簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

アニモ・ミュージアム(津山線・乗り潰しの旅)

2019-06-05 | Weblog

 やがて車窓右手には旭川が近き、その堤防を見通すが、これから先同線は
その右岸を蛇行に沿ってほぼ北上する。
岡山駅から僅か二駅しか来ていないのに、この辺りまで来ると周辺は比較的
なだらかな山が取り囲み、目の前には広々地田圃が広がり、自然が豊かな閑
静な地となる。





 無人駅・備前原の駅前には無造作に何台かの自転車が放置され、駅舎のない
駅の1面1線のホームにも人影はなく、閑散と静まり返っている。
およそ市内の駅とは思えない簡素な作りで、この景色の変わりようにも、この
ローカルさにも驚かされる。





 そんな駅から、住宅地の群がる狭い道を10分ほど(500mほど)北に歩いたと
ころに、一見普通の住宅かと見まごうほど周囲に溶け込んだように、白い三角
屋根の「アニモ・ミュージアム(有森裕子資料館)」が建っている。
「アニモ」とはスペイン語で、「勇気」とか「気力」を意味する言葉らしい。




 
 五輪女子マラソンのバルセロナ大会で銀メダル、アトランタ大会で銅メダルを
獲得した有森裕子選手の栄光の足跡を展示する資料館で2003年5月に開館した。
ここは彼女の実家に隣接した地に、私財を投じた両親によって建設された施設で、
メダルやユニホーム、シューズなど所縁の品々が展示されている。

 備前原を過ぎると津山線は、旭川の蛇行を忠実にたどるように、玉柏、牧山、
野々口を経て金山に向かう。
ここら辺りでは、駅周辺に僅かばかりの民家が有るだけで、ほとんどは山また山
の風景で、そんな中右手に見え隠れする旭川の清流が車窓を楽しませてくれる。(続)


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岡山十勝地(津山線・乗り潰しの旅)

2019-06-03 | Weblog

 法界院を出た津山線の列車は、笠井山と妙見山を避けるようにその麓を巻き
ながら進む。
この笠井山一帯には、広大な敷地を岡山大学に明け渡した旧日本軍に代わり、
60年ほど前より陸上自衛隊三軒屋の駐屯地が展開している。
又妙見山は標高77mの小山で、山頂一帯は、「岡山十勝地の一つ三野公園」と
なっていて、旭川を望む桜の名所として知られている。







 この岡山県十勝地というのは、昭和10年地元の新聞社が事業企画「岡山県十傑
投票」を行い、大衆から県内の景勝地を投票させ、その投票結果から上位10カ所
を選び十勝とし、それに続く十五カ所を十五景として決めたものだ。
(岡山県立図書館データーベースより)

 「一ヶ月余りの投票総数は、一億二千二百二十四万三千百四十九票で、他にも
膨大な無効票が有った。全体を重ねると富士山の高さの四倍強、これを縦に長く
繫ぐと遠くニューヨークに達する。未曾有の熱狂裡に終了し、衆望を負うて十勝、
十五景、二十秀の決定を見た。(昭和10年11月15日 山陽新報)」
とその熱狂ぶりを伝えている。



 投票は後楽園と瀬戸内海は別格と位置づけ除外されていて、その他の場所から
一カ所をペン又は毛筆で記入する事を求めている。
その結果は多分に組織票も影響を与えたようで、一位は島から望む瀬戸内の景観
が評価された日生の鹿久居島で、一千万票を越えたと言う。



 第二位には備前の一宮の吉備津彦神社が入っているが、この時同社は本殿以外
を悉く焼失し再建中であったようだ。



 第三位に和気の独立丘陵である天王山が選ばれている。
石段を上がった頂上には天王神社が鎮座し、ここからは和気の町と金剛川の流れ
が一望できるが、広く一般に知られた所ではない。
現在では周囲に住宅などが建ち並び、独立峰を実感することは出来ない。
尚、この三野公園は三百六十万票余りで第十位であった。(続)


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