古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

叶えられた祈り    トルーマン・カポーティ

2016-01-31 14:00:54 | トルーマン・カポーティ
Answered prayers



カポーティの遺作となった長編小説。アメリカのリッチ&





フェイマスの社交界を舞台にゲイのP・B・ジェームス(




カポーティもゲイだった)がマッサージ師、作家志望として



出入りする話しだ。汚れきったP・B・ジェームスも生い立ち



話に始まり、華麗ながら、荒んだ人々の話しを語る。汚れて



いることは汚れていることだ、と言う視点が、更に話を痛々



しくさせる。ゴシップ話の真実がカポーティの言う幻想とし



てではなくリアルに描けた、ということになるのだろう。そ



の必然性は一考の余地があるのではないのか、と僕なんかは



思ってしまうのだけれど。ここでは、幻想は真実に覆い隠さ



れる。この小説の本質的な部分が疑問視されてしまうという


 
ところこそ、この小説の問題点なんじゃないのか? なんて思



ってしまうのだけれど……。
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幸福な死   カミュ

2016-01-30 14:03:48 | カミュ
Cahiers Albert Camus。



高畠正明・訳。1971年刊。


「幸福な死」はカミュが生前に刊行しなかった小説である。あまりうまく



はない部分が多すぎるし、表現に曖昧なところがあるから。一番の問題点



はこの物語の核がぼやかされてしまっている部分があまりにも多すぎると



いう点だろう。幸福なる死というものが人間には果たして可能であるのか?



と言う点においてこの小説には無理があるところがあって、そもそも、人の



殺したお金で人は幸福になれるのか?ということだ。それはあっても偽りの


幸福であって、真の幸福ではない。そこでは、幸福を噛みしめることなどで


きないのではないか?。


二部構成になっていて、それぞれが読み解いていけばいいのだと思います。



それこそが、この小説に仕掛けられたものではないかと思うのです。
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ペスト       カミュ

2016-01-29 18:40:39 | カミュ
ペストが国を覆い、人々を殺していく。それは不条理の避けられない






宿命ともとれる。神との連絡した悪徳の広まりともとれる。人々はひ






どい死に方で死んでいき怯え、沈黙し、鎧戸を閉めてしまう。この小







説は多くの読み解き方ができる。そして言葉も、簡潔で、読みやすい、






ただ単にパニック小説的な読み方もできてしまう、幅の広い、懐の深






い小説であると言えるだろう。
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世界の果てまで連れてって   ブレーズ・サンドラール

2016-01-29 13:44:51 | ブレーズ・サンドラール
「生田耕作・訳


グレーズ(火)、CENDRE(灰)、ART(芸術)、の三語



から成るペンネーム。「芸術を燃やして灰にする」と言う意味だ。



サンドラールを初めて読んだが、70の坂を越えて書かれたとは



思えない圧倒的エネルギーと文章の勢い、吐き出される言葉は訳


者もうまくは訳せないと言っていたが、十分に伝わってきた。



こんな小説を書くほどの面白い体験をしたサンドラール、この人は


飽くことがないのだろう。



臀(ケツ)に魂はない!。











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ジェフィ・ライダー物語 青春のビートニク   ジャック・ケルアック

2016-01-27 06:32:21 | ジャック・ケルアック
1956年 (Dharma bums)



ジェフィ・ライダ―に触発され、荒涼峰に登ったり、ゼンに




目覚めていく。空への悟りの道や、「私が変わったのだ。空



が変わったのではない」に象徴される、自己啓発の書である。




答えはない、のである、ことを発見し、そして、またケル



アックは旅に出るまでだ。それは、ビートだ!



買って読むのだったら、オン・ザ・ロードよりこっちの方が



おもしろいかもしれない、おススメします。



瞑想を始めたくなると思いますよ。
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味な旅 舌の旅    宇能鴻一郎

2016-01-26 11:53:57 | 宇能鴻一郎
昭和43年(1968年)




⑩腹つづみ四国の奇漁 四国はタヌキの名所。土佐はシバテン


狸と河童のアイのコ、九州に入ると河童天国。シバテンと河童



の共通点、相撲好き。河童もシバテンも水神。など、全国各地


の食や伝統について、言及していて、飽きずに、面白く読めた。



ただ、資料が古いために、その店が今もあるのかと言われると、心


もとない。ただ、料理自体は、伝統料理ばかりなので、存在する



だろうと思われる。


宇能先生は、大食漢で、目を見張るほどである。フランスでは美


食家=大食漢とされているらしいけれど……。
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近未来私小説   ロカ      中島らも

2016-01-24 14:59:58 | 中島らも
講談社文庫    2003年12月~2004年8月





らもさん、未完の最後の小説、小歩危ルカ、68歳。大ベストセラー





を書いて10億くらいのお金を手にしたので、書いていない。NHK



のトーク番組に出て、放送禁止用語を連発し大問題に……その番組



のアシの古沢ククとアンコウを食べに行く。クレオと言うムショ




に入ってばかりいる伝説のロッカーと仲良くなり、Wネックのギタ


ーをロカと名付けるのだが……。古沢ククとデートに行く途中で警



官に職質されるところで終わっている。ひどく独善的で、誰でも知



っているようなことをさも自分しか知らないように書くので、ちょ



っと笑けてしまう。そんなこと知ってますよ、らもさん、と突っ



込みを入れたくなるのだが、本人は気持ちよく書いているのだから



、やけにチューニングの描写が長すぎることにも黙認するしかな



いのだろう。天国のらもさん、天国でもハッシシをやってることだろ



うなあ……。
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貧しき人々     ドストエフスキー

2016-01-23 10:33:48 | 小説の紹介
木村浩訳     新潮文庫



往復書簡の体裁を取り、40過ぎの公務員と娘との関係を描く。




処女作だそうである。最低クラスの生活をして、おカネもな



いのに、娘の世話を見て、最後にはその娘に小銭まで恵んで



もらうまでに堕落してしまう。生活はある日の失敗からおカ



ネを上司にもらったことで救われる。恋、慈愛的な話しにも



とれる。しかし、そこには、自分を犠牲にするものさえない



のに犠牲を強いるという何か見栄のような愚かしさも見えて



くる。人間の見栄と同時に誇りもこの小説のテーマとなって



いるのだろう。
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貸しギャラリーのお知らせ

2016-01-22 07:33:50 | カフェ、ギャラリー
古民家ギャラリーうした&Pカフェ

   ご利用規約

Pカフェギャラリー+古民家ギャラリーうしたのご利用の場合


二週間     3万+諸経費(光熱費含む)1万
一か月     5万+諸経費(光熱費含む)2万



Pカフェギャリ―のみのご利用場合


二週間     2万+諸経費(光熱費含む)1万 

一カ月     3万+諸経費(光熱費含む)2万


販売の場合


3割+諸経費となります



10:00~17:30頃まで(月曜休み)



お問い合わせ・古民家ギャラリーうした


    082・221・5401まで
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旅のラゴス    筒井康隆

2016-01-21 19:34:14 | 筒井康隆
徳間書店   1984年~1986年




主人公ラゴスが有る世界を南から北へ、旅する。ある土地では王




となり、二人の女と結婚したり、盗賊の奴隷となり、働いたこと



もある。その世界に漂着したロケットに包まれた書物を十五年も




勉強したが、盗賊に投げ捨てられたこともある。様々な旅を通じ




て経験し、成長し、老い、デーデを求めて、氷の女王に会いに死



への旅に出るまでを描く、巨編。今まで読んできた筒井康隆さん


とは一味違っていて、胸を打つ作品に仕上がっている。幅のある



作品。
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