古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

朗読者 ベルンハルト・シュリンク

2024-07-25 12:50:14 | 大道珠貴
松永美穂・訳 新潮社 2000年

3部構成になっていて、1部では、36歳と15歳の

情熱的な関係が描かれ、これはそこはかとないエロ

小説なのか、などと思っていると、第二部ではナチズム

のアウシュビッツでの女看守の裁判に36歳のおとなの

関係になっていたハンナという女性が現れ、裁かれてゆく。

朗読がこの本の大きな鍵となっていくのだが、ハンナ

という女性は分盲なのだ。文盲であるが故に裁判では、

不利な状況に陥り、終身刑を言い渡されてしまう。

肉体関係、それも15歳でもった女性が戦争犯罪人

だったことで、罪の意識に苛まれつつ、朗読した

テープを18年送り続ける。そして、出所という

その日、ハンナは自殺してしまう。久しぶりに

マジで泣いてしまった。この哀しみはどこから

くるのだろうか。ぼく自身、よく分からなかった。

分からないが、哀しすぎて、涙が止まらなかった。

(読了日 2024年6・26(水)0:23)
              (鶴岡 卓哉)


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新版 悪魔の飽食 森村誠一 

2024-07-24 00:45:32 | 大道珠貴
角川文庫 昭和58年

第七三一部隊と称される満州に展開していた

細菌兵器を研究していた施設があって、そこで

行われていた悪行の数々を暴いている。

ぼくは広島に住んでいて、時に原爆のことで

被害者だ、という想いがあったが、これを

読んで、加害者としてのWWⅡを知って

しまった。御国の為という言葉ひとつで残虐

になれる日本人。それは決して、我々とは

別の日本人ではなく、地続きの日本人の姿

なのだ。

その施設は寒天の腐った臭いが立ち込め、

「丸太」と称される人間(ロシア人他)の

人体実験につかう人間がいて、一日に数体消費

されたという。

人間が出来る最悪な非業とはこのことだろう。そ

の罪からは幾年月が過ぎても逃れられない気が

確かにした。

(読了日 2024年 6・22(土)17:53)
                (鶴岡 卓哉)


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料理心得帳    辻嘉一

2023-11-09 10:48:20 | 大道珠貴
中央公論社  昭和57年

ぼくの文学好きの発端というもののひとつに

料理文学というものがあって、檀一雄氏とか

から影響を受けている部分がある。

実際、2004~2012年までいろいろな

ところの厨房に立たせていただいて、武者修

行していて、今は、自宅で鉄板を使って、焼

きそば、ねぎっこ焼きなどを作っている次第だ。


料理は体得すべきだ、との教え通り、測って味

付けしたりするのはダメだと思う。焦げについて

も言及していて、二流どころのホテルで働いてい

たとき、これ、焦げてんじゃねえかよ、と先輩は

注意してきたが、焦げは大事な味のうちだ、と明言

されている。焦げは大事だ。焦げているぞ、と言って

いるうちはトーシローだ。食ってみれば、焦げてい

るくらいがいちばんうまい。

ウンチクもいっぱい載っていて、これはちょっ

と教えたい、というものもけっこうあったが、

魚を古語でイオといい、イという語尾の付いた

魚は古来より知られた魚だ、ということだ。タイ、

コイ、カレイ、ウグイ、セガイなどがそれだ、とい

うようなことが満載だ。残念ながら絶版らしい。

料理を志す人には一読して欲しいバイブルだ。

  (読了日 2023年9・28(木)0:15)





























































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絵画教室募集!

2021-01-31 14:09:19 | 大道珠貴

広島県牛田地区を中心に絵画教室に来ませんか?

 

子供は小さいときが大切、いい先生との出会い

 

がその子に一生いい影響を与えるかもしれませ

 

ん。

 

ご紹介するのは、先だって、教室で粘土を使って

 

描いた絵です。それぞれ、個性が光っています。

 

同じ絵を描かせることはせず、それぞれ、描きた

 

いという意思を尊重します。のびのびと描かれて

 

いるのがよくわかります。

 

鉛筆画はボクが描いたもので、エビです。毎週土曜日

 

13:00からやっています。どうです、一緒に描き

 

ませんか?

 

 

 

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アップルの人       宮沢章夫

2020-07-26 10:21:20 | 大道珠貴
新潮文庫     2008年

ボクはパソコン雑誌がかつて好きでよく見ていた。学生の

ころだが、すごく厚くて重いマイコンとか、ハッキングに関

する改造本とかを好んでよんでいた。よんではいたが、理

解していたのか、と問われれば、うーん、まったくわかって

いなかった。その雑誌の持つ、マシン的なフンイキが好き

だっただけだ。

で、今は、ボクはMACの人ではなく、ビル・ゲイツの方を

つかっているのだが、やはり、MACにはいささかの憧れ

はある。でも、なんとなく出会わなかったんだよねぇ。

パソコンとは関係ないが、ボクは笑うのがあまり好

きでない。人と話せば、笑うこともあるが、TVや本を

よんで笑いたくない。笑うと書いてあることをすべて

忘れてしまうからイヤなのだ。この本をよんでよく笑っ

た。でも、笑ったから書いてあることはほとんど覚えて

いないおれっちだった。……合掌。

                (鶴岡  卓哉)

































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あなたに褒められたくて     高倉健

2020-06-26 12:48:43 | 大道珠貴
集英社文庫      1991年

高倉健である。不器用なんである、と不器用なひとという

イメージのある健氏だが、このひとは意外と器用なので

はないか。

ひとに伝えるということもきちんとできるし、文章だって、

これ意外と個性的にして、的を射ていることを言うって

感じである。

あなたっていうのは、母(おふくろ)のことらしいです。

僕にこの本を読んでいえることは、稔侍は友達思いの

いいやつだってことです。稔侍、いいやつ。

この前、緋牡丹博徒を見たけど、やはり、健さんはカッコ

よかった。200本以上出演作がある、とおっしゃるが、その

どれもがキラ星のごとき作品であることはいうまでもない

だろう。あぁ、僕も不器用を気取って、街を肩で風切って

歩い……たら……うんこ踏んだ……合掌。

                  (鶴岡 卓哉)


















































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詩・影の言葉      鶴岡 卓哉

2020-05-27 10:30:36 | 大道珠貴
その自分を愛すことを怖れているのなら

影に聞くといい

影は君に言う

本当の自分かそうでないかを

それが本当の自分ならつきつめていくことが

何よりも重要な目的となる

その目的こそが自分の追い求める姿の指標となるだろう

追いかけることにより鍛えられる

その鍛錬こそが近道である事を影は知っていた

君に語りかける言葉のその意味は

後に形となって現われてくるだろう

その病を愛すことが君のする第一のことだったのだ

::::::::::::::

打っているうちにものすごくはずかしくなってきて

どうしようか、やめとこうか、とも思ったが、

もう打ってしまったし。

詩というものは、もともとはずかしいものなんだよねえ。

それは一種の公開処刑的な色あいもあるわけでさ。

まあ、いいや。



































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ショッキング・ピンク    大道珠貴

2018-06-28 15:53:27 | 大道珠貴
色キチ小説である。村上龍氏が「しょっぱいドライブ」で元気を奪う


といっていたが、この短編集で、その意味が分かってしまった。


元気の出ない「エロ」といったらいいのか。


ただスケベな文章でエロい。エロいことは悪いことではないし、文学


としても描く対象として壮大なものだと思うが、この人のズベ公エロ


はおばさんのスケベさから発しているようで、スタイリッシュさを感じ


ない。龍氏のエロさと絶対的に違うと思う。


おばさんの境界のないエロさを感じてしまう。


そこには、エロさに対する妥協とヌメヌメとハマってしまう弱さしかな



い。
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銀の皿に金の林檎を     大道珠貴

2018-06-23 14:43:30 | 大道珠貴
カバーに少女が小さなヤギをあやしているような写真がある。


モデルは土屋アンナ、写真は蜷川実花とある。圧倒的にダサ


いと感じるのはボクだけだろうか?。


この小説は夏海というテテなし子の女性の数奇な半生を描いている。


で、この人をボクは姐御と呼んでいるが、姐御の作品にはい


つだって驚かされる。最後の方で妄想で見るトモダチの姿に死


んじゃうのか、と思わせ、涙してみるものの、読み進めると、


ただの腰痛で入院って。


タイトルのセンスのなさといい、品のなさといい、お下劣小説


街道まっしぐらである姐御であった。
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傷口にウォッカ    大道珠貴

2018-05-21 00:46:41 | 大道珠貴
講談社文庫  2005年1月


40歳の永遠子の恋愛遍歴を描く。クリトリスにバターを、的な


ことかと思うが。


性への描写が赤裸々に描かれるが、妙なイヤラしさもない、というか



辟易してしまうようなところがなかったのが救いだ。


カラッとしている。


たぶん、本人は異様にどろどろとした気分なのだろうなあ、と察するが


文学としてみたときに、それが、穢れではなくなっているのだ。


この人の特質だろうなあ、と思う。


しょっぱいドライブでも、どろどろを描きながらも、カラッとしたと


ころが読ませてくれた。


その書き方が踏襲されていて、さらに、パワーアップしている、という


感じである。


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