古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ニッポン居酒屋放浪記 望郷篇   太田和彦

2023-02-26 08:59:42 | 本の紹介

新潮文庫    平成13年

 

ぼくが酒を呑まなくなって久しいが、心情的には

 

酒はそんなに嫌いじゃない。

 

酒は決して悪いものではなく、楽しむものだ、という

 

認識がある。そして、あとがきのシーナさんの言によ

 

ると、太田氏というのは酒を楽しんで、味わっておる

 

らしいのだ。ここで発見だったが、太田氏もシーナ派

 

らしいのである。

 

3年にわたり、「小説新潮」に連載していったという

 

本書。故郷を捨て流れゆく股旅物。小林旭の「渡り鳥」

 

シリーズと自己批評しており10都市をめぐっている。

 

その描き方も、こなれたもので、一篇のドラマを見ている

 

ようである。我々男というものは、故郷を求めてさすらう

 

運命にあるのかもしれない。

 

   (読了日 20231・28(土)5:00)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている 村瀬秀信

2023-02-24 12:05:05 | 本の紹介

講談社文庫    2014年

 

今までいろいろグルメ本を読んできたが、ほとんど

 

知らない店ばかりだった。だが、この本は違う。

 

ぼくでも行ったことのある店がいっぱいでてくる。

 

知っている店というのは読んでも、こんなに楽しい

 

のか、と思う程だ。全部で35種類のチェーン店を

 

紹介しているが、中には知らない店もあったし、関東圏

 

の人しか知らないだろうな、という店もでてくる。

 

ヤマダうどん。ぼくが春日部時代に、恥ずかしくて

 

よう行けなかった店だ。親友Kもやはり恥ずかしかった

 

らしく、ヤマダで食ってたら、同級生の女が通りやがってよ、

 

めっちゃ恥ずかしかったぜ、と証言していた。味はイマイチだ

 

ということらしいが。

 

サイゼリヤも30代のころは良く行っていたが、人生も

 

 

半ばを過ぎて、食べてみると、なんとも味が濃すぎて、即

 

ギブ、食べられなかった。吉野家も若いときはうまいうまい

 

と食っていたが、久しぶりに食ってみると、くず肉のようで

 

味も感心できない、どうやら、チェーン店というのは味も

 

イマイチ分からない若い世代向きということなのだろう。

 

あー、歳取っちまったなあ、とセブンのお弁当も受け付けない

 

体になったぼくでした。

 

     (読了日 1・21(土)22:57)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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背後霊だかんな。   椎名誠

2023-02-22 06:40:32 | 小説の紹介

「ねじのかいてん」所収。

 

SFの大傑作の三部作の前哨戦となる本書の大トリ。

 

背後霊を扱った短編ってなかなかないんでないの、

 

と思うんであるが、この本書も思えば、いろいろと

 

いろんなテーマで攻めてきていた。

 

一編を一晩か二晩で書きあげてしまうらしい。

 

30~40枚をワンナイトでか、やはりシーナさんは

 

すごかったってことだ。どれも、捨て牌なしの9篇。

 

突き抜けるような思考の冒険にハラハラしたり、ドキドキ

 

したり、胸躍るものばかりだった。いやはや、大したもんだ。

 

この短編集のベストはやはり、表題作ということになって

 

しまうのだろうねえ、というところで幕を下ろしたいが、

 

いかんせん、背後霊がなんか言ってきてうるさい、何者だ?

 

と思ったら、カエルの背後霊だった!

 

     (読了日 2023年1・16(月)21:06) 

 

 

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選考経過    椎名誠

2023-02-19 11:20:16 | 小説の紹介

日本のインテリゲンチャには汚物に対する信仰が

 

あるみたいで、芥川賞なんかでも、何度かすごく

 

汚いうんこびちゃびちゃ小説が受賞したりする。

 

ぼくはすごく下品だし、汚いことだと思うのだけれ

 

 

どね。

 

ここでも、「排泄図書」と題される汚物小説が取りざ

 

たされるが、こういう感じで評価されてたり、そうじゃ

 

なかったりするのか、と思う。

 

選考経過の作家の先生方と思われる人々の言動を追った

 

この短編。横文字が効果的に使われていておもしろい。

 

ネクロフィリア状況や、メタモル派、チビクロサンボ主義と、

 

ぼくにはさっぱり意味の分からない言葉が次々にでてくる。

 

が、なんか楽しい。

 

ぼくの小説、今頃、選考されてんだろうな、と思いながら

 

読んだ。

 

      (読了日 2023年1・16(月)19:12)

 

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月の夜     椎名誠

2023-02-18 10:56:48 | 小説の紹介

「ねじのかいてん」所収

 

木の一生というやつかね。木から見たこの世界。これも

 

ジャンル的には空想小説ということになるのですかね。

 

この短編には木に彫刻して仏像を彫る描写があるが、明星院

 

にも銀杏の木に仏像の顔が彫り込まれたものがあり、厳かだ。

 

木というのは、なんですね、命が長いから、やはり、超人的と

 

いうか、人知を超えた部分というのがあるようですね。

 

とても瘤なぞできていたりして、趣き深い陰影を醸し出している

 

のもあります。

 

ぼくは木をじっと見ることがあって、桜の古い木なぞじっと

 

見てしまいますね。そういうときにこの短編のようなはなしを

 

発想するんですかね、シーナさんは。

 

       (読了日 2023年1・16(月)18:47)

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ゴミ    椎名誠

2023-02-12 13:54:32 | 小説の紹介

講談社文庫    1988年

 

SFで東京のゴミ回収の機能が失われたら、という設定で

 

描かれている。

 

それはデテールまで凝っていて、こういう短編のコツは

 

異常に細かいところを描くっていう、ところ。

 

ゴミ問題は、けど、大切に考えなきゃいけないことだ。

 

いつも思うのは、プラゴミの多さ。このプラゴミが大量に

 

でることこそ大問題だな、減らしたくても、食料品が何重に

 

もプラで包装されているのだから、個の力で減らせと言われても

 

無理だ。ここは企業単位で工夫してもらわないと。あと、思うのは

 

アマゾンの過重包装の問題、これもなんとかしていただきたい

 

重要案件なんではないか、などと思っている。

 

         (読了日 2023年1・15(日)16:45)

 

 

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二年C組    椎名誠

2023-02-08 06:55:11 | 小説の紹介

「ねじのかいてん」所収。

 

金田玉吉先生、生徒たちからは金玉先生と呼ばれている

 

先生をめぐる校則の話。

 

キムチを食べてはいけない、刺激物を食っちゃあいけない

 

という校則を盾に沖本という生徒はキムチを食べたでしょう

 

、あんた、と言われて、そこで、ストレートパーマを咎めら

 

れ、つるっぱげにした山科ゆかりがつっかかる。キムチ食べた

 

って2H経ってるんだからわかりっこないんよ。口腔肛門併用型

 

ふろむねじきり透視管とかいう装置でなんかわかりっこないんだ

 

からね、そうなのだ、ここでSFチックな感じででてくるのがカッコ

 

いいのだ。理論の応酬があって、結局、42人いた生徒もそのように

 

理不尽な追及によって8人になってしまったらしい。

 

今の学校の校則というのは一時期よりゆるくなったのだろうか。

 

不良がいなくなったせいか? 昔の不良ってちょっと笑えるよな。

 

いや、ちょっとおもしろいよ。いろんな意味で。

 

    (読了日 2023年1・13(金)22:04)

                  (鶴岡 卓哉)

 

 

とにかく、ここでSFチックな感じで

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ニワトリ     椎名誠

2023-02-05 18:26:32 | 小説の紹介

「ねじのかいてん」所収。

 

礼子というカノジョに嫉妬して、ガムテープを買ってこい

 

などと怒鳴って、そのあと、そのガムテープで体をぐるぐる

 

巻きにされている、と思い込んでいる男。なんなんだ、この

 

短編は。よくわからんが、独自の世界が繰り広げられている。

 

これはいささか狂った男の話らしい。狂ってしまったのか、

 

狂わされたのかは定かではない。

 

幻覚もトロッコとか見え始め、男は突き進んでいく。この

 

ニワトリという題は、礼子が最後にニワトリに見える、という。

 

ニワトリみたいに、この男の嫉妬に対して、口答えするのだそ

 

うだ。とても怖い。恐怖短編だった。

 

    (読了日 2023年1・12(木)23:55)

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ポポイ     倉橋由美子

2023-02-02 20:05:38 | 小説の紹介

福武書店     1987年

 

内容は知らず、倉橋さんというだけで買い求めたが、

 

これがよかった。脳死をめぐる問題について、テー

 

マにした小説で、舞という女性が首だけの美少年を

 

ポポイと名付け、あずかることになる。旧仮名遣い

 

で書かれていて、それがハイテク用語と相まって、

 

独特の世界観を形作ってゆくことになる。首だけの

 

美少年にエロというコンテンツを与えるとどうなる

 

か、とか、けっこうおもしろいアプローチがされて

 

いる。大きな字で読みやすい文章で、時々、二重否

 

定とかがあるが、それでも、おもしろかった。

 

1987年にこういう試みがされていることは、特筆に

 

値するだろう。今の時代だったら、当時とはまた違った

 

読み方もできるだろうし、読み解き方もできうるテクスト

 

だ。美少年テロリストの首というところがより深い影を

 

作品に落しているようだ。

 

    (読了日 2023年1・12(木)0:14)

 

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前進するために     鶴岡卓哉

2023-02-01 16:49:31 | 詩・ポエム

前進するのは誰でも怖い

 

暗闇を進むのは、とても怖いものだ

 

しかし前進しなければ

 

我々に明日は来ないのだ

 

あの娘の言ったことを

 

噛み締めるのだ

 

我々は夢にもう少しで到達するという

 

予言めいた言葉を

 

羊の前で祈るのだ......処女の血

 

宗教を蹴散らすことは不可能

 

誹るのだ......ボク等の生きる道を照らせ

 

まるで最後の日のように

 

踊り、食べ、酔うのだ

 

思い出せ......行軍するのだ

 

我々には望みはそこにしかない

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