛みが増し始めた時でもあったので、この一服はコーヒーの美味しさも有って本当に
ありがたい。
「たいしたことは出来ないが・・」と恐縮しきりなご主人では有るが、なかなかどうして
こんな事そう容易く出来るものではない。
ご主人の愛娘に対する並々ならぬ愛情を感じずにはいられないのである。



瑠胡(ろこ)ちゃん、真心のお接待を頂きました、ありがとう。
そして誕生日、おめでとう。(続)


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四国遍路 足の裏のマメ

2010-05-19 | Weblog
淺川の手前で左手に取る遍路道の分岐が有るが、今日も距離を考慮して国道を選択する。



歩き始めて1時間半ほどで「遍路小屋第一号 香峰」に出会う。



このころから右足裏に異変を感じ始めていた。
痛みがあるものの歩くことに支障が有るほどではないが、何となくヒリヒリと熱く感じるから、
マメの出来始めの兆候かも知れない。

ここで暫く休憩をする。
綺麗に清められた小屋の中央にテーブルが有り、その上に小さなクーラーボックスが置か
れていた。
訝って蓋を開けてみると、氷で冷たく冷やされたトマトが一杯納められている。
自由にお召し上がり下さいと有る。ありがたく一つ頂いてかぶりつく。
美味しい。
ひんやりと冷たくて感触の良い甘い果汁が喉を落ちていくと、ひと時疲れが吹っ飛んでい
くようだ。



阿波海南の駅前を過ぎ、国道に架かる新海部川橋への僅かな上りにかかる。
ほんの僅かな傾斜しか無い上りなのに、右足の親指の付け根辺りが異常に痛く成って来た。
明らかにマメが出来ている感触だ。



こうなると始末が悪い。
そのマメを庇おうとするから、どうしても重心が踵にかかり、今度はそこにマメが出来る。
右足がこんな状態に陥ると、右足裏全体を庇うから、今度は左足が過負荷になりそして痛
くなる。
最悪、ここにもマメが出来てしまうが今のところそういう状態ではない。



両足の裏が痛くなると歩き方にも変化が出始め、今まで何とも無かった太ももの付け根辺
りや膝に負担がかかり痛みを感じるようになる。
こうなるともう負の連鎖の始まりだ。
そうならないように注意して歩かなければならない。

右足のマメはますます成長を続けている様子。
親指の付け根辺りと踵に出来ているようだ。
何れの水疱もまだ潰れている様子は無いが、足の裏全体にピリピリとした痛みが走り出し
ている。(続)

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四国遍路 鯖大師縁起

2010-05-17 | Weblog
6時から本堂で朝のお勤めが有ると言うので行ってみる。
暖房が入っているとは言え、やはり本堂の空気はひんやりと冷たく気が引き締まる。
般若心経とその和訳を全員で読経、そのあとご住職の説教を聴く。
鯖大師縁起の行だ。



『この地で修行中の大師が、通りかかった馬子に「積荷の干塩鯖」を所望した。
馬子は「大事な商売ものだ、坊主にやる鯖は無い」と断った。
馬子が次の峠に向うと馬が俄かに倒れ動かなくなった。
先ほどの坊さんに、鯖をやらなかった事が気にかかった馬子は、引き返し、鯖を差し出し
謝った。



大師は「塩鯖が欲しかったのではなく、大切なのは布施の心なのだ」と教え、峠に向って
暫く合掌し「馬はもう元気になっている」と言った。
そして貰った干鯖を海に放つと鯖は生き返って勢い良く沖に向って泳ぎ去ったと言う。
それを見た馬子は、この霊験に発心してこの地に草庵を結んで出家した。
以来この地を鯖大師と呼ぶようになった』と言う。

しかし、最近では「さすがに干した鯖が生き返る筈は無い・・」と言う事で「泳いで行く
かの如く見えた」と言い改め、ご住職もこう話しをしてくれた。



7時過ぎに宿を辞し、室戸へ向けて長い道のりを踏み出す。



今日の泊まりは尾崎にある旅館で、そこまでの行程は42キロ余り先となる。
かつて一日にこれだけの距離を歩いたことは無く一抹の不安が無いでもない。
昨日の疲れは、表向きは残っていない。



足も多少痛みはあるものの今のところ問題は無い。
今日は立ち寄る札所も無く、唯ひたすらに歩き続けるだけだ。(続)


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四国遍路 大荒れの天気

2010-05-14 | Weblog
夜のお勤めを終えた後、乾燥した洗濯物を取り込んでからテレビを見ることも無く(部屋
にテレビが無い)9時前には床に付いた。
しかし勤行で興奮した余韻からか、何時もより時間が早い性か、暫くは寝付かれなかった。

自身ではさほど疲れてはいないと思っていたが、昼間20キロ近く歩いた疲れはやはり残っ
ていたのかいつの間にか深い眠りに落ちていた。



ガサガサ、ゴトゴトと、何かがどこかに当たる音で夜中に目が覚めた。

強い風が吹いている。
その風が窓辺の何かを激しく揺らしているらしく音がする。
雨が激しく降っている。
強い風に吹付られているのか、時折ガラス窓を激しく叩く。
雷鳴が轟いている。
外が一瞬明るく光ったかと思うと、頭上でゴロゴロ、ドカドカと鳴り回り、ビリビリとガラスを
細かく揺する。

天気予報通りの大荒れの天気になってしまった。
相棒も目が覚めたらしく「明日大丈夫かな・・・?」
「朝までに上がっていれば良いが・・・」
暫くは翌日の天候の事が心配になって寝付かれなかったが、やはり疲れが無いわけでは
無いから、いつの間にかまた深い眠りに落ちていた。



朝、目が覚めると雨は上がっていた。
しかし昨夜の風はそのまま残り、木々を揺らし吹荒れている。
相当降ったのか道路にはかなりの水が溜まっている。
垂れ込めた薄い雲のベールなのか、春特有の霞なのか・・朝日は隠れて見えない。(続)

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四国遍路 勤行と食事の作法

2010-05-12 | Weblog
洗濯を済ませ、乾燥させていると食事の時間を告げる放送が流れる。
まだ乾燥が済んでいないので、済ませてからと思っていたら、お坊さんが呼びに来た。
「皆さんがお待ちなので・・・」
どうやら、食前に作法の説明とお祈りがあるらしい。
急いで食堂に向うと、10人ほどの泊り客は全員神妙な面持ちでテーブルに付いている。

お坊さんから今晩と明朝のお勤めの説明があり読経がある。
その後全員で“一粒の米にも 万人の労苦を思い 一滴の水にも 天地の恩徳を感謝し 
ありがたく頂きます” と食前の言葉を述べ食事となる。



なんだか今までの食事風景とは違い、皆寡黙になって、ただ食事を進めるだけ、そんな
厳粛な雰囲気が支配しているのか話が出にくい。
ビールが欲しかったが、とても飲める雰囲気ではない。

そして、食事が終わると今度は食後のことばを各々が述べる。
“今すでに有難き 食を受け 力、身に満つ 願わくば身を養い 心を修め報恩の道に 
いそしみます ご馳走様でした 南無大師遍照金剛”これでご馳走様となる。

7時から夜のお勤めが始まった。
四国霊場のご本尊の並ぶ全長88メートルにも及ぶ不動洞窟を、お砂ふみしながら護摩堂
の内陣に向う。



その薄暗い神秘さが、雰囲気を醸しだしている。
お香で手を清め、中央の祭壇を囲むように設けられた席に着きしばらくすると、僧侶に
よる護摩供養が始まった。
蝋燭のほのかな明かりに浮かび上がる憤怒の形相をした不動明王の前に、重いが良く通る
僧侶の読経が響き、鐘・太鼓の鳴り物が彩りを添える。
護摩木が焚かれ、大きく炎が立ち上がると祈願文が読み上げられクライマックスを迎える。



食事の作法も護摩供養も初めての体験であった。
いくら信仰心の薄い私でも、宗派が違っていても、さすがにこの厳粛な勤行を目の当たり
にすると、それはそれで不思議な感動を覚えるのである。(続)

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四国遍路 鯖大師本坊

2010-05-10 | Weblog
JR牟岐駅を右手に見て、ただ黙々とアスファルト道を歩く。
少し進むと左に遍路道への分岐があるが、地図で調べると国道より距離が長くなるような
ので、ここも迷う事は無い。



八坂トンネルの手前で初めて鯖大師の看板と出会う。
本坊までは後3キロの看板だ。
ここまで歩き始めて4時間が過ぎている。
足の疲れはさほどでも無い。
冗談も出ているからまだまだ元気だ。
今のところマメも出来ていない。
この分ならあと1時間もすれば今晩の宿「鯖大師」に到着出来そうだ。



牟岐を過ぎると、ここら辺りは入り組んだ海岸線が続く。
坂が八箇所、浜が八箇所連続している事から八坂八浜と呼ばれる風光明媚なところである
が、歩き遍路にとっては昔から難所として知られたところでもある。



折からの強風で立つ波が絶好なのか、海岸には無数のサーファーが豆粒のように沖に群れ
ている。
内妻海岸では少し休むだけのはずが、サーファーの妙技に見とれ、すっかり時間を取って
しまった。

16時少し前、小さな無人駅、JR鯖瀬駅に一両のジーゼルカーが止まった。
その下を潜る狭い道が奥に延びている。



その先に、四国霊場番外札所・八坂山鯖大師本坊がある。
そんなに広くは無い境内に参拝者の数は少なかった。
札所ではないから、こんなものかと思う。

境内奥に近代的な建物の遍路会館があり、そこが今晩の宿だ。
お参りを済ませ、早々と宿に入り、ゆっくりと湯船に浸かり疲れを癒す。
一夜明ければ、ここで阿波の“発心の道場”が打ち止めとなり、いよいよ“修行の道場”
土佐路に入ることになる。(続)

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