古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

みちのくの人形たち    深沢七郎

2016-08-31 10:28:56 | 小説の紹介
文春文庫。


深沢七郎の話しは読んでみて、初めて体験できる

と言った性格のものであるという感じは確かにす

る。


深沢氏はとても深い人なので、やさしさや度量が


人の何倍もあるんじゃないか、と思う、それゆえ


に、作品も亡くなってからも評価され続けている


のではないのか。


深沢体験とも呼ぶべきものをしてみるのもいいか


もしれない。


谷崎潤一郎賞受賞。
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彼らの流儀    沢木耕太郎

2016-08-28 14:57:30 | 小説の紹介
33篇の印象深いショートストーリー。エッセイで


もないし、コラムでもないし、小説でもないと自



身で語る。スタイルが決まっている訳ではないが


、日常の一コマを切り抜くような、それでいてそ


の一瞬一が特別であるという描き方。どの話もフ


ェイバリット・ストーリーになりそうである。才


能ある作家が新しいものを作り出している瞬間が


ここに集約されている。
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かわいそうだね?   綿矢りさ

2016-08-27 12:22:49 | 小説の紹介
文春文庫。


就活をしている元カノを助けるために、同棲すること


を許す女?、なんているわけねえだろ?どんだけ心広


いねん。(つい大阪弁になっちゃう)と読みすすめ、


元カノに借りがあることが語られ、それでもなア、と


なるが、メールでラブラブなのを見て、樹理恵は”つな


がって”しまう。その迫力たるや、女怖し、と思わざる


を得ない。綿矢さんもキレるとこうなるのか?と思う


と、作家とは死んでも付き合いたくねえな、と勝手に


思ったり。それはいいんですが、その”つながった”描


き方でこの小説はふっきれたいいものになっている。


もう一遍の、亜美ちゃんは美人、はさすがにアラフォ


ーにJKのカースト制度の話しはきつかったかなあ。


マア、綿矢さんもお歳と共に成熟した小説を書かれる


ようになると思うんで、そこらへんも楽しみにしてい


ますけどね。
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深夜特急1    沢木耕太郎

2016-08-26 12:46:25 | 小説の紹介
新潮文庫。


香港で黄金宮殿という名の連れ込み宿に


投宿した私は、街に夢中になる。マカオ


に行き、"大小”と言うギャンブルについ


て、考察し、博打する。とことんやろう、


と決めて、飽きるまでやってみる、こと


を描く。二十六歳にして、こんな旅がで


きるなんて羨ましい。後記として山口文


憲氏との対談が載っている。二十六歳く


らいが旅立ちには良いそうである。
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銀座八邦亭        森田誠吾

2016-08-25 16:34:54 | 小説の紹介
文春文庫。

銀座のレストランで働く錦ちゃん、ちょっと


オツムは弱いが、皆に愛されている。八邦亭


が解散して、乞食になってしまっても、昔の


よすがで、面倒を見てもらって、赤線に行っ


て女に夢中になり、金沢まで当てもないのに


探しに行って、歩いて帰って来て死んじゃっ


た。優しい言葉で語られる心温まる話である。



短編集、他五編所収。
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WATER   吉田修一

2016-08-24 13:11:11 | 小説の紹介
「文學界」平成10年8月号。


高校の水泳部、爽やかさだけではない、病みも


キチンと描かれている。吉田氏ははじめから巧


い作家だったのだな、と思った。非常に繊細な


描写にリアリティを感じた。多分、吉田氏の実家


が酒屋で水泳部だったのじゃないかな……。この


人の作品には運送の仕事が良く出てくるのはそう


いったことがあるのかもしれないな、と感じさせ


た。
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蹴りたい背中   綿矢りさ

2016-08-23 21:02:51 | 小説の紹介
綿矢さんが十九歳の時に130回芥川賞を受賞


し、127万部売った作品。


果たしてなぜ彼女が背中を蹴りたくなったか?


リビドー説などいろいろあるが、それは、若さ


から来るどうしようもない、やるせない衝動と


いうところに落ち着くだろう。これじゃあ、余


りにもつまらないか……。今更、この作品に対し


てどうということもないと思うけど。ふとした


瞬間に若さというのは凄いエネルギーでアート


を生み出すことがある。多分それなんだろうな。



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ジャージの二人      長嶋有

2016-08-21 21:39:40 | 小説の紹介
集英社文庫。


夏に働くのはバカらしいと、北軽井沢の父と犬の


ミロと小説家志望の僕の過ごす日々を描く。小説


の方は筆は進まず、妻との関係は放置している。


細かなところで気が利いている。畑の真ん中で立


ってケータイをかざしている女は何をしているの


だろうか?と読み進めるうちに、アンテナが立つ


ところだったというオチであるが。なるほどなア、


と僕なんか感心してしまうのだけれど。なんとも、


スローな空気が流れている。それが心地よく、する


すると読み進めていくと、二人が似た者同士の親子


なのだな、と気づいたりする訳だ。何とも不思議な


空気感の小説でした。
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楽文カフェについて

2016-08-21 09:45:05 | 教室
ヲシテ文字について、色々学べる楽文



教室が月二回になりました。



第一週と第三週に行われます。



今日、8月21日に行います。自由な発



言をしていただいて結構です。



議論の場として、情報交換の場として



活用していただいて結構ですので、ど



なたでもふるってご参加ください。



参加費用 1000円(アイスコーヒー付)

(会費などなし)
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流亡記     開高健

2016-08-20 22:19:23 | 小説の紹介
万里の長城に使役され、その周辺諸国から


あつめられた始皇帝に遇する人々。始皇帝


は、僕はなぜか泰平の世の中だと思ってい


たのだが、そうではないらしい。何かの支


配からの脱却というのが、テーマになって



いて、戦後色濃い生き強い男たちを描く、な


まけもの、にしても、生きるということと、支


配からの脱却と云うのはセットになっているよ


うに感じる。けれど、開高さんに出てくる人た


ちは逞しい人が多い。五十九歳で開高さんはな


くなったけれど、図太く生きたのだろうなあ、


改めて思った。
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