松永美穂・訳 新潮社 2000年
3部構成になっていて、1部では、36歳と15歳の
情熱的な関係が描かれ、これはそこはかとないエロ
小説なのか、などと思っていると、第二部ではナチズム
のアウシュビッツでの女看守の裁判に36歳のおとなの
関係になっていたハンナという女性が現れ、裁かれてゆく。
朗読がこの本の大きな鍵となっていくのだが、ハンナ
という女性は分盲なのだ。文盲であるが故に裁判では、
不利な状況に陥り、終身刑を言い渡されてしまう。
肉体関係、それも15歳でもった女性が戦争犯罪人
だったことで、罪の意識に苛まれつつ、朗読した
テープを18年送り続ける。そして、出所という
その日、ハンナは自殺してしまう。久しぶりに
マジで泣いてしまった。この哀しみはどこから
くるのだろうか。ぼく自身、よく分からなかった。
分からないが、哀しすぎて、涙が止まらなかった。
(読了日 2024年6・26(水)0:23)
(鶴岡 卓哉)