3月にたけや製パンが発売した「いぶりがっこパン」を紹介した。
その時、「いぶりがっこ」が「雄勝野きむらや」という企業による登録商標であることを示す表示があり、そのことを初めて知った。
秋田では「いぶりがっこ」は漬物のひとつの種類を指す一般的な言葉として広く認知されていると思っていたので、とても意外だった。
気になって、特許庁ホームページで検索すると、その企業は「いぶりがっこ」という言葉ではなく、デザイン化された「いぶりがっこ」の文字(画像)を登録しているように読み取れた。商標に関する知識はないけれど。
ともかく、「いぶりがっこ」が独占的に使用される言葉としてはそぐわないと思った。「ずんだ餅」「南部せんべい」「きりたんぽ」等々と同じように。
4月16日に河北新報のサイトに、「<いぶりがっこ>名称使用巡り業者が対立」がアップされた。
これを読むと、雄勝野きむらやが、独自の拡大解釈をして自己主張しているに過ぎないと感じた。やっぱり「いぶりがっこ」という言葉は誰でも使えるもので、特許庁もそう判断していると受け取れる。
記事の最後では、他の業者や「秋田いぶりがっこ協同組合(奥州食品など11社が加盟しているそうだが、きむらやは入っていなさそう)」の人たちのコメントとして、「地域団体商標」を取得するなど、歩み寄って業界全体でいぶりがっこを盛り立てていくべきとしている。
その通りだと思う。
ある意味“内輪”でいがみ合っている間に、県外や下手したら海外の者によって新たな動きに出られて、秋田にとって不利(もしくは面倒)な事態になりかねない。
そもそも、「秋田いぶりがっこ協同組合」の名称だって「いぶりがっこ」の言葉を使っている。これについては、雄勝野きむらやがホームページにおいて文句を言っている。
さらに、報道各社の日頃の報道でも雄勝野きむらや以外が製造したいぶり漬けを指して「いぶりがっこ」の呼称が普通に用いられる。農家が作ったいぶりがっこのコンテスト「いぶりんピック」だとか、作業風景だとかのニュースにおいて。
河北新報の過去の記事にもたくさんの「いぶりがっこ」(検索結果画面を合成)
さらにさらに、秋田大学の学生が作ったいぶり漬けも、いぶりんピック主催者でもある横手市役所が地域の特産品として紹介し、秋田県観光総合ガイド「あきたファン・ドッと・コム」で紹介するのも「いぶりがっこ」。公的な機関でさえ、「いぶりがっこ」を使いまくっている。
あきたファン・ドッと・コム「秋田の食一覧」より
だったら、雄勝野きむらやさんは、各マスコミや秋大、横手市、秋田県にも、文句を言わないといけないのでは?
特定の企業のことを悪く言いたくはない。それぞれの利害もあるのでしょう。
だけど、いぶりがっこは秋田が全国に誇るべき、伝統の食文化。関係者のみなさんは、誰もが誇りと自信を持って質の良いいぶりがっこを丁寧に生産・販売しているはず。(まずいいぶりがっこを食べたことがない)
こんなことでは、もったいない。
なお、この件は、何月何日にというニュースではないからなのかもしれないが、河北新報以外では報道されていないと思う。
【7月14日追記】
2016年7月8日付秋田魁新報 社会面に、「「いぶりがっこ」名称使用OK?/特許庁 本県郷土食に一定の判断/「商標権を侵害せず」」とけっこう大きな記事が唐突に出た。
秋田いぶりがっこ協同組合が特許庁に対し、「きむらやだけが使用しているのはおかしいと特許庁に判断を求めていた。」
その結果、「特許庁は今年3月30日付の判定書で、いぶりがっこの名称は本県を中心に広く一般に使用、理解されていると指摘した上で、「商品の品質を表す語」とし、商標権には含まれないとした。」
きむらやの社長は「判定は真摯に受け止める」としたものの「今後も争うかどうかは状況を見て判断するとしている。」
昨年8月はきむらやが特許庁に文句を言って、今回は組合が特許庁にどうなのかと聞いたことになり、どちらも、特許庁はいぶりがっこという言葉は商標ではないと判断したことになり、結局、状況は変わっていない。
秋田県中小企業団体中央会は「業者同士が歩み寄るように支援していく考えだ。」とのこと。
【2017年1月26日追記】
2017年1月23日、上記の複数の生産者団体と県などによって「県いぶりがっこ振興協議会」が発足。地理的表示保護制度の登録申請を2016年度内に行うとのこと。
その時、「いぶりがっこ」が「雄勝野きむらや」という企業による登録商標であることを示す表示があり、そのことを初めて知った。
秋田では「いぶりがっこ」は漬物のひとつの種類を指す一般的な言葉として広く認知されていると思っていたので、とても意外だった。
気になって、特許庁ホームページで検索すると、その企業は「いぶりがっこ」という言葉ではなく、デザイン化された「いぶりがっこ」の文字(画像)を登録しているように読み取れた。商標に関する知識はないけれど。
ともかく、「いぶりがっこ」が独占的に使用される言葉としてはそぐわないと思った。「ずんだ餅」「南部せんべい」「きりたんぽ」等々と同じように。
4月16日に河北新報のサイトに、「<いぶりがっこ>名称使用巡り業者が対立」がアップされた。
・「いぶりがっこ」と表記した画像を商標登録した湯沢市の業者が、いぶりがっこの名称の商標権も持っていると主張するのに対し、他の業者は一業者にいぶりがっこの名称を独占する権利はないと反発
・雄勝野きむらやの社長は、「30年以上商標を使い、販売してきた実績がある。画像の商標に付帯して、いぶりがっこの名称でも商標権がある」と主張。
・一方、他の企業が2014年、「秋田 奥州食品 いぶりがっこ」と表記する画像を商標登録。
・これを受け、雄勝野きむらやは特許庁に対して奥州食品の商標登録に異議を申し立てたが、昨年8月、却下。
という流れだそう。・雄勝野きむらやの社長は、「30年以上商標を使い、販売してきた実績がある。画像の商標に付帯して、いぶりがっこの名称でも商標権がある」と主張。
・一方、他の企業が2014年、「秋田 奥州食品 いぶりがっこ」と表記する画像を商標登録。
・これを受け、雄勝野きむらやは特許庁に対して奥州食品の商標登録に異議を申し立てたが、昨年8月、却下。
これを読むと、雄勝野きむらやが、独自の拡大解釈をして自己主張しているに過ぎないと感じた。やっぱり「いぶりがっこ」という言葉は誰でも使えるもので、特許庁もそう判断していると受け取れる。
記事の最後では、他の業者や「秋田いぶりがっこ協同組合(奥州食品など11社が加盟しているそうだが、きむらやは入っていなさそう)」の人たちのコメントとして、「地域団体商標」を取得するなど、歩み寄って業界全体でいぶりがっこを盛り立てていくべきとしている。
その通りだと思う。
ある意味“内輪”でいがみ合っている間に、県外や下手したら海外の者によって新たな動きに出られて、秋田にとって不利(もしくは面倒)な事態になりかねない。
そもそも、「秋田いぶりがっこ協同組合」の名称だって「いぶりがっこ」の言葉を使っている。これについては、雄勝野きむらやがホームページにおいて文句を言っている。
さらに、報道各社の日頃の報道でも雄勝野きむらや以外が製造したいぶり漬けを指して「いぶりがっこ」の呼称が普通に用いられる。農家が作ったいぶりがっこのコンテスト「いぶりんピック」だとか、作業風景だとかのニュースにおいて。
河北新報の過去の記事にもたくさんの「いぶりがっこ」(検索結果画面を合成)
さらにさらに、秋田大学の学生が作ったいぶり漬けも、いぶりんピック主催者でもある横手市役所が地域の特産品として紹介し、秋田県観光総合ガイド「あきたファン・ドッと・コム」で紹介するのも「いぶりがっこ」。公的な機関でさえ、「いぶりがっこ」を使いまくっている。
あきたファン・ドッと・コム「秋田の食一覧」より
だったら、雄勝野きむらやさんは、各マスコミや秋大、横手市、秋田県にも、文句を言わないといけないのでは?
特定の企業のことを悪く言いたくはない。それぞれの利害もあるのでしょう。
だけど、いぶりがっこは秋田が全国に誇るべき、伝統の食文化。関係者のみなさんは、誰もが誇りと自信を持って質の良いいぶりがっこを丁寧に生産・販売しているはず。(まずいいぶりがっこを食べたことがない)
こんなことでは、もったいない。
なお、この件は、何月何日にというニュースではないからなのかもしれないが、河北新報以外では報道されていないと思う。
【7月14日追記】
2016年7月8日付秋田魁新報 社会面に、「「いぶりがっこ」名称使用OK?/特許庁 本県郷土食に一定の判断/「商標権を侵害せず」」とけっこう大きな記事が唐突に出た。
秋田いぶりがっこ協同組合が特許庁に対し、「きむらやだけが使用しているのはおかしいと特許庁に判断を求めていた。」
その結果、「特許庁は今年3月30日付の判定書で、いぶりがっこの名称は本県を中心に広く一般に使用、理解されていると指摘した上で、「商品の品質を表す語」とし、商標権には含まれないとした。」
きむらやの社長は「判定は真摯に受け止める」としたものの「今後も争うかどうかは状況を見て判断するとしている。」
昨年8月はきむらやが特許庁に文句を言って、今回は組合が特許庁にどうなのかと聞いたことになり、どちらも、特許庁はいぶりがっこという言葉は商標ではないと判断したことになり、結局、状況は変わっていない。
秋田県中小企業団体中央会は「業者同士が歩み寄るように支援していく考えだ。」とのこと。
【2017年1月26日追記】
2017年1月23日、上記の複数の生産者団体と県などによって「県いぶりがっこ振興協議会」が発足。地理的表示保護制度の登録申請を2016年度内に行うとのこと。