古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

アメリカン・スクール    小島信夫

2016-07-31 10:05:45 | 小説の紹介
第三十二回昭和二十九年下半期



児島信夫氏の代表作。英語の教師らが学校の


参観に行く。その道すがら、伊佐という教師



が極端な位、英語を話すことを嫌う。それなら、


英語の教師にならなければいいじゃないか、と


いうか、なれないだろ?と云うとこの話しは終



わってしまう。日本国全体を体現している伊佐は


、そのどうしようもない立場でどうすることもで


きず、足の靴擦れを気にするのみだ……。我々は


足を痛め、英語を喋ろうとしない英語教師という



劣等を同情をもって見ることになる……。
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驟雨    吉行淳之介

2016-07-30 09:24:01 | 小説の紹介
第三十一回昭和二十九年上半期



娼婦の道子との関係を描いた作品。娼婦のことを


描いている割には、そんなにイヤらしくはないと


感じた。ある程度乾いた感覚というものがあるの


ではないか。まだ戦後の赤線というものが残ってい



たころの話しであろう。娼婦というものが自分のも



のにならないというもどかしさがきちんと描かれて



いたように思う。
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族長の秋  ガルシア・マルケス

2016-07-29 04:08:06 | 小説の紹介
集英社。


めくるめくような文學世界にはじめ僕は


戸惑ってしまった。言語体系が違うので


はと思ったのだ。ファシストを扱った話


であると思うのだが……。その頭の中に渦


巻いてしまうような文体に気圧され乍らも


読み進めてゆくと、最後にはすっかりその



文学のとりことなってしまってゐる自分が


いた。暑いのも気にせず読んでいた。そこ


には確かに魅力にあふれたマルケス文学が


リンと存在していた。
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棚谷彰  被爆じぞう写真展

2016-07-28 13:27:37 | カフェ、ギャラリー
2016年8月2日(火)~8月21日(日)


まで古民家ギャラリーうした、Pカフェで



棚谷彰さんの被爆した地蔵を映した写真展



をーものいわぬかたりべたちーを題とし


て行います。



地蔵の持つ温かみ、あるいは、やさしさ、



厳しい中に、そういうものを持っていると


感じ取れる写真の数々です。あなたも慈し



みのある地蔵の心に心打たれるかもしれま



せん。



許可を取るために奔走しました。ご協力い




ただけたお寺には感謝いたします。



是非この機会に、地蔵の持つ魅力に触れて


みたらいかがでしょうか?


暑いですが、お待ちしております。
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檀流クッキング     檀一雄

2016-07-26 18:38:10 | 本の紹介
中公文庫   1975年。


昭和44年2月から毎週一回サンケイ新聞に


連載された。昭和46年6月までの全九十四


回分が収録されている。この時代はまだ男


というものは台所に立つべからず、が色濃


く残っていたらしい。僕はこの本に書いて


あったオクラを小口切りにして、大根おろ



しと和え、冷蔵庫で冷やし、ゆず酢と醤油



をかけて、ちりめんじゃこもあればかけて


食す、というのをよくやるようになった。



夏にぴったりの料理といえるだろう。と



てもおいしかった。ほかの料理もさぞや



おいしいのであろうな、と思う。
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無明長夜     吉田知子

2016-07-25 17:55:01 | 小説の紹介
第六十三回昭和45年上半期


御本山に想いのある女性がそこで見た男性を


想い続け、出会い、失望しつつ……というよう


にも読み取れる。要素は有り余るほどあり、



読んでいて、飽きることはない。ヘンな話し



系ではある。



泉鏡花賞なども獲られている。
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夏の流れ    丸山健二

2016-07-25 04:18:41 | 小説の紹介
第五十六回昭和41年下半期



23歳にして、死と向き合う看守の話しを書


くとは、なんと早熟なんだろう。しかし、そ


の文体はさらっとしていて、爽やか過ぎるく


らいである。釣りとか家族で行く海岸などの


死刑執行との対比を狙っている。お腹の中に


赤ちゃんが宿っているとか、作為的なのがち


ょっと、鼻についてしまった。しかし、構築


された世界として読むにはいいかもしれない。
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玩具     津村節子

2016-07-24 19:53:30 | 小説の紹介
第五十三回昭和41年上半期


女性らしい視点で夫婦を見つめ描いている。



その夫婦はDVにちかいものがあるが、六


十年当時はこういう家庭は珍しくなったの


だろうか。世界が狭い、という批判がある


が、広い世界を踏まえるためには、まず、


周辺の世界を見つめなければならないだろう。


それに、こんな地味な作品、誰も書こうと


しないだろう、貴重な作品である、と思われ


る。こんな作品に文学の深さを見るのも一興


という気がする。
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されど、われらが日々ー    柴田翔

2016-07-22 22:14:14 | 小説の紹介
第五十一回昭和39年上半期


芥川賞は短編の賞だと思っていたけれど、この作品



は二百八十枚。こういう例外もあるのか、と。今、


読むとこんな理屈っぽく生きている人は、今の時代


には皆無じゃないかな、と思う。母の世代なので、母


に聞くとこの時代には毛沢東の本を小脇に抱えた人が



たくさんいたということだから、なまじ、こういう人も


いたのだろう。しかし、今では鬱と診断されてしまいそ


うな、自殺するほどの疲れ、という理由なきものは、な


んとも若さを感じさせない。その当時の人たちはそんな


に疲れていたのだろうか、今よりもっと原始的な疲れか


もしれないけれど。どの告白も同じ調子、という批判も


確かに。手紙も同じ調子でした。でも、それを覆すほど


の魅力をこの作品はもっていると思うのでした。


柴田氏はこの作品後、余りお書きにならなくなったとか、



そういう意味では貴重な作品であることは確かです。
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悪い仲間     安岡章太郎

2016-07-22 17:36:27 | 小説の紹介
第二十九回昭和28年上半期



古山高麗雄らとともに送った青春の荒くれた



暴力的な日々を描く。どんどん悪化していく


様や、細かなところが実によく描かれている。


古山氏の書いたものも拝見したが、どちらも


イキイキと描かれていた。素晴らしき哉人生、


的な日々ってことですかね……。
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