鳩山邦夫の首。
これで麻生太郎の命脈は尽きたのではないか。
この決着は麻生太郎と自民党にとって最悪のシナリオになった。鳩山邦夫にしてみれば、最悪でも西川善文との刺し違いのはずだった。しかし結果は、親分と仰ぐ麻生太郎から一刀両断に斬られてしまったのは太郎会の会長で、麻生を総理にした立役者の鳩山邦夫であった。西郷隆盛の言葉を口に出しながら無念さは苦く残っただろう。歴史を見れば、刎頚の盟友であった同郷の薩摩隼人・西郷隆盛を、最期は自決にまで追い込んだのは、麻生の高祖父であった大久保利通であったが、鳩山はそれを意識したのだろうか。
さて、首を切られて鳩山邦夫は「世の中には、正しいことが通らないこともあるんだな」、さらに「西川さんは悪事を行なった。そして麻生さんは判断を間違った。この証明は1年以内にされる」と官邸を去り際、言い残した。
これで麻生の足の裏まで描けるとまで言った鴻池が去り、盟友の中川昭一は政治失脚し、太郎会の会長であった邦夫も斬られた。
麻生太郎は、鳩山と西川の首を天秤にかけて、孤軍の邦夫を切り捨てたということだろう。元々、麻生太郎は、小泉さんがバックについている西川善文を切り、他の財界人を持ってくる構想だったが、小泉さんは秀直を使い、西川をはずした場合、麻生太郎との全面戦争を布告した。そういう意味においては、麻生は一の子分を斬り、遂に裸の王様になったというか、顔は険しいが、芯が通っていない本性をさらけ出してしまった。鳩山邦夫も仕える親分を間違ってしまったのだから、自業自得という見る目の無さということだろう。しかし律儀にも、厚労省政務官の戸井田徹が鳩山邦夫に殉じるとして、政務官の辞表を出した。この先の麻生太郎だが、冒頭に述べたように、ついに終焉を迎えた。
麻生支持率は急降下するだろう。今の時点で、はっきり言える事は、7・12の都議選の結果によっては、つまり自民・公明の与党が過半数を取れなければ、そのまま麻生は政権投げ出しになる。居座れば麻生降ろしの政局になる。
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骨太の方針2009。
14兆円もの大借金を新たに作りながら、一方では2200億円の医療費をカットする。つまり高齢者に対して、医者には行くなという「姥捨て山制度」である。官邸は、社会保障費を毎年2200億円カットすることを掲げた「骨太06」を堅持するという。この「骨太」という表現は、弱者の高齢者切り捨てだが、同時に、それを支える家族にも降りかかってくる問題だ。
(ムラマサ、鋭く斬る)