古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

殺人と接近       椎名誠

2022-05-25 13:29:43 | 小説の紹介

私小説で殺人とはおだやかじゃないな、と思いつつ、この

 

短編を読んでみる。シーナ氏の野良犬時代の話で、ケンカで

 

やっちまったらしいのだ。相手は死んだかもしれないが、逃

 

げたのでわからなかったらしい。もうひとつは、キャバクラの

 

ホステスの家で個人的に呑んだりしていたが、そのホステスが

 

殺された、というもの。犯人は内縁の夫だ、ということだが、

 

巻き込まれるのでは、と恐怖したという話だ。

 

ぼくはおとなになってからは、ケンカはしたことはない。

 

小学生のころは毎日、ケンカに明け暮れたが、おとなになったら、

 

真っ先に謝る人になっていた。いいのか、悪いのか? いや、

 

いいだろ。

 

 

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椿の花が咲いていた。    椎名誠

2022-05-22 14:19:04 | 小説の紹介

文藝春秋   1993年

 

これぞ私小説って感じの話だ。熱海に行って、旅館になんやら

 

本を売りつけるセールスの仕事に就いて、そのことが描かれる。

 

かったるい感じがうまくでている。同僚の宮脇という男を堤防

 

で昼寝しているのを見つけて、帰りに、その男が、旅館の女将と

 

一発やった、というウソを吐く話で、唐突にこの短編は終わって

 

しまう。けど、この短編を読むと、シーナ氏はなにを書かせても

 

シーナ氏なのだな、という気がする。

 

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蛇の夢     椎名誠

2022-05-21 12:16:42 | 本の紹介

「猫殺し その他の短編」所収

 

他の短編は繋がっていたりしたが、これは独立していて、夢に

 

ついて椎名氏独自の言及の仕方をしている。夢は蛇が見させて

 

いる、らしい。とか、未完の小説の原稿を披露している。

 

こういう手の内を見せる小説というのはおもしろいものである。

 

シーナ氏の考え方や性格がもろに出ていて、シーナファンには

 

たまらない。

 

原節子が何べんも出てくる夢かあ。小津的なネガフィルム的な

 

夢かとも思うが、マタギの見る夢だから、そんなしゃれたもん

 

じゃないと思う。ごつい素朴なものなのだろうな。

 

ぼくは人の夢がごっつい好きだ。

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旅の途中で      高倉健

2022-05-19 13:38:37 | 本の紹介

新潮文庫     2003年

 

2月に再放送で見たNHK特集「行~比叡山 千日回峰~」に

 

でていらした酒井雄哉大阿闍利。それをみてから、阿闍利と

 

いう存在が気になって気になって仕方なくて、どうしましょう、

 

と思っていて、この健氏の本の最後の方に阿闍利との対談が載っ

 

ていて、これは導きだ、と思った。ぼくはこういうことはけっこ

 

うある。阿闍利はけっこうしゃべる人なんだな、という印象だ。ち

 

ょっとわかりにくいむずかしいことをけっこうしゃべらはる。けど、

 

た、ためになった。「一日一生」という言葉。胸に刻みたいと思います。

 

あ、雄哉大阿闍利のことばかり書いてしまったな。健氏はほんとに

 

いい男だと思います。いや、マジメな男ですよ。

 

                      (鶴岡   卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ポウの首      椎名誠

2022-05-15 11:30:17 | 小説の紹介

ポウと呼ばれる警報のようなもの。事件や事故が起きると

 

夜中でも鳴り、人々を怯えさせる。

 

その日も、十二回ポウは鳴った。それは猟奇殺人で畑に

 

頭だけ出して、女の人が殺されたのだ。それも、その人は

 

妊娠していたという。もう一つ、事件があって、学校でト

 

イレが汲み取りで、その便槽の中にひとがいたというのだ。

 

男はうんこまみれで出てきたらしいが、コウゴウしかった

 

という。その男を初めて見つけた女学生の恐怖を想うと、

 

空恐ろしい。うーん、昔ってやつは、ほんとに想像を超えるわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ほこりまみれ     椎名誠

2022-05-13 14:26:50 | 小説の紹介

ほこりまみれの校庭で激しい練習に明け暮れる中、カズミという

 

女の子に憧れ、その女の子が中心にセックスというか、女郎屋の

 

一幕があったりと、まさしく青春の一コマを切り取った好短編。

 

工藤とカズミがラスト。ぱしんぱしんと頬を軽く叩いて、安っ

 

ぽい音を立てて、「なによ、なによ」とカズミが目に泪をいっ

 

ぱい貯めて時折、そう言ってたのを受け、仲間で、軽く頬を叩き

 

合い、「なによ、なによ」と言った。というところは、ほんとに

 

ユーモアがあるんだけど、そうしないではいられない、苦い思い

 

が伝わってきた。ああ、青春だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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デカメロン      椎名誠

2022-05-12 21:42:23 | 小説の紹介

「今日あたり千ちゃんがふらふらしてるから川へいくべ」

 

と川へオボと行く。千ちゃんというのは頭の足りない女で、

 

そそのかすと裸になり、川で水浴びするので、裸見たさに

 

行くのである。廃墟になった建物でエロ写真を見つけて、

 

勝手に敬礼してくる中二のぼく。腹が減ったので、畑で

 

メロンを食い、デカメロンというタイトルを思い出して

 

笑っている。千ちゃんの上に男が裸で乗っているので、

 

うぇーい、うぇーい、とはやし、追いかけてくるで、と

 

怯えているぼくら。青春の一ページを清冽に切り取った

 

一編。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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トロッコ海岸     椎名誠

2022-05-11 09:34:38 | 小説の紹介

ヒゲ男が干拓のところで舟にのり、自殺しようとしている

 

ところをオボら3人が助ける。

 

助けると、その後、しかられると思ったら、その男の親かな

 

にかから5ダースの鉛筆をもらうことになる。

 

おそらく、これは椎名氏が小学生のころの話だろうと推察

 

される。近所の干拓を工事していた、ということやトロッコ

 

の話はほかで読んだことがある。これもひとつの自伝的な

 

私小説といったものなのだろう。

 

                   (鶴岡  卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

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読む全日本プロレス    和田京平

2022-05-09 22:35:43 | 本の紹介

MF文庫    2010年

 

ぼくの遅まきの青春時代、四天王時代の真っただ中だった。三沢、

 

小橋、川田、田上の四強といわれた人たち。ああ、あのころのプ

 

ロレスは最高に輝いて見えた。1998年の広島大会で、メーンで

 

三沢光晴がエメラルド・フロージョンを繰り出して、勝った試合で

 

馬場社長と握手したということが幻覚であったような気がしてくる。

 

うーん、あのころのおれっちはプロレスに夢中だったからなあ。

 

川田氏のちっちゃいのに驚いたり、田上のでかさにびっくりしたり

 

していた。そのころのことが走馬灯のように巡り巡る。馬場社長の

 

ことはいくら読んでも読み飽きることがない。その上、ジャンボ鶴田氏

 

のことも書いてある。ジャンボといえば、日本人最強レスラーと

 

名高い男である。そのジャンボ氏、馬場社長、三沢光晴氏、橋本新也氏

 

ゲイリー・オブライト、ウィリアム氏、テリー・ゴディ氏などキリがない

 

くらいのレスラーが亡くなっていった。で、ぼくはプロレスをまったく

 

みない人になってしまったというわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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猫殺し     椎名誠

2022-05-03 11:56:07 | 本の紹介

弱小ブログながら、楽しみに読んでくれはる人もいるかもしれない

 

のに、だいぶ、ごぶさたしてしまって、お待たせしました。

 

パソコンの不具合が重なり、更新できずにいました。

 

今日はパソコンもいい天気に御機嫌なようです。

 

では、いってみましょう。

 

「猫殺し」その他の短編、所収。 文藝春秋   1994年

 

ばあちゃんが呆けて、猫のことでもめるので、オボは、「もう殺す

 

しかねえ」ということになって、老猫をボストンバックにしまいこみ、

 

袖無川に沈めて、殺そうとする。

 

じゃぶじゃぶとはいり、猫を救出して、子供たちはスキをついて逃走。

 

その三人を山をのぼったりして、ずっと追いかけてくる赤目男。ここら

 

辺はまるで悪夢だ。いや、この短篇すべてが悪い夢のようである。

 

川沿いに行くと、赤目男はぬかるみに落っこちる。ロープだけ投げやって

 

子供たちはまた逃げていく。ぬかるみに落ちて、身動きのできなくなって

 

しまった赤目男の状態こそ、この短編の見どころだ。追っては、もう

 

追ってはこれない。それを助けてやりさえする。でも、まだ、追ってくる

 

のじゃあないか、と怯えている。サスペンスっぽさもあって、おもしろか

 

った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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