1週間前。秋田市の奥羽本線・上飯島駅を久々に利用した。
青空、ススキ、下りホーム
踏切を挟んで対角線に配置された(過去の記事)、上下どちらのホームにも、工事看板が立っていた。
「ホーム改良工事をしています」
役所発注の道路などの工事看板にそっくり(秋田県庁は杉枠で囲うのが基本で違うけど)だけど、発注者は東日本旅客鉄道株式会社秋田支社設備部。施工者も第一建設工業だからJR東日本系列。
11月17日までの工事とあるが、この時点では、工事の気配はなかった。
「ホーム改良」とある。特に上り側では、上屋や待合室などが新しくなって何年も経っていないのに、上下同時に何をするのか…
下の青白反転部分に注目。「出戸浜外7駅乗降場改良他工事」とある。
2駅隣の男鹿線・出戸浜駅が出てきた戸惑ったが、役所の工事看板でもこんなことがある。
道路の白線引きとか、下水道工事とか、複数箇所の同一内容工事をまとめて発注する場合、1か所だけ場所を示して「○○他」と表記することが珍しくない。
以下、推測だけど自信はあります。
「出戸浜外7駅」ということは、上飯島とあと6駅の計8駅。
上二田、二田、天王、船越、脇本、羽立を入れれば、8駅。
これは、秋田-男鹿間を走る、(運転系統としての)男鹿線の無人駅と一致する。※来春開業の泉外旭川駅も含まれるが、建設中なので除外できる。
さらに、JR東日本労働組合のサイトで見た情報も重ねると、見えてくる。
来春、男鹿線に蓄電池式電車EV-E801系が増備される(これは確定事項)。
以前ちょっとだけ触れたが、労働組合報によれば、その時に「中編成ワンマン運転」を開始するという。男鹿線の場合、(2両編成を2本つないだ)4両編成でのワンマンを新たに行う。それに必要な工事だと推測する。
労働組合報には、中編成ワンマン導入に伴う駅側工事として、「ホーム高上げ(※原文ママ)」と停止位置移設をやるとある。車体側にカメラがあるので、ホームのミラーをどうするかは未定らしい。
※「ホーム高上げ」という業界用語があるわけでもないようなので、「ホーム嵩上げ(かさあげ)」の誤りでは? どちらにしても、ホームを少し高くして、乗降しやすくするのでしょう。
工事後は路面のツギハギはなくなりそう
中編成ワンマンは、今春のダイヤ改正から、東北本線の黒磯~新白河で5両編成で開始済み。水戸支社、千葉支社等でも導入計画があるようだ。
中編成ワンマンというのは、JR東日本独自の呼称なのだろうか。その名の通り、これまでは1~2両編成(=短編成)でしかやらなかったワンマン運転を、3~6両編成でも行うもの。それだけでなく、これまでは車内に運賃箱を置き、無人駅では車内で運転士が行っていた運賃収受(きっぷ回収や定期券確認を含む)を廃止。駅側に運賃箱を置く、つまり無人駅だから無人状態で運賃を支払わせることになる。
長くなった分、ミラーでの車内外の確認は限界があるので、カメラとモニターを使用。
ネット上では、中編成ワンマンを指して「都市型ワンマン」と呼ぶ人がいるが、ちょっと違うと思う。ここで、ワンマン運転の種類を、まとめておく。呼び名は勝手に付けたものです。
・車内収受型ワンマン
バスと同じ、昔ながらのワンマン。
車内に運賃箱(多くが自動両替機付き)。無人駅では前のドアだけ開き、車内で運転士が運賃、きっぷ類の確認をする。
客を後ろの車両から前まで歩かせるのも難しいし、利用実態からホームドアなどの設備投資も限定されるので、必然的に短編成。
・都市型ワンマン
運賃箱なし。無人駅でも全部のドアが開く。
運賃収受は駅で行うが、そもそも全駅に駅員がいるか、無人駅にも自動券売機、自動改札機、自動精算機、連絡用インターホンが完備され、運賃取りこぼし・不正乗車対策がしっかりしている。
ホームドアなど本格的な安全対策もされる場合も多く、各地の地下鉄・新交通システムや東急で行われている。
全ドア開とホームドアにより、編成が長くなっても対応できる。
静岡鉄道などは、2両編成で都市型ワンマンを実施しており、「都市型でも短編成」のケースもある。
・信用乗車(信用降車)方式ワンマン
車内に運賃箱なし。無人駅でも全部のドアが開く。
無人駅に運賃箱(回収箱)があり、それにきっぷや現金を投入する。定期券等は提示する必要なし。
JR九州では10年以上前から実施。おそらく(安全確認の面から)2両までのはず。
以上、JR東日本が導入している中編成ワンマンは、「都市型」とは言い難く、「信用乗車方式で短くない」型といったところ。
【29日補足・都市型ワンマンの最大の特徴は、「駅側の設備が充実していること」と、それによって「確実に運賃収受ができる(不正乗車防止策が万全)」ことだと思う。JR東日本の中編成ワンマンでは、そのどちらも満たさない。】
【30日追記】もしくは別の分け方で、無人駅では、車内で運賃を支払う/車内で運賃を扱わない の点にのみ着目すれば、2つに分けられ、都市型と信用乗車型はどちらも後者なので同一とみなすことはできる。
男鹿線の中編成ワンマン化で気になるのは、まず車内外の安全確保。カメラの性能と運転士の目が頼りになるが、夜間、積雪・吹雪・凍結の時はどうか。
それと、運賃の取りこぼし・不正乗車対策。
駅設置の運賃箱はきっぷ回収箱を頑丈にした程度のもののはず(東日本のものは不明だがJR九州はそう)で、両替はできない。いくら説明を書いたとしても、支払い方が分からない人も出そう。悪意はないが、タダ乗り(後日支払い)せざるを得ないことも起きる。
ましてや悪意がある者は… 男鹿線沿線にそんな不届き者はいないと思いたいところではありますが。
「運賃ほ脱(逋脱)」と称するそうだが、労働組合報には、
「運賃ほ脱対策として強固な運賃箱と駅防犯カメラを土崎駅・男鹿駅以外の駅に整備する。」とあった。追分駅は、早朝・夜は無人(券売機停止・自動改札機開放・精算機なし)になるので、対策するのだろう。
これって「運賃ほ脱対策」だろうか?
箱を強固にしたら、みんなが運賃を払うという理屈になり、おかしい。これは「運賃箱泥棒対策」では?
あとは言葉の問題だが、ほ脱対策なら「防犯カメラ」というより「監視カメラ」が適切だろう(対外的には使いたくない言葉ではあろうけれど)。
【28日補足・上飯島駅では、防犯カメラ自体は既にホーム上に設置されていて、おそらく他の無人駅でも同様。このことからも、新設されるカメラは運賃箱を重点的に映すカメラ=ほ脱対策の監視カメラということだと思う。】
現在の上飯島駅の「きっぷ入箱」
↑まさかこれこのままじゃないでしょうけど、これに毛の生えたようなのになりそう。
また、無人駅から「乗る時」は、乗車前にきっぷを入手できれば、双方が楽。
しかし、昨年、多くの無人駅の簡易式自動券売機が廃止され、磁気式乗車駅証明書発行機に改造されている。
中編成ワンマン導入でも「簡易券売機を増設する考えはない。」。
例えば追分駅は、遅い時間も県立大学の学生などの乗降が少なくない。
無人時でも稼働する券売機があってもいいのではないか。終日無人の上飯島駅の上りホームには券売機があるというのに。
土崎、追分、男鹿くらいには、自動精算機を導入してもいいかもしれない。
あとは、いよいよSuica導入?!
楽だし、両替できなくて支払えない事例は激減、不正もある程度は減るかも。
でも、労働組合報には、Suicaは一切出てこない。
客がどうこういう立場や段階ではないにせよ、頼りない労働組合だ。
ワンマン反対などと言うのは時代錯誤だから受け入れるのは妥当だが、提示されたことにはいそうですかと従うばかりのような。
自分たちの安全運行確保、客の不満と不安解消・サービス向上のために「より確実な運賃ほ脱対策」「Suicaの早期導入」ぐらいは申し入れたらどうなんでしょう。【27日追記・乗客の不公平感(正直者が馬鹿を見る)解消、JR東日本に対する信頼向上につながるよう、労使一丸となって努めていただきたいのです。】
ところで、奥羽本線の701系や、五能線の新車では、従来どおりの車内収受方式のワンマンを続けるようだ。となると、奥羽本線と男鹿線直通両方が走る上飯島駅(と早朝・夜の追分駅)では、2種のワンマンが共存する。
おそらく、奥羽本線の列車も、この2駅に限り信用乗車方式にして、混乱させないようにするかもしれない。【28日補足・だとしたら、車内での案内が若干ややこしくなるか。】
秋田蕗マークの縦書き駅名標と福島から309キロポスト
※11月にはEV-E801系が増備された。
※その後の上飯島駅の状況。
青空、ススキ、下りホーム
踏切を挟んで対角線に配置された(過去の記事)、上下どちらのホームにも、工事看板が立っていた。
「ホーム改良工事をしています」
役所発注の道路などの工事看板にそっくり(秋田県庁は杉枠で囲うのが基本で違うけど)だけど、発注者は東日本旅客鉄道株式会社秋田支社設備部。施工者も第一建設工業だからJR東日本系列。
11月17日までの工事とあるが、この時点では、工事の気配はなかった。
「ホーム改良」とある。特に上り側では、上屋や待合室などが新しくなって何年も経っていないのに、上下同時に何をするのか…
下の青白反転部分に注目。「出戸浜外7駅乗降場改良他工事」とある。
2駅隣の男鹿線・出戸浜駅が出てきた戸惑ったが、役所の工事看板でもこんなことがある。
道路の白線引きとか、下水道工事とか、複数箇所の同一内容工事をまとめて発注する場合、1か所だけ場所を示して「○○他」と表記することが珍しくない。
以下、推測だけど自信はあります。
「出戸浜外7駅」ということは、上飯島とあと6駅の計8駅。
上二田、二田、天王、船越、脇本、羽立を入れれば、8駅。
これは、秋田-男鹿間を走る、(運転系統としての)男鹿線の無人駅と一致する。※来春開業の泉外旭川駅も含まれるが、建設中なので除外できる。
さらに、JR東日本労働組合のサイトで見た情報も重ねると、見えてくる。
来春、男鹿線に蓄電池式電車EV-E801系が増備される(これは確定事項)。
以前ちょっとだけ触れたが、労働組合報によれば、その時に「中編成ワンマン運転」を開始するという。男鹿線の場合、(2両編成を2本つないだ)4両編成でのワンマンを新たに行う。それに必要な工事だと推測する。
労働組合報には、中編成ワンマン導入に伴う駅側工事として、「ホーム高上げ(※原文ママ)」と停止位置移設をやるとある。車体側にカメラがあるので、ホームのミラーをどうするかは未定らしい。
※「ホーム高上げ」という業界用語があるわけでもないようなので、「ホーム嵩上げ(かさあげ)」の誤りでは? どちらにしても、ホームを少し高くして、乗降しやすくするのでしょう。
工事後は路面のツギハギはなくなりそう
中編成ワンマンは、今春のダイヤ改正から、東北本線の黒磯~新白河で5両編成で開始済み。水戸支社、千葉支社等でも導入計画があるようだ。
中編成ワンマンというのは、JR東日本独自の呼称なのだろうか。その名の通り、これまでは1~2両編成(=短編成)でしかやらなかったワンマン運転を、3~6両編成でも行うもの。それだけでなく、これまでは車内に運賃箱を置き、無人駅では車内で運転士が行っていた運賃収受(きっぷ回収や定期券確認を含む)を廃止。駅側に運賃箱を置く、つまり無人駅だから無人状態で運賃を支払わせることになる。
長くなった分、ミラーでの車内外の確認は限界があるので、カメラとモニターを使用。
ネット上では、中編成ワンマンを指して「都市型ワンマン」と呼ぶ人がいるが、ちょっと違うと思う。ここで、ワンマン運転の種類を、まとめておく。呼び名は勝手に付けたものです。
・車内収受型ワンマン
バスと同じ、昔ながらのワンマン。
車内に運賃箱(多くが自動両替機付き)。無人駅では前のドアだけ開き、車内で運転士が運賃、きっぷ類の確認をする。
客を後ろの車両から前まで歩かせるのも難しいし、利用実態からホームドアなどの設備投資も限定されるので、必然的に短編成。
・都市型ワンマン
運賃箱なし。無人駅でも全部のドアが開く。
運賃収受は駅で行うが、そもそも全駅に駅員がいるか、無人駅にも自動券売機、自動改札機、自動精算機、連絡用インターホンが完備され、運賃取りこぼし・不正乗車対策がしっかりしている。
ホームドアなど本格的な安全対策もされる場合も多く、各地の地下鉄・新交通システムや東急で行われている。
全ドア開とホームドアにより、編成が長くなっても対応できる。
静岡鉄道などは、2両編成で都市型ワンマンを実施しており、「都市型でも短編成」のケースもある。
・信用乗車(信用降車)方式ワンマン
車内に運賃箱なし。無人駅でも全部のドアが開く。
無人駅に運賃箱(回収箱)があり、それにきっぷや現金を投入する。定期券等は提示する必要なし。
JR九州では10年以上前から実施。おそらく(安全確認の面から)2両までのはず。
以上、JR東日本が導入している中編成ワンマンは、「都市型」とは言い難く、「信用乗車方式で短くない」型といったところ。
【29日補足・都市型ワンマンの最大の特徴は、「駅側の設備が充実していること」と、それによって「確実に運賃収受ができる(不正乗車防止策が万全)」ことだと思う。JR東日本の中編成ワンマンでは、そのどちらも満たさない。】
【30日追記】もしくは別の分け方で、無人駅では、車内で運賃を支払う/車内で運賃を扱わない の点にのみ着目すれば、2つに分けられ、都市型と信用乗車型はどちらも後者なので同一とみなすことはできる。
男鹿線の中編成ワンマン化で気になるのは、まず車内外の安全確保。カメラの性能と運転士の目が頼りになるが、夜間、積雪・吹雪・凍結の時はどうか。
それと、運賃の取りこぼし・不正乗車対策。
駅設置の運賃箱はきっぷ回収箱を頑丈にした程度のもののはず(東日本のものは不明だがJR九州はそう)で、両替はできない。いくら説明を書いたとしても、支払い方が分からない人も出そう。悪意はないが、タダ乗り(後日支払い)せざるを得ないことも起きる。
ましてや悪意がある者は… 男鹿線沿線にそんな不届き者はいないと思いたいところではありますが。
「運賃ほ脱(逋脱)」と称するそうだが、労働組合報には、
「運賃ほ脱対策として強固な運賃箱と駅防犯カメラを土崎駅・男鹿駅以外の駅に整備する。」とあった。追分駅は、早朝・夜は無人(券売機停止・自動改札機開放・精算機なし)になるので、対策するのだろう。
これって「運賃ほ脱対策」だろうか?
箱を強固にしたら、みんなが運賃を払うという理屈になり、おかしい。これは「運賃箱泥棒対策」では?
あとは言葉の問題だが、ほ脱対策なら「防犯カメラ」というより「監視カメラ」が適切だろう(対外的には使いたくない言葉ではあろうけれど)。
【28日補足・上飯島駅では、防犯カメラ自体は既にホーム上に設置されていて、おそらく他の無人駅でも同様。このことからも、新設されるカメラは運賃箱を重点的に映すカメラ=ほ脱対策の監視カメラということだと思う。】
現在の上飯島駅の「きっぷ入箱」
↑まさかこれこのままじゃないでしょうけど、これに毛の生えたようなのになりそう。
また、無人駅から「乗る時」は、乗車前にきっぷを入手できれば、双方が楽。
しかし、昨年、多くの無人駅の簡易式自動券売機が廃止され、磁気式乗車駅証明書発行機に改造されている。
中編成ワンマン導入でも「簡易券売機を増設する考えはない。」。
例えば追分駅は、遅い時間も県立大学の学生などの乗降が少なくない。
無人時でも稼働する券売機があってもいいのではないか。終日無人の上飯島駅の上りホームには券売機があるというのに。
土崎、追分、男鹿くらいには、自動精算機を導入してもいいかもしれない。
あとは、いよいよSuica導入?!
楽だし、両替できなくて支払えない事例は激減、不正もある程度は減るかも。
でも、労働組合報には、Suicaは一切出てこない。
客がどうこういう立場や段階ではないにせよ、頼りない労働組合だ。
ワンマン反対などと言うのは時代錯誤だから受け入れるのは妥当だが、提示されたことにはいそうですかと従うばかりのような。
自分たちの安全運行確保、客の不満と不安解消・サービス向上のために「より確実な運賃ほ脱対策」「Suicaの早期導入」ぐらいは申し入れたらどうなんでしょう。【27日追記・乗客の不公平感(正直者が馬鹿を見る)解消、JR東日本に対する信頼向上につながるよう、労使一丸となって努めていただきたいのです。】
ところで、奥羽本線の701系や、五能線の新車では、従来どおりの車内収受方式のワンマンを続けるようだ。となると、奥羽本線と男鹿線直通両方が走る上飯島駅(と早朝・夜の追分駅)では、2種のワンマンが共存する。
おそらく、奥羽本線の列車も、この2駅に限り信用乗車方式にして、混乱させないようにするかもしれない。【28日補足・だとしたら、車内での案内が若干ややこしくなるか。】
秋田蕗マークの縦書き駅名標と福島から309キロポスト
※11月にはEV-E801系が増備された。
※その後の上飯島駅の状況。
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