古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ほかに踊りを知らない。 川上弘美 絵・門馬則雄

2017-12-31 13:50:14 | 川上弘美
東京日記2。2004年5月号~2007年4月号「東京人」


(今年、ラストになにをご紹介しようと思ったが、悩んだ末に


今年ベストだった、東京日記2にしようと思い至った。)


五分の四が本当というこの東京日記シリーズ第二弾。


この作品は文学でできるおもしろいことを具現している。


ときにちょっと泣き、壊れた電話の前で踊り、風邪をひいて、


何日も同じつゆでうどんをたべる。


ちょっとヘンだけど、やっぱりフツーではおもしろくない、


と思っているひとには格好の、元気になれる本である。


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眠る盃    向田邦子

2017-12-28 11:44:46 | 向田邦子
講談社文庫。


「荒城の月」の一節を眠る盃とまちがえて覚えていた、



という少女時代の回想。



向田さんはいいなあ、と感慨にふけっている。



水ようかんをなぞらえて、いつまでもあるものはおいしい



と感じない、期間限定だからいいのだ、というのは、た



しかに向田さん自身のことを表しているなあ、と思う。



その一冊を愛せよ、というのは作家にとって、貴重な言葉



だろう。



大量生産されてゆくモノを憂いていらっしゃったのだろう。



僕らはつぎつぎに新しいものがあらわれてくる、ということに



慣れすぎているのではないか。



ひとつのことにこだわって、愛し続けることも、必要なのでは、



という提言と受け取った。



これで、片付けができれば、最高の女だったのになあ、とつらつ



らと思うのだった。


                       (鶴岡卓哉)
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まぶた    小川洋子

2017-12-27 11:05:42 | 小川洋子
新潮文庫。


表題作「まぶた」は十五歳の少女と中年男との


不思議な関係を描く。


最後はつかまってしまう。飼っているハムスターの



まぶたは切り取られ、それは象徴としての観察の強制。


みてはいけないものさえみせられてしまう恐怖を示唆


している。「飛行機で眠るのは難しい」、「詩人の卵巣」



では眠りがテーマとなっていて、不眠症の女が出会う不



思議な話しである。



この作品集は夢と現実の境がなくなってしまうことでおこる



恐怖を描いているような気がする。そこでは理不尽なこと



も起こりえるし、それを見なくてはならなくなる。



僕らは現代において、目撃者として存在するしか道はない、



とでも言われているような気がしてくる。







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藁でしめ飾りづくり!

2017-12-26 10:12:07 | カフェ、ギャラリー
藁のいいものを選別し、これだけで二日はかかっています。



水で濡らし、専用の木の小づちで叩き、編んで行きます。




子どもにもやらせようと思っていますが、できるでしょう



か?



昨日は見立山に行って、ウラジロを採ってきました。




去年に続きですが、イノシシが地面を掘って根を食って




ましたね。うん×もいっぱいありました。あわわわわ。



松は完全に枯れていましたね。



藁はコメ作りのところがご高齢でやめるということで、



去年は今年で終わりにしようと言っていましたが、ホ



ントに今年で終わりです。



しめ飾りは身内だけで使う分だけしか作れませんので、



貴重です。


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不良になりました。東京日記4 川上弘美 絵 門馬則雄

2017-12-24 10:01:07 | 川上弘美
不良になったとは耳にピアスを開けた川上さんに向かって



息子が言った言葉から。



海外にもよく行かれているようだが、外国は言葉が通じな



いので怖い、という。ボクも外国は怖いです。できれば、



飛行機にも乗りたくありません。



気になる、登場するものの中にイグアナの「アイドリング」



というのがいますね。布団と一緒に干されていて、そのあと、



主人の頭に巻き付いていた彼(?)です。なかなか気がき



いています。



ちょっとひととは違った視点でものをみると、世界はおもし



ろくなる、という言葉が合いそうな、まあ、どこまでがホン




トかはわかりませんが、川上さんのお人柄がうかがえる恒例の




一冊という感じ。といっても、まだ、僕は1しか読んでいない




ので、遅ればせながら、次々読んでいきたいです。
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思い出トランプ   向田邦子

2017-12-23 12:58:12 | 小説の紹介
向田邦子と言うひとを初めて読んだのだが、女流作家の



マスターピースを見逃していた、という思いだ。こん



な巧い人がまだいたのか、と気づいた。当人は81年に



飛行機事故で亡くなって、有名な作家ではあるものの拝



読する機会に巡り合えず、今まで来てしまった。



短いなかに、文章が効果的につかわれていて、巧さは


水上勉さんに言わせると、芸だ、ということである。



直木賞受賞一年で亡くなったらしいが、その仕事は完成



されていて、全うしたのではないか、とも思えてくるが、



素晴らしい才能を失ったという思いは払拭しきれない。






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私の食べ歩き    獅子文六

2017-12-21 15:54:19 | 本の紹介
戦前、戦後にわたっての西洋料理について、食材について


の放談。戦前にもうまいものはあったのだな、ってことは



ここ九十年日本人は味覚を磨いてきたってことになる。



文六先生はフランス料理にも精通しておられて、留学もされ


ていたという。文章修行か。文六先生は胃潰瘍の手術をされて


、食量も減ってきて、好みも、変わってきたという。ステーキ


などは若い時に食うものだ、とのこと。



僕も、肉より魚がよくなってきたかなあ。てんぷらはつゆで食



うのが一番だという意見には賛成させていただきます。



▼Pカフェでは、古本も売っています。三十円から扱っていま



すので、見ていってくださいね。開高健や料理本などからマニア



ックな作家まで幅広く扱っています。よろしく。
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2017年を振り返って

2017-12-16 14:07:05 | 日記
17年も、思えばもう少しです。今年もいろいろ



な方にお世話になりました。生徒さんしかり、



お客さんで、飲んでいってくださった方しか


り。



ウチのカフェには、変わった方が多く来るの



で、毎日、飽きませんでした。よわい、七十



を過ぎたハハにも、さぞや、お脳の刺激にな



ったことでしょう、ありがとうございました。



もうちょっと、ビジネスが上手なら、売り上



げも伸ばせましょうが、商売下手なので、い




あんともしがたいですね。地道にやっていく




しかないようです。ハハも、私は商売には向



かない、と自認しています。文章の方で食っ



ていけるようになれば、一番いいのですが。



ハハはまったく期待していませんが、もう修



業期間は十分、(まあ、かれこれ二十年近く書



いてますかねぇ。長いですねぇ。)過ごしたと



思うので、もうそろそろ新人賞が欲しいです。



(というのが、本音です。)



でも、コーヒーを淹れるのも、好きなので、ぜ



ひ続けていきたいですね。



来年はどういう年になるんですかねえ。皆さんが、



それぞれ納得できるような年になるといいですが、



僕は大吉だったのに、過ごしてみて?小吉くらいです



かねえ、感じとしては。でも健康だったし、そうい




っては贅沢なんですかねえ、とダラダラと書いてきま




したが、オチを見つけるために、飼っているグッピー




に、オチは落ちてませんでしたか?、と聞くと、ポコッ




と子供産み落としました。では、では、意味不明にして




すいませぬ、結局、オチはどこにもありませんでした……不覚。



いや……合唱、でしたね。違った、合掌。
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北の川から    野田知佑

2017-12-15 13:32:18 | 野田知佑
新潮文庫。


いつもこのひとの本を読み終わると、ひとつの旅を終えた



ような気分になるが、ふっと現実の生活が横たわっている



ことに気づき、はっとさせられる。結局、ボクは野田さん



みたいに旅には出られんだろうことが分かっているから



なのかもしれない。ボクはなにもしないだろう無力感に苛



まれつつ、日々の生活の中に埋没する自己を見つめるしか



ないのだ。きっと、野田さんと根本から考え方が違うのだ



ろう。この本で、母上のことが出てきたので、病気と言う



ことだったが、安心できた。こういうひとは家族さえかえ



りみないのではないか、と思っていたからだが。



南方指向と言うが、北方指向のひとかと思っていたので、一



般のひとと同じく、過ごしやすい方がやっぱりいいのか、と



これまた安心した。



まあ、実際、やろうとは思わないけどねえ。 
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