古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

夢の中の魚屋の地図   井上荒野

2019-03-04 21:29:55 | 井上荒野
集英社文庫 2014年1月


著者二八歳から2014年までの二十四年間に書いたエッセイ。


父上の光晴氏が生きていた頃のエピソードや、母上のエピソ


ード、古本屋をやっておられるという旦那さんのはなしなど。



赤裸々に語られていて、実におもしろい。


二八歳から十年ほど病気やなんかで書かれていなかった時期が



四十過ぎまで続くらしいが、人間、そういう時期も必要なのか


もなあ、と思えてくる。


実に活き活きとしていて、精彩があるエッセイ集だった。


竹のこの先を「とん先」というらしいけれど、ボクは「とん先」


とは言いませんね。


後付記するとしたら、ネコ派作家なのでネコ好きの同輩にも



オススメです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

切羽へ     井上荒野

2018-05-01 10:00:17 | 井上荒野
新潮文庫   2008年。



人妻の切ない恋愛小説というと、きこえはいいかもしれない


が、ダンナとやりまくっていて、恋もあったもんでもないだ


ろうが……と思うが。


いろいろな要素、しずかおばあさん、本土さん、その愛人、そ


して、島に単身やってきたセイの気になるお相手石和と、それら


が、複雑な交響楽さながらに奏でられていく。まあ、ありていに


言えば、テーマはセックス、ということになろうが、大人な読み物


であることは違いない。どろどろした関係性、心のありように、


ボクはたじろいだ。おれっちは恋愛小説はおろか、恋愛とかダメなん


だよねえ、人の粘膜とかムリだし、ということを忘れておったわ


けです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする