古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ハクビシンを飼う     中島京子 

2022-09-22 15:00:15 | 中島京子

講談社文庫   2013年  「妻が椎茸だったころ」所収

 

ここで問題になってくるのはHの作為性という問題。ハクビシン

 

の墓参りをして、速攻Hって、ないんじゃないか。あまりに唐突

 

過ぎてびっくりした。違和感しかない。ハクビシンを飼う、って

 

のも妙だ。そんな人いないんじゃないか。

 

設定その他、いろいろなところがガタピシ破綻していはしないか。

 

でも、こういう破綻している小説を好んでいる読者層もいるらしい。

 

でも、ぼくは読み物として破綻しているのは、いささか問題がある

 

んじゃないか、と思っている。

 

問題はいささかもない、と読むのは無神経のような気がする。そう

 

思って読んでみると、これまで読んできた「五つの短編」はどれも

 

いささか問題を抱えていたようだ。逆にそれがこれらの短編の魅力

 

となっているようにも感じたことも確かだ。

 

           (読了日 2022 8・25 9:03)

                 (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

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蔵篠猿宿パラサイト   中島京子

2022-09-21 22:59:39 | 中島京子

講談社文庫  2013年 「妻が椎茸だったころ」所収

 

こういうヘンなつくりばなし、嫌いじゃない。特に、二階に

 

寝ていて、ジャラジャラ音がするから文句を言いに行ったら

 

そこの三代目の部屋で、石が敷き詰められていて、石ヲタだって

 

いうはなしは面白いと思った。つげ義春のこともちょこっと

 

でてくるし、その手の人には嬉しい限りだ。

 

パラサイトっていうのは、寄生虫って意味じゃなくて、探検家

 

パラスの名前の下に石を表すiteがついて、パラサイトという

 

らしい。猿宿というのは、まあ、説明すると長くなるので、

 

やめておきます。

 

これも恋愛小説ってカテゴリーに入るのかな、なんか由香さんが

 

石ヲタの三代目が気に入っている、みたいなのがでてくるけど、

 

いやいや、これは、旅小説なのか、いや、違う気がする。

 

      (読了日 2022 8・25 0:35)

            (鶴岡 卓哉)     

 

 

 

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妻が椎茸だったころ    中島京子

2022-09-20 00:53:33 | 中島京子

講談社文庫   2013年

 

表題作のこの作品を読んで、このタイトルの意味が当たり前だが

 

分かったのだが、なんだそんなことか、と肩すかしを食らった

 

ような感じだ。

 

突然死した妻が、残したノートに、私が椎茸だったころ、と書かれて

 

あったのだ。それにしても、と思う。フツーのリーマンをやっている

 

人ってこんなに想像力がないのか。そんなに想像力がなくて、仕事は

 

きちんとできているのか、と心配になる。乾燥した椎茸を包丁で切ろう

 

とするって、やり過ぎではないか。作り過ぎではないか、という気が

 

する。どんなに料理をやらないバカリーマンでもそんなことは

 

しないだろう。焦がすし、そんなバカじゃあ、仕事できないだろう、

 

と思うのだ。

 

ちらしずし作りが描かれるが、そこのところはすごくおいしそうだ。

 

ちらしずし、ぼくも大好きな一品だ。

 

              (読了日 2022 8・23 1:05)

                            (鶴岡卓哉)

 

 

 

 

 

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ラフレシアナ    中島京子

2022-09-19 03:01:00 | 中島京子

講談社文庫 2013年 「妻が椎茸だったころ」所収

 

ラフレシアナとは、ネペンテス・ラフレシアナという食虫

 

植物のこと。

 

さるパーティーで立花一郎というごく平凡な名前の男と出会う。

 

というか、遭遇する。亜矢という女性。それがきっかけで、近所に

 

住んでいた一郎に、ネペンテスの世話を二週間任される。

 

それからほどなくして、一郎にはラフレシアナのような毒々しい

 

カノジョができる。どうかと思った亜矢は、一郎をパーティー

 

に誘った友人にも相談するが、一郎はネペンテスのような女に

 

夢中で、あんなに熱中して育てていたネペンテスの温室も捨て

 

てしまっている。激怒した亜矢に、一郎は引っ越しする、

 

ネペンテスもネットで売ってしまった、という。その亜矢の

 

部屋はかつての一郎の部屋のようにシンプルで、食虫植物をいくつも

 

育てているという話だった。

 

まあ、ヘンな話と言えばヘンな話だ。けど、この話、そんなに

 

キライじゃないような気がした。割りと好きな話ですらあった。

 

           (読了日 2022 8・22 4:04)

                        (鶴岡卓哉)

 

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リズ・イエセンスカのゆるされざる新鮮な出会い  中島京子

2022-09-16 15:22:33 | 中島京子

講談社文庫 「妻が椎茸だったころ」所収 2013年

 

「甲斐左知枝」のアメリカ留学していたころの思い出を描く。

 

友人の引っ越しの手伝いをしていて、リデル・ストリート

 

といった言葉を聞いたところから、そのリズ・イエセンスという

 

おばあさんと出会って、泊まった思い出が語られる。

 

それはたわいもないエロ話に聞こえるが、印象深い手法で語られていく。

 

ああ、こういう語り方もあるのか、とタイヘン勉強になった。

 

この中島女史は「小さいおうち」を拝読し、いたく感銘を受けたことがある。

 

映画化もされたが、あまり好きではない俳優が出ていたので、見なかった。

 

この短編集は、「妻が椎茸だったころ」というタイトルに惹かれて買ってみた。

 

              (読了日 2022 8・21 22:11)

                    (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

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小さいおうち     中島京子

2018-06-09 16:01:14 | 中島京子
文藝春秋 2010年


「女中」のタキの目から見た小さいおうちで起きた戦中のできごと


を歴史の視点からではなく、生活の目から見て描かれている。


まるで、「タキ」という人がいたように思えてくる。


中島京子女史とご関係だったのか、とか想像してしまう。まったくの


創作なのか、とか妄想するのも楽しみの一つである。


ただ、どんな時代でも庶民というのは、意外とたくましくたのしくやって


いたということだろう。


ヒミツの恋があったり、そこは、けど、この作品では読みどころじゃない


気がする。


デテールにこそ神は宿るで、この小説の生活感こそが、この作品のキーワード


となってくるのだろう。



ラストの章では、意外な展開を見せるというのも読みどころの一つだろう。
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