素直に初めから国道を歩いて行けば良いものを、この宿場町の街道筋には古い
ものは何も残されてはいないので、どうせ歩くなら繁華街をと一本東の筋を歩き
始めた。
交差点では右手に国道の車の流れも見通せるので、いつでも戻れば問題ないと歩
み続け、ふと気が付けば、車の喧騒が遠のいている。
南に向かい歩いてきたが、並走している筈の国道は、戸塚町の辺りで進路を少し
西に向けている。相当に歩いてからそのことに気付き、道を尋ねながらやっとの思
いで、その戸塚町の交差点に戻ったが、随分と余分に歩きロスをしてしまった。
交差点の目の前の社が八坂神社と冨塚八幡宮で、八幡宮は戸塚の総鎮守、この
地名の起こりとされた場所である。
ここら辺りから道は少しカーブしながら、ゆるく上り始める。
「大坂」或いは「戸塚の坂」と呼ばれる坂の始まりだ。
少し上った坂途中のコンビニ前に、宿の西入り口上方見附跡の石垣が残されて
いる。古くは松が植えられていたらしいが、今のものは樹高が低いので近年植え
替えられたもののようだ。
当時この「大坂」は箱根に次ぐ難所として知られていて、坂は二つの起伏から
なり、一番坂の上りが1町余り(凡そ110m)二番坂が30間あまり(凡そ54m)で、
松並木が続き、その先に富士山を望む絶景の地でもあったと言う。
今日の国道は上り始める戸塚町あたりの標高が13mほどで、吹上交差点辺りで
最高点を迎え、1.7Kmほどの間に標高70m近くまで上っている。
坂は昭和に入って、頂上を削り、底を埋め、傾斜を緩くするなど、何度も繰り返
された改修により、なだらかに均され長い坂に変貌したのだと言う。(続)
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