広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

手形山トンネルではありません

2023-11-11 16:59:16 | 秋田の地理
2020年3月末のストックネタから。現在も状況は変わっていないと思われますが、ツキノワグマの出没があり得る場所です。クマ活動期の徒歩での通行は控えたほうが無難です。

秋田駅の北東一帯が、手形(てがた)地区。そのさらに北東にある低山が「手形山」。ちょっとした日本昔話もあるようだ。
手形山は昔は、秋田市近場の行楽地だったそうで、手形山スキー場(1980年頃まで??)もあった。今も、Googleマップには「手形山公園」などと記されているものの、実態としてはほとんど維持管理されていない、山同然になっていると思われる。クマもいるし、一般人が手軽に行楽できる場所ではない。

手形山の南東側は、秋田大学医学部附属病院や手形山団地として、1970年代から開発されていた(関連記事)。
一方、北側では、大学病院方向から来た道路(県道41号・通称横山金足線)が、長らく団地の先で行き止まり(狭い坂道で秋田高校横へ下りるのみ)になっていた。その後、団地の北側に谷を渡るような橋と、トンネルが造られ、旭川・添川地区と行き来できるようになって、現在に至る。

その橋とトンネルがいつ、開通したか。興味がない方面だったので記憶にない。Wikipediaなどネット上にも、なかなか情報が少ない。「2000年頃」みたいな記述はあったが。
やっと見つけたのは、県ではなく秋田市の都市計画年表や当時の「広報あきた」。横山金足線(手形工区)の供用開始は、2001年8月1日(13時開通式、15時供用開始。7月29日に開放イベント)であった。
余談だが、ワールドゲームズ秋田大会の直前であり、同じ年の11月には架け替えた秋田大橋が供用開始(当時は建設省管轄)。

この橋とトンネルを含む区間は、1.6キロ。途中に家や店は皆無だが、両側に歩道があり散歩や運動するには悪くないと思って、3年半前、新型コロナウイルスの流行り始めの頃に歩いてみたのであった。※クマへの注意と、途中に横断歩道がないので道路横断は禁物。


まず橋について。
秋田高校の上にそびえ、市街地から緑色の橋桁が見える。カーブがあり、南~西方向が開けて、秋田市街地が見渡せるものの、曇った風よけ板があるせいで、眺望良好でもない。
「主要地点」の案内標識が設置されていて、その名が「手形山大橋 Tegatayama Bridge」であることは知る人が多いだろう。命名としても違和感はなく妥当。
Wikipediaによれば全長368.5m。

では、トンネルのほう。
南側(手形山大橋側)
出入口は両端とも差異はない。
トンネルもカーブしている
トンネルだったら、その名を入口上部に立派な銘板(「坑口銘板」と呼ぶらしい)で記すこともあるのに、ここにはない。手形山大橋と違って、名称の案内標識さえない。

それでも、手形山大橋と対になるトンネルなのだから、順当に「手形山トンネル」でしょと、秋田市の地理を知る人なら、全員がそう考えてもおかしくはない。
Wikipediaには独立した項目はないが、手形山大橋の項目内にそう記されているし、一部地図サイトでも手形山トンネルとされている。
ところがそうではありません。

北側出入口の、南行き車線側の歩道の壁に、小さな銘板があった。
手形トンネル 1995年3月 延長276m」
供用開始の6年以上前(佐々木喜久治知事時代だ)にできていたのもちょっとびっくりだが、名前は「山」が付かない「手形トンネル」だった!
【11日補足・「秋⽥県トンネル⻑寿命化修繕計画(秋田県建設部道路課 2019年10月)」では、1994年竣工とされている。】

2021年にトンネル内に落書きされたことを伝える秋田魁新報では、ちゃんと「手形トンネル」としている。
恥ずかしながら、当ブログでは、過去に「手形山トンネル」としてしまったことがあった。また、供用開始時期の情報をもたらしてくれた、秋田市の都市計画年表と広報あきたでも、どちらも「手形山トンネル」としてしまっている。

負け惜しみになってしまうが、
・「手形」は平地、その上が「手形山」。したがって、トンネルがあるのは手形山であって手形ではない。
・トンネルの所在地は、両端とも旭川地区の「新藤田(しんとうだ)」。したがって、手形ではない。
・同時開通の橋には名称を示し、トンネルには示さないという対応の違いが理解できない。橋の表示に影響されて、トンネルも「手形山~」だと思いこませてしまう。
秋田県の命名センスの悪さ(秋田市の地理を知らない人たちが決めたのでは?)と、周知不足によるものにほかならない。やはり、秋田県の道路管理体制には、道路利用者や住民への配慮が薄く(=押し付けの傲慢さ)、さらに自分たちの仕事への誇りも欠けている(=やっつけ仕事)のではないかと感じてしまう。
【11日補足・トンネル完成直後に、県側が命名のおかしさに気付き、供用開始時に銘板や標識を設置しないことで、トンネル名をあいまいにするという、“隠蔽工作”を行った可能性もあるかも。】

橋とトンネルの間には、家や店はないけれど、暮らしに欠かせない施設はある。続く

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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コメントありがとうございます (taic02)
2023-11-12 19:31:39
>FMENさん
「手形トンネル」が正式であることを示す明確な資料が、現地の小さい銘板以外には少ないこともあるのか、公的・公共性のある場面でも「手形山~」が正式であるかのように使われることがあり、それを否定(あるいは指摘)するのが難しい状態になってしまっています。
仮称が正式名になってしまったということはあるかもしれません。だとしても、近くの橋とトンネルで一致しないというのは、上手い命名ではないし、配慮が足りません。

>りおさん
そんな最近でも、水道山が行楽地というか公園のように使われていたのですね。
レジャーの多様化や、公園としての維持管理に手が回らなくなって、衰退したのかと考えていましたが、時期的に、たしかに県道工事によってアクセスしづらくなったことも原因かもしれないですね。
ほかにも、クマ出没、配水場のライフライン施設としての警備強化なども関係するかもしれません。
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Unknown (りお)
2023-11-11 21:25:20
旭川小学校に通っていた私ですが、1995年までは遠足で「水道山」に行っていた記憶があります。
その後は工事が始まった影響か、水道山に行くことはなくなりました。
返信する
ラジオでは… (FMEN)
2023-11-11 18:58:25
ABSラジオで「手形山トンネル」と言った交通情報を何度も聞きました。
それも影響してます。
ただ設計、計画と供用で名前が変わるのは土木あるある。
高速道路もかつては秋田南より先は「秋田外環状線」、「日本海沿岸東北自動車道」などとなりましたがいまは秋田自動車道になっていたり。
大館能代空港みたいに秋田北空港で供用したけど結局大館能代空港という計画建設名に戻したり。
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