タカ長のタカの渡り観察

タカが好き、山が好き、花が好き、心はいつも旅もよう。日々移ろいゆく心もようを綴るナチュラリストのつぶやきです。

トビ吉おじさんのお遊び

2008年01月17日 | タカの渡り観察
 わが観察地の重役(?)トビ吉おじさんは、このオフシーズン何やら難しそうな計算をしながら楽しんでいるようです。
 彼のテーマであるタカの飛行性能につながる計算、と言っていいのでしょうか?

 その基本データになる、タカの翼面積を計算しています。その方法ですが、タカを捕まえて実測することが出来ないので、タカが帆翔しているところを真下から写した写真を探してきて、図鑑にある翼開張の長さ(例えばハチクマは1.21m~1.35m)を基準に比例配分して翼面積を出しているのです。

 一つの写真から翼面積を出すのも大変な作業です。しかし、タカにも個体差がありますし、写真的な誤差もあるのである程度のサンプルを取ってその平均値を出さないと、概略と言えどもそれなりのデータを取ることはできません。

 そこでトビ吉おじさん、ハチクマは10羽のサンプルを基に計算をしています。ご苦労なことですね。好きでないと出来ませんね。本当に。

 そのサンプル数を見るとホークウォッチャーの好みや、タカの飛び方の概略が分かるような気がします。前者の例で言えばハチクマの写真は多くても、トビの写真は本当に少ないのです(トビなどまじめに見るホークウォッチャーはほとんどいないので当たり前ですね)
 そのためトビ吉おじさんは友だちのカメラマン氏に頼んで、トビの帆翔を真下から撮影してもらっています。本当にご苦労なことですね。

 後者の例で言えばハヤブサのサンプル集めに苦労しています。現場での実感ですがハヤブサが羽をすぼめて飛んでいるのを見る機会は多くても、頭の上で帆翔しているところはあまり見ませんよね。

 さて、その結果です。オス、メスの違い(特にハヤブサやハイタカ属が大きい)や個体差をすべて平均した結果です。一つの目安として見て頂くと良いのでしょう。
 結果だけ見ると、この世界の古典的な書籍「鳥と飛行機どこがちがうか」(ごめんなさい、著者の名前が思い出せません)に掲載されているデータと似たり寄ったりの結果が出ているようです。

 トビ吉おじさんの試算もまったく出鱈目ではないようですよ。

ハチクマの翼面積を1とすると

    トビ      1.40
    クマタカ   1.84
    イヌワシ   2.25
    ミサゴ    1.22
    ノスリ    1.00
    オオタカ   0.90
    サシバ    0.69
    ハヤブサ   0.54
    ハイタカ   0.33
    ツミ       0.22

 どうですか、皆さんの実感と合っていますか?それともかけ離れていますか?

 頭の痛くなるような計算ですが、この計算がタカの飛行性能を考えるときのベースになるようです。
 まあ、難しいことはトビ吉おじさんにまかせて、私たちは話のタネとして使わせてもらいましょう。