教科書採択に関連して、物持ち良く保存していたものから。
おそらく1988(昭和63)年春、小学校6年生になった時、学校で配られた紙。B5判より小さい紙で、(校内の印刷機などでなく)ちゃんと印刷されたもの。
「教科書のお知らせとご注意事項」
新学期のほか、上下巻に分かれた国語のような秋(今でいう後期開始時)に配本がある場合はその時にも、教科書とともに渡されていた。他の年度版は行方不明だが、少なくとも小学校時代はこのスタイルだった記憶があるが、中学校ではどうだったか。
メインは中ほどの「教科書照合一覧表」。自分の学年に応じた教科書を、もれなくもらったかチェックする用途。記された数字は、その「定価」。※当時は消費税導入前。導入後も、教科書は非課税。
無償配布なのに定価を教えるのがおもしろい(紛失時等は有償販売になるので、定価設定は必要)。これだけ費用がかかって、税金が使われているということを分からせる意図があったのかもしれない。「あなた(お子さま)がお使いになる教科書は、国から無償で給与されます。」の文もあり、当時の僕はそう感じた。今は、市の広報紙などで、それ自体の単価を表示することがある(広報あきた10月6日号は1部25.245円)が、それと同じように。
本文は、きれいな活字で印刷されている。
しかし、「秋田市・河辺郡内公立(小学校)」や、教科書の出版社名と価格は、今では懐かしい、ドットの粗いコンピューターの文字。
だから、県内他地域や県外と文面や枠は共通で、採択に応じて照合一覧表だけ差し替えているのかもと思ったが、いちばん下の「教科書取扱店」は秋田市内の店だけが、きれいな文字で印刷されている。右下には「秋9051」という秋田を意味しそうな記号も。広告部分も、また別の印字なのかもしれないけれど。
「教科書取扱店」。本文において、紛失や汚損時に「下記の教科書取扱店(教科用図書取次供給所)でお求めください。」とある。
「秋田協同書籍」は電話番号なしで名称のみやや大きく記され、その下に「参考書の取り扱いは」として、秋田市内4つの書店。4書店でも教科書本体も購入できたはずだが、分かりにくい書きかた。
「かねこ書店」は土崎港中央一丁目。2010年前後まで営業していたようで、Googleマップストリートビューでは2012~2015年時点では、売物件で看板は残っていた。2018年以降は、宅配寿司が入居。
「三光堂書店」は、大昔は大町にあって、山王大通り(竿燈大通り)建設時に、中央通りの中通一丁目へ移転。今のエリアなかいち住居棟付近にあったそうだが、なかいち着工のだいぶ前にやめているはず。
「三浦書店」は、広小路はじめ秋田市内に複数店舗があったが、2000年頃に廃業(関連記事)。
4書店中、2023年時点で残るのは、加賀谷書店のみ。その電話番号は、2012年で閉店した広小路の本店を掲載。閉店してまだ11年しか経っていないのか。
後に、保戸野の文具店「のてや」も教科用図書取次供給所になったようだが、閉店したため、現在は協同書籍と加賀谷書店。
教科書照合一覧表。
「外国語(英語)」や当時は教科ではなかった「道徳」は、見る影もない。「生活」もまだ始まっていないが、1年生の欄を見ると、理科は配られているものの、社会がない。生活科導入を踏まえて、カリキュラムを多少変えていたのだろうか。あと「保健」は、検定教科書がなかったのか。
採択された出版社。
2024年度の秋田市の採択と異なるのは、社会(中教出版→東京書籍)、理科(大日本図書→東京書籍)、図工(開隆堂→日本文教出版)と、意外に少ない。【16日注記・ここでは1988年度と2024年度の単純な比較です。その途中のどこかで、一度変更されて再度戻るなど、採択が変更された可能性はあります。】
大日本図書の「たのしい理科」は楽しかったけどな。一覧表を見ると、1冊当たりのコストはいちばん高い。※国語などは上下巻に分かれているので、通年ではそちらが高いことになる。
中教出版は現存しない。1993年に、社会と生活の版権を日本文教出版に譲渡して、後に解散。
当時の社会科教科書は、太い横縞(色は学年で異なる)を背景にイラストをちりばめた表紙で、「国民生活と生産 5上」「国土と人間 5下」のようなタイトルが付いていた。タイトルは光村図書の国語もそう(一上 かざぐるま、四上 かがやき等)だけど、こちらのほうが直接的。
なお、小学校の社会科の教科書は、現在は左綴じ・横書きだが、当時は右綴じ・縦書きだった。中学校は当時から横書き。
「教科書のお知らせとご注意事項」は、裏面もある。
いかにも昭和テイスト
「よい本を選びましょう!」とあり、課題図書でも載っているのかと思いきや、問題集・ドリルや教科書ガイドの宣伝。「定価一らん表」まで出ている。
商売っ気があると言えばそうだけど、無償配布の教科書一覧の裏で、“虎の巻”の告知までするとは。
ところで、全国的に小学校3年生には、その市町村のことに限定した教科書に準ずる本が配られ、社会科で使われることが多い。「地域副読本」などと呼ばれるもの(自治体によって有償無償は違うようだ)で、検定教科書ではないので、この紙には出ていない。
秋田市では「わたしたちの秋田市」という書名なのだが、それについてまた後日。
おそらく1988(昭和63)年春、小学校6年生になった時、学校で配られた紙。B5判より小さい紙で、(校内の印刷機などでなく)ちゃんと印刷されたもの。
「教科書のお知らせとご注意事項」
新学期のほか、上下巻に分かれた国語のような秋(今でいう後期開始時)に配本がある場合はその時にも、教科書とともに渡されていた。他の年度版は行方不明だが、少なくとも小学校時代はこのスタイルだった記憶があるが、中学校ではどうだったか。
メインは中ほどの「教科書照合一覧表」。自分の学年に応じた教科書を、もれなくもらったかチェックする用途。記された数字は、その「定価」。※当時は消費税導入前。導入後も、教科書は非課税。
無償配布なのに定価を教えるのがおもしろい(紛失時等は有償販売になるので、定価設定は必要)。これだけ費用がかかって、税金が使われているということを分からせる意図があったのかもしれない。「あなた(お子さま)がお使いになる教科書は、国から無償で給与されます。」の文もあり、当時の僕はそう感じた。今は、市の広報紙などで、それ自体の単価を表示することがある(広報あきた10月6日号は1部25.245円)が、それと同じように。
本文は、きれいな活字で印刷されている。
しかし、「秋田市・河辺郡内公立(小学校)」や、教科書の出版社名と価格は、今では懐かしい、ドットの粗いコンピューターの文字。
だから、県内他地域や県外と文面や枠は共通で、採択に応じて照合一覧表だけ差し替えているのかもと思ったが、いちばん下の「教科書取扱店」は秋田市内の店だけが、きれいな文字で印刷されている。右下には「秋9051」という秋田を意味しそうな記号も。広告部分も、また別の印字なのかもしれないけれど。
「教科書取扱店」。本文において、紛失や汚損時に「下記の教科書取扱店(教科用図書取次供給所)でお求めください。」とある。
「秋田協同書籍」は電話番号なしで名称のみやや大きく記され、その下に「参考書の取り扱いは」として、秋田市内4つの書店。4書店でも教科書本体も購入できたはずだが、分かりにくい書きかた。
「かねこ書店」は土崎港中央一丁目。2010年前後まで営業していたようで、Googleマップストリートビューでは2012~2015年時点では、売物件で看板は残っていた。2018年以降は、宅配寿司が入居。
「三光堂書店」は、大昔は大町にあって、山王大通り(竿燈大通り)建設時に、中央通りの中通一丁目へ移転。今のエリアなかいち住居棟付近にあったそうだが、なかいち着工のだいぶ前にやめているはず。
「三浦書店」は、広小路はじめ秋田市内に複数店舗があったが、2000年頃に廃業(関連記事)。
4書店中、2023年時点で残るのは、加賀谷書店のみ。その電話番号は、2012年で閉店した広小路の本店を掲載。閉店してまだ11年しか経っていないのか。
後に、保戸野の文具店「のてや」も教科用図書取次供給所になったようだが、閉店したため、現在は協同書籍と加賀谷書店。
教科書照合一覧表。
「外国語(英語)」や当時は教科ではなかった「道徳」は、見る影もない。「生活」もまだ始まっていないが、1年生の欄を見ると、理科は配られているものの、社会がない。生活科導入を踏まえて、カリキュラムを多少変えていたのだろうか。あと「保健」は、検定教科書がなかったのか。
採択された出版社。
2024年度の秋田市の採択と異なるのは、社会(中教出版→東京書籍)、理科(大日本図書→東京書籍)、図工(開隆堂→日本文教出版)と、意外に少ない。【16日注記・ここでは1988年度と2024年度の単純な比較です。その途中のどこかで、一度変更されて再度戻るなど、採択が変更された可能性はあります。】
大日本図書の「たのしい理科」は楽しかったけどな。一覧表を見ると、1冊当たりのコストはいちばん高い。※国語などは上下巻に分かれているので、通年ではそちらが高いことになる。
中教出版は現存しない。1993年に、社会と生活の版権を日本文教出版に譲渡して、後に解散。
当時の社会科教科書は、太い横縞(色は学年で異なる)を背景にイラストをちりばめた表紙で、「国民生活と生産 5上」「国土と人間 5下」のようなタイトルが付いていた。タイトルは光村図書の国語もそう(一上 かざぐるま、四上 かがやき等)だけど、こちらのほうが直接的。
なお、小学校の社会科の教科書は、現在は左綴じ・横書きだが、当時は右綴じ・縦書きだった。中学校は当時から横書き。
「教科書のお知らせとご注意事項」は、裏面もある。
いかにも昭和テイスト
「よい本を選びましょう!」とあり、課題図書でも載っているのかと思いきや、問題集・ドリルや教科書ガイドの宣伝。「定価一らん表」まで出ている。
商売っ気があると言えばそうだけど、無償配布の教科書一覧の裏で、“虎の巻”の告知までするとは。
ところで、全国的に小学校3年生には、その市町村のことに限定した教科書に準ずる本が配られ、社会科で使われることが多い。「地域副読本」などと呼ばれるもの(自治体によって有償無償は違うようだ)で、検定教科書ではないので、この紙には出ていない。
秋田市では「わたしたちの秋田市」という書名なのだが、それについてまた後日。
さらに交通安全や体育、などの副読本も東京。
道徳は東京かと思いきや光村でした…
しかし、東京1つも当時は無いのですか。
家庭科は「わたしたちの家庭科」なんで開隆堂。
(野菜サラダ実習最後の世代でしたが、やる前に菅直人の禁止命令を受け、やってません)
図工は「みんなげんき」とかそんなやつで抽象画の表紙でしたがあれはどこのだったのか。
秋田市では1990年代に突如、東京書籍が勢力を拡大したことになります。背景には何があったのか…
東京書籍は最大手ですが、2002年の「雪国はつらいよ条例」などの大量誤植騒動もありました。その影響もあまりなさそうでシェアを保っているのは、やっぱり中身の良さとか使いやすさで選ばれるのでしょうか。
道徳や副読本は、各校の裁量で選択するものもあったようです。我々の小学校は、道徳の研究指定校であったため、毎年度、学研とか光村とか違う出版社のものを買わされていました。