簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

おとしもの

2009-02-27 | Weblog
仕事先で財布を拾った。
色・形状から察するに小学校高学年から中学生位の女の子のものと思われる。
現金は入ってはいない。
拾った誰かが現金だけ抜いて、財布は捨てていったものなのか、そこん処は定かでは無い。
カードが数枚、その内の一枚は県立図書館の貸し出しカードで、裏に本人のものと思われる署名が有る。

これなら簡単に持ち主が分かると、電話帳を繰って県立図書館の番号を探しながらふと思った。
「個人情報の保護とやらで、住所・連絡先は教えてはくれないだろう」と。

捜すのを止め、夕方近くの交番に届け出た。
書類を書きながら交番のお巡りさんも同じ事を言っていた。

何日かして警察から一枚の葉書が届いた。
免許の更新にはまだ間が有るはずだし、警察に心当たりは無い。
訝りながら裏を返すと「拾得物件返還通知書」とある。

「あなたが平成○年○月○日拾得届出されました物件(財布)は、落とし主が判明し平成○年○月○日に返還することが出来ましたのでお知らせします。」と書かれていた。

あのときの財布が持ち主に届いたのだ。
しかも日付を見るとその翌日に届いたことになっている。
さすが警察だ、事が早い。

何時ものバスを乗遅れてまで届けた甲斐があったのだ。
先ずは良かった、良かった。


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バス転換場

2009-02-20 | Weblog
寒い冬の朝、何も無い吹きっさらしのバス停に、背中を丸めた老婆が寒そうにバスを待っている。
その前を何台ものマイカーが通り過ぎていく。

このバス停のすこし先にバスの方向転換場があり、バスが一台待機しているのが見えるが、運転席にドライバーの姿は確認できない。
座席に下がって休憩をしているのか、はたまた車内の清掃をしているのかは定かではないがバスの発車時刻までにはまだ間が有るらしい。

車での通りがかり眼にした光景である。
こんな寒い日に、あの老婆はあの場所で後どれぐらい待つのであろうか、他人事ながら気の毒で心配になる。

心情的にはドライバーが気を利かせ、早くバスに乗せてあげれば・・・と思う。
バス停は、道路から退避できる造りになっているのだから、多少早くバス停に横付けしたからと言って、交通の妨げにはならない筈だ。
時間調整なら、バス停でも出来るではないか。
それとも何か規則が有って、決められた時間にならないとバスを動かすことは出来ないのであろうか。

寒い中で、バスを待つのは辛いものだ。
まして乗ろうとしているバスが、すぐ目の前に見えているのだから・・・。


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蝋梅の花

2009-02-13 | Weblog
近所に蝋梅の大木が有る。
塀越しで見るだけで、幹の太さは解らないが、毎年この時期になると大きく広げた枝一杯に淡い蝋細工のような黄色い花を付け、辺りに落ち着いた芳香を放っている。

そんな蝋梅が我が家にも欲しくて、何年か前、お寺の縁日で一本購入した。
店のオヤジが、「日陰でもよく育つ丈夫な木」と教えてくれた背丈にも満たない若木には数輪の花が付き、いい香りを放っていた。
我が家では、一等地とも言える日当たりのいい場所に植えてみた。

花が終わり、薄茶色の枯れた花柄が目立つ頃になっても一向に若葉が出てこない。
冬枯れの落葉樹のように夏を越し、そのまま冬を越し、花を付けることも無く春を迎えた。
「枯れてしまったのだろうか?」もうひと夏様子を見ることにしたが、結果は同じ。
根鉢ごと抜いてしまおうとも思ったが、それも偲びがたく、地際から幹だけを切り落とした。

あれから何年経ったであろうか?
いつの間にか若芽を出し、幹を伸ばし、枝を張った蝋梅は、まだまだ細くて小さくて、他の植木に埋もれてしまいそうなくらいだが、今年も黄色い小花を一杯付け、芳香を放ち冬枯れの庭で存在感を示している。


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再就職

2009-02-06 | Weblog
思えば、趣味の無いことを取り繕うために「趣味は仕事!」と嘯いていた。
仕事があれば、たまの休みをブラブラと過ごす事も許され、それで何の不自由もなく過ごす事が出来た。
あの言葉が再び脳裏に甦る。「また仕事でも始めるか・・・」

そんな訳で定年退職して再就職するお父さんたちは結構多い。
企業が再雇用、定年延長でそのまま雇い続けるケースも増えた。
団塊の世代の大量退職時代を向え、求人広告に、“中高年者・定年退職者歓迎”の文字を多く目にするようになった。

とは言え、よほどのキャリアがあって、特別な資格や特技が有れば別だが、最近では、金融不安、雇用情勢の悪化から、再就職の道も甘くはないらしい。
しかし、変なプライドを捨てさえすれば、職種を厭わなければ、時給の安さを我慢すれば、我が子のような若者と共に働くことに多少の我慢が出来るなら、働き口は幾らでもある。
生活を賭けるわけではないのだからこれで十分だ。

幸い時期的に少し早かった私の職探しにさほどの苦労はいらなかった。
とは言え、希望していた職種への再就職は、面接で見事にふるい落とされた。
しかし、働ければ何でも良い、と開き直れば事は早い。

定年後始めたアルバイトも4回目の冬を迎え、今日もまたバスで通勤だ。


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