2015年8月31日 石川県
妙成寺
石川県 羽咋市 滝谷町
北陸における日蓮宗の本山です。1294(永仁2)年、日蓮聖人の弟子日像聖人が師命により妙法を京都に広めようと、佐渡から都上がりの途中、船中で能登石動山天平座主の満蔵法印(日乗聖人)を教化改宗し、一寺を建立したのが妙成寺の始めです。重要文化財の十棟は、加賀藩前田家初代から五代にわたって造営されたもので、特に三代利常は生母寿福院の菩堤(ぼだい)所として本堂、祖師堂、五重塔等を造立しました。前田家御用大工の坂上又三郎が親子三代にわたって腕前を披露し、桃山時代の雄渾華麗な面を遺憾なく発揮しているといわれています。
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▲ 総門
この総門は、同寺の正門で、寺院としては珍しい「高麗門」という装飾性の少ない城門の形式がとられていることが特徴です。寛永5年(1665)の建立。間口(幅)が約4.4㍍棟高約5.9㍍屋根は杮葺で左右に銅板葺の控屋根がつながれています。簡素な造りですが細部には宗教建築としての様式も認められます。
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▲▼二王門 重要文化財
寛永二年(1625)建立。単層三間一戸の楼門で屋根は入母屋造り棧瓦葺である。上階の中央に佐々木志津磨の揮亳による『金栄山』の山号額を掲げ正面中央を通路としその両脇に透連子窓を設け中に二王像が安置されているので二王門と称する。別名「山門」ともいう。仁王像は阿形、吽形である。
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▲▼鐘楼 重要文化財
寛永二年(1625)建立。純和様を以て作られ、袴腰と呼ばれる腰回りの板囲いは入母屋屋根とよく均整を保っている。本堂、祖師堂、五重塔と共に日蓮宗伽藍制度を象徴するものである。
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▲▼経堂 重要文化財
寛文十年(1670)建立。四代藩主前田光高の遺願によって建立。前一間通りを吹放しとし他は板壁を以て構成、天海版一切教を納める。北陸地方最古の法華経版木(応永22年)を蔵する。建築は室町時代を思わせる程の古式であり屋根の反りなど江戸期では数少ない美しさである。
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▼五重塔 重要文化財
元和四年(1618)建立。五重塔は日本最古の法隆寺五重塔以来、仏舎利をまつる仏塔で卒塔婆または塔婆と呼ばれる日本独自の美しい大塔である。総高34.18m、露盤下まで27.27m、方三間、屋根は栩葺(とちぶき)すべて円柱で初重では野面石の上に土台をおきその上に建て心柱は礎石上に建っている。心柱の直径1m、建物周囲には切目縁を廻らして擬宝珠高欄付、正面と両側面に五段の木階段を設ける。この栩葺(とちぶき)の屋根は五重塔としては全国唯一である。初重正面唐様の須弥壇があり羽目板に蓮の彫刻を入れてあるところは室町風といわれる。五重塔の美しさは相輪の高さとの比にあるといわれる。相輪は上から宝珠・竜車・水煙・九輪(宝輪)・請花・伏鉢・露盤によって成る。塔は相輪が最も重要なものにしてことに宝珠を一番大切にする。建立は元和元年に起工し四年の歳月をかけて前田家御用大工、坂上越後守嘉紹らによって竣工したことが棟札によって知ることができる。
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▲▼番神堂 重要文化財
慶長十九年(1614)建立。番神堂は、加賀藩第三代前田利常が大阪出陣の際、戦勝祈願のために建立したと古文書が伝える。一説には京都北野天満宮より移したとも伝える。内陣には日本の国神三十体を祭祠しているので三十番神と称し日蓮宗伽藍として重要な堂舎である。建物は和洋を基調とし純然たる神社建築で三間社流造、屋根は柿葺正面に軒唐破風がある。
柱も虹梁も上品であり蟇股等立派な出来である。桃山時代の技法をよく生かして洗練された美しさを表している。
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▼三光堂 重要文化財
元和九年(1623)建立。加賀藩第三代前田利常公の帰依により前田家御用大工坂上又三郎を棟梁として建立された。京都建仁寺流の流儀により桃山建築の粋を集めて建築された。正面桁行五間側面梁間五間一間の向拝をつけ屋根は柿葺入母屋造でこけら葺である。様式を祖師堂と比較すると平面計画や天井廻りに素密の差こそあれ唐様を主調とし驚くほど類似した建物である。このお堂は藩主前田家の武運長久の祈願を朝夕三光堂において行われていた。日天・月天・明星天の3光天を安置し三光堂と言われている。一名「鎮守堂」とも呼ばれている。
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▼三十番神堂拝殿
慶長十九年(1614)建立。桁行三間、梁間二間、入母屋造り、正背面に軒唐破風付屋根は柿葺。本殿と共に建てられたが明治六年、廃仏毀釈により同市円井町に売却される。平成三年三月解体修理し現在地に復す。本殿が和洋を基調としているのに対し拝殿は随所に唐様式を取り入れる。蟇股等は時代的特色を示し優美であり本殿と意匠を同じくしている。
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▼丈六堂(釈迦堂)
貞享三年(1686)建立。一丈六尺(5m)の立像の釈迦牟尼仏を奉安。一般に丈六堂とも呼ばれる。中正院日護上人作とされる。堂は桁行三間、梁間四間、重層入母屋造、昭和五十五年九月より一年をかけての解体修理完成。四柱を撤去し二柱寄せ棟造を重層入母屋造に桟瓦葺をこけら葺とし建立当時の姿に復元した優美な建物。
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▲釈迦牟尼仏
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▼本堂 重要文化財
長十九年(1614)建立。加賀藩第三代前田利常公の帰依により前田家御用大工坂上又三郎を棟梁として建立された。
京都建仁寺流の流儀により桃山建築の粋を集めて建築された。正面桁行五間側面梁間五間一間の向拝をつけ屋根は柿葺入母屋作りで基礎は亀腹を築き野面石の上に柱を建る。建物の各所に唐様の形式が用いられる堂々たる貫禄を示している。
伽藍の中心であるとともに礼拝の中心となる御堂である。昭和五十一年にこけら葺に復元した。本尊は一塔両尊、四天王四菩薩などである。
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▼庭園
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▲書院 重要文化財
万治二年(1659)加賀藩第五代綱紀が建立したと伝えられる。前田家代々の菩提と利常公生母寿福院殿、息女浩妙院殿の冥福を祈るための御霊屋を営んで併せて参拝のときの御座所として建てられたものである。装飾を多く用いず構造美を主とし江戸時代の建築であるが桃山時代の豪快な面を有する。(前庭は蓬莱形式で五重塔を背景にしている。)書院から五重塔を遠見する景観は賞賛に価する。
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▼祖師堂 重要文化財
寛永元年(1624)建立。前田家御用大工坂上一統の手によるもので方五間単層入母屋造、屋根は柿葺、本格的な唐様式で
軒の組物がまことに巧妙であり妙成寺建築物中出色の貴重なものである。内部は正面一間通りを外陣に両側面一間通りを脇陣とし中央部正面三間、側面四間に円柱を建てて内陣としている。内陣後方に須弥壇を設けその上に唐様の厨子を置く。須弥壇下の蓮華の彫刻並びに内法貫間の天人の彫刻は出色である。屋根両側面の妻飾りは桃山時代の特徴をよく表している。堂内の厨子も重要文化財に指定され宗祖日蓮大菩薩の尊像を安置する。中正院日護上人の作である。
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▼客殿 元和2年(1616)客殿を建立
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※記事は全て妙成寺もホームページより転記
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