日曜日の秋田魁新報に3ページの「さきがけこども新聞」がある。別刷りや別料金ではなく、通常の紙面の中の3面分が子ども向けという形。【2018年4月からは別刷りになった】
週ごと毎月1回ずつの特集コーナーもあり、第2週は「みんなの声を聞いてみた」という、「県内の小中学生にさまざまなテーマで聞いた声を取り上げ(ホームページより)」るコーナー。
その11月12日付(5面)のテーマは、「秋田弁」であった。
「大館市、秋田市、湯沢市の中学2年生118人が寄せてくれた声の一部を紹介します。」とあり、場所・学年限定ということは、魁のほうから学校を通すなどしてアンケートを依頼したのだろうか。(読者から意見を募集しているような告知もあるけれど)。
「秋田弁を使いますか?」との問いには、よく使う20%、時々使う45%、あまり使わない17%。
保護者が県外出身だったり、県外から引っ越して来た人なんかもいるだろうけど、使わない18%の中には、意識せず端々で使っている人もいるでしょう。
自由記述の問いは3つ。「よく使う秋田弁」と「好きな秋田弁」が興味深かった。(あと1問は「秋田弁を守るには」)
挙げられた秋田弁は、一人称の「おら」など広範囲で通じるであろう言葉や、「やがまし」のような単に共通語の単語を短縮や濁音化したもの(=方言というより「訛り」)など、必ずしも秋田弁とはいえないものもあった。核家族化やメディアの普及の中、それは仕方ない。
一方で、なかなかディープというか、今の中学生がよくぞ知っていたという言葉も多かった。
「すぱね(泥はね)」「とじぇね(寂しい)」「なもかもね(どうしようもない)」「さい(しまった!)」など。
※「すぱね」は「すっぱね」とも。泥はねがかかることは「すぱね上がる」と表現する。ちなみに「すぱね上がってやばちぃ」は「泥はねがかかって汚い」。
※「とじぇね」は「徒然(とぜん)」が語源。
※「さい」は感嘆詞で、県央部では使うが県北では使わないらしい。
質問を見た時、“あの言葉”は絶対に入っていると思ったのだが、意外にもそれはなかった。個人的には喜ばしい。
それは「しったけ」である。すったけ、しったげ、すったげ、しんたけ などとも発音。
「とても」という意味で、「死ったけ」つまり「死ぬほど」が語源である。
「しったけきれい」「しったけおかしい」「しったけ食べた」などと使う。
【10日追記】比較的認知されていると思われる同義語は、津軽の「たんげ」、北海道の「なまら」。
※秋田県外も含めて「したっけ」という方言【9日補足・「しったけ」と「したっけ」小さい「っ」の位置が違います】もあるが、それは「それでは、それじゃあ」といった接続詞やあいさつの言葉。
6年前に記事にしているが、インパクトがあるのか「しったけ」を秋田弁の代表的な言葉として、キャッチコピーなどで使われることがある。
6年前では、テレビとか新聞のローカル版で、「○○(学校名)高校生にアンケート。好きな(よく使うだったかも)秋田弁ランキング」という質問で、「しったけ」が上位に入っていたことがあった。
現在でも、秋田市出身のササキノゾミさんが「しったげ」としてテレビで話すことがある。
個人的には、「しったけ」は、響きが独特だとか、おもしろい(ヒネリがある)言葉だとは、それほど思わないし、あえて「死」を持ち出して表現することでもないと考える。
それに、他の多く単語でも同じことだけど、しったけは秋田県全域で使う言葉ではない。以前秋田大学で方言を研究していた教員が、そのことを指摘していた。今はgooが「全国方言辞典」というのを提供しており、それによれば「しったげ」として「県北沿岸部・県中央部」で使うとある。しかし、両祖父母が秋田県中央部出身である僕の周りでは、ほとんど使わなくてなじみが薄く、県北沿岸・中央で広く使うというわけでもないのかもしれない。
そんなわけで、個人的には「しったけ」には、いや正確には「しったけ」が秋田弁の代表かのように“もてはやされる”ことには、嫌悪感に近い気持ちを抱いている。
今回の新聞は、ランキングではないので、回答にはあったものの編集段階でカットされた(とすれば魁の人も同じ気持ちだったのか)可能性もあるけれど、今は以前ほどキャッチコピーなどで使われなくなった気がしなくもない。6年ほど前は一過性のブームで、今は下火になったということなんだろうか…
【10日追記】しったけは青森(津軽?)の「たんげ」、北海道の「なまら」などと同義と思われる。「なまら」も、北海道ならどこでも使うわけでもなく、世代的には高齢者よりも若い世代のほう(1980年台に流行したとか)が使うそうだ。「しったけ」とちょっと似た境遇かもしれない。
文化である言葉としては「しったけ」も秋田弁の1つであることは間違いないけれど、ほかにもおもしろい秋田弁はたくさんあるのです。今の中学生にも、そのことを(無意識であっても)分かっている人がいることが分かって、うれしかった。
週ごと毎月1回ずつの特集コーナーもあり、第2週は「みんなの声を聞いてみた」という、「県内の小中学生にさまざまなテーマで聞いた声を取り上げ(ホームページより)」るコーナー。
その11月12日付(5面)のテーマは、「秋田弁」であった。
「大館市、秋田市、湯沢市の中学2年生118人が寄せてくれた声の一部を紹介します。」とあり、場所・学年限定ということは、魁のほうから学校を通すなどしてアンケートを依頼したのだろうか。(読者から意見を募集しているような告知もあるけれど)。
「秋田弁を使いますか?」との問いには、よく使う20%、時々使う45%、あまり使わない17%。
保護者が県外出身だったり、県外から引っ越して来た人なんかもいるだろうけど、使わない18%の中には、意識せず端々で使っている人もいるでしょう。
自由記述の問いは3つ。「よく使う秋田弁」と「好きな秋田弁」が興味深かった。(あと1問は「秋田弁を守るには」)
挙げられた秋田弁は、一人称の「おら」など広範囲で通じるであろう言葉や、「やがまし」のような単に共通語の単語を短縮や濁音化したもの(=方言というより「訛り」)など、必ずしも秋田弁とはいえないものもあった。核家族化やメディアの普及の中、それは仕方ない。
一方で、なかなかディープというか、今の中学生がよくぞ知っていたという言葉も多かった。
「すぱね(泥はね)」「とじぇね(寂しい)」「なもかもね(どうしようもない)」「さい(しまった!)」など。
※「すぱね」は「すっぱね」とも。泥はねがかかることは「すぱね上がる」と表現する。ちなみに「すぱね上がってやばちぃ」は「泥はねがかかって汚い」。
※「とじぇね」は「徒然(とぜん)」が語源。
※「さい」は感嘆詞で、県央部では使うが県北では使わないらしい。
質問を見た時、“あの言葉”は絶対に入っていると思ったのだが、意外にもそれはなかった。個人的には喜ばしい。
それは「しったけ」である。すったけ、しったげ、すったげ、しんたけ などとも発音。
「とても」という意味で、「死ったけ」つまり「死ぬほど」が語源である。
「しったけきれい」「しったけおかしい」「しったけ食べた」などと使う。
【10日追記】比較的認知されていると思われる同義語は、津軽の「たんげ」、北海道の「なまら」。
※秋田県外も含めて「したっけ」という方言【9日補足・「しったけ」と「したっけ」小さい「っ」の位置が違います】もあるが、それは「それでは、それじゃあ」といった接続詞やあいさつの言葉。
6年前に記事にしているが、インパクトがあるのか「しったけ」を秋田弁の代表的な言葉として、キャッチコピーなどで使われることがある。
6年前では、テレビとか新聞のローカル版で、「○○(学校名)高校生にアンケート。好きな(よく使うだったかも)秋田弁ランキング」という質問で、「しったけ」が上位に入っていたことがあった。
現在でも、秋田市出身のササキノゾミさんが「しったげ」としてテレビで話すことがある。
個人的には、「しったけ」は、響きが独特だとか、おもしろい(ヒネリがある)言葉だとは、それほど思わないし、あえて「死」を持ち出して表現することでもないと考える。
それに、他の多く単語でも同じことだけど、しったけは秋田県全域で使う言葉ではない。以前秋田大学で方言を研究していた教員が、そのことを指摘していた。今はgooが「全国方言辞典」というのを提供しており、それによれば「しったげ」として「県北沿岸部・県中央部」で使うとある。しかし、両祖父母が秋田県中央部出身である僕の周りでは、ほとんど使わなくてなじみが薄く、県北沿岸・中央で広く使うというわけでもないのかもしれない。
そんなわけで、個人的には「しったけ」には、いや正確には「しったけ」が秋田弁の代表かのように“もてはやされる”ことには、嫌悪感に近い気持ちを抱いている。
今回の新聞は、ランキングではないので、回答にはあったものの編集段階でカットされた(とすれば魁の人も同じ気持ちだったのか)可能性もあるけれど、今は以前ほどキャッチコピーなどで使われなくなった気がしなくもない。6年ほど前は一過性のブームで、今は下火になったということなんだろうか…
【10日追記】しったけは青森(津軽?)の「たんげ」、北海道の「なまら」などと同義と思われる。「なまら」も、北海道ならどこでも使うわけでもなく、世代的には高齢者よりも若い世代のほう(1980年台に流行したとか)が使うそうだ。「しったけ」とちょっと似た境遇かもしれない。
文化である言葉としては「しったけ」も秋田弁の1つであることは間違いないけれど、ほかにもおもしろい秋田弁はたくさんあるのです。今の中学生にも、そのことを(無意識であっても)分かっている人がいることが分かって、うれしかった。