古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

大衆小説に関する思い出 鶴見俊輔

2024-12-23 04:50:02 | 本の紹介

「素敵な活字中毒者」椎名誠・選 所収。 集英社文庫

 

昭和十七年

 

ぼくはこの鶴見氏と云うお名前を存じ上げなかった。

 

自身、小学生の頃に、毎日4円の大衆小説を読んでい

 

たことが読書歴の始まりだという。

 

父は政治家の裕輔氏だと云うことなので、自宅には本が

 

たくさんあったのだろう。

 

目を悪くしたので、大人になってからは、あまり読書は

 

していないと云う。今では大衆小説は純文学とあまり

 

変わらなくなってしまったように感じる。

 

純文学が大衆小説化してしまっていると感じる。

 

この8P余りの短いエッセイは、「女性改造」に昭和

 

十七年に発表され、「読書のすすめ」に昭和五十四年に

 

収録されたと云うことだ。

 

(読了日 2024年11・27(水)22:08)

                (鶴岡 卓哉)

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行きつけの   井上ひさし

2024-12-22 10:40:09 | 本の紹介

「素敵な活字中毒者」椎名誠・選 集英社文庫

 

昭和五十三年

 

こういう色々な作家を紹介できるとは、なかなかにして

 

幸甚である。

 

井上氏は山形県生まれ、上智大に行って、在学中より

 

テレビの懸賞ドラマなどに入選。「ひょっこり

 

ひょたん島」を手掛けた。小説「手鏡心中」で直木賞

 

を受賞されている。

 

ここに載っているのは4P余り。「週刊文春」の

 

「本の枕草子」に収録。

 

本屋の行きつけについて書いている。ぼくには、アカデミイ

 

書店と云う古本屋の行きつけがあり、けっこう広島では

 

有名なところだ。二か所あり、金座街店と本通り店がある。

 

行くと、やはり、面白い本があり、そこで、仕入れる本ばかり

 

である。店員が2、3名の本屋が行きつけにはよろしく、

 

十名以上はスーパーだと云う。

 

ひさし氏は2010年4.9。75歳で亡くなっている。RIP。

 

(読了日 2024年11・27(水)21:40)

                 (鶴岡 卓哉)

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一九七八年(一月~六月分)  殿山泰司

2024-12-21 02:47:32 | 本の紹介

「素敵な活字中毒者」 椎名誠・選、所収。 集英社文庫

 

昭和五十二年

 

父親が広島出身で殿山氏自身は銀座で少年時代を

 

過ごしたそうだ。

 

だが、エッセイの中でも時たま、広島弁が顔を出す。

 

俳優で、もし名前を知らなくても、顔を視れば、あぁ、

 

この人ね、と映画好きなら分かるはず。もっとも、

 

映画好きなら、勿論、ご存じのはずだ。

 

中国に召集されて行ったが、帰って来て復帰。

 

日活ロマンポルノから、巨匠の作品まで幅広く出演

 

した。三文役者を自称し、フリーの名脇役として、

 

異色の俳優人生を歩んだ。

 

1989年に亡くなっているので、この本の出版

 

された1983年にはまだご存命だった。訳本の洋書の

 

ミステリーを数多く読んでいたようで、この頃はいい

 

本がたくさん出版されていたようで、点数を付けているの

 

だが、95点が結構出ている。

 

口語体で話しかけるような文体だ。ここまで読んで来て、

 

思ったのは、優れた書き手は既に皆、死んでしまった、と云う

 

想いだ。73歳で亡くなっている。1989、4・30。RIP。

 

(読了日 2024年11・27(水)21:15)

                 (鶴岡 卓哉)

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冬眠日記 大岡昇平

2024-12-20 02:38:24 | 本の紹介

「「素敵な活字中毒者」椎名誠選」所収。 集英社文庫 

 

 昭和五十六年

 

1909年3月生まれ、戦争に昭和十九年に

 

応召され、行っている。

 

フィリピンで俘虜となり、一年間収容所生活を

 

送り、その後、作品にした「俘虜記」で横光利一賞

 

を受けている。

 

最も有名なのは、「野火」だろう。

 

冬眠日記は文学界の「成城だより」に収録されて

 

いる。昭和五十五年の一月九日からはじまり、二十一

 

日まで書いたのが載っている。

 

一日、十時間以上眠り、病院に通っていて、糖尿病が

 

問題らしい。風邪をスナックでもらい、引いてしまっている。

 

難しい文学的諸問題について考察しているが、私めには

 

全く理解できませんでした。

 

でも、楽しかった。先生と呼ばれる人の頭の中、どうなって

 

おるのでしょう。1988年没、79歳、RIP。

 

(読了日 2024年11・27(水)19:27)

                 (鶴岡 卓哉)

 

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昭和幻燈館    久世光彦

2024-12-19 12:52:07 | 本の紹介

中公文庫  1992年

 

昭和も末になる頃の、TVプロデューサーの久世氏

 

の世界を垣間見ることが出来る一冊。

 

同潤会のアパートに身を潜ませたい、と願ったり、

 

ヴィスコンティのヴェニスに死す、の主人公、アッシ

 

ェンバッハは作家から作曲家になったのは、ワーグナーの

 

影響であるとか、〈夭折〉した久坂葉子に言及したり、

 

それにしても、ぼくは夭折の機会を逸してしまった

 

ようだ。ずるずると生きてしまった自分が恥ずかしい、

 

と同時に、ずっと長生きしてやるという感慨もある。

 

高畠幸宵と云う人への言及。美人画で有名だったが、

 

竹久夢二よりマニアックだ。

 

または、なかにし礼という作詞家への言及。「同棲」ソングの

 

発明を指摘している。

 

または、上村一夫、向田邦子らへの言及。言葉に対する

 

感度の問題。

 

または、誰も知らないような、野溝七生子と云う陰棲作家

 

について語る。

 

最後に、北か南か問題への言及。結果、ぼくは南に向かったわけだが

 

ぼくには後悔はない。寒いのは好きだが、寒すぎるのはちょっと。

 

夏も終わり、昭和も終わって久しい、久世氏の死から18年、

 

死んだ人には敵わない……そうだな、その通りですよ。

 

(2024年11・27(水)17:00)

             (鶴岡 卓哉)

 

 

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J・J氏と神田神保町を歩く   植草甚一

2024-12-18 08:21:34 | 本の紹介

集英社文庫  昭和四十八年

 

このエッセイは、「宝島」の「こんなコラムばかり新聞や

 

雑誌に書いていた」と題し、寄稿した昭和四十九年に発表

 

されたもの。J・J氏とは植草氏その人である。

 

古本蒐集のすさまじさは有名で外国まで出かけて大量に

 

洋書を買い込んだという。

 

さすがにすごいな、と思わされたのは五十数冊買い込む

 

のもそうだが、それを持ち歩く腕力だ。ぼくも買う時は

 

十冊ほど買うが、けっこう重いよ。短い中に、洋書の寸評

 

などあって、楽しい。勉強になったのは、迷ったら買え、という

 

潔い忠告だろう。すれば、古本の神が次々と良い本に導いて

 

くれるという、なるほど!

 

71歳で亡くなっている。R.I.P.。

 

(読了日 2024年11・25(月)6:15)

                (鶴岡 卓哉)

 

 

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書盗  内田魯庵

2024-12-17 05:21:30 | 本の紹介

ぼくはもっぱら、楽しみの為、一択で本を

 

読んでいる。それでいいのだ、と思ってい

 

るのだが、この世には本を悪書として憎悪

 

し、或いは、愛する余り、燃やしてしまうひ

 

ともいるらしい。

 

今日は、内田魯庵と云う昔の翻訳家の短編です。

 

ーーーーーーーーーーー

 

集英社文庫   大正三年

 

一語一語愛でるように読んだ。それくらい昔に

 

つかわれていた漢字には力がある。

 

今の漢字を軽く感じた。内田魯庵と云う人は、

 

ドストエフスキー「罪と罰」を訳出するなどして、

 

十九世紀文学を日本に初めて紹介したひとという

 

ことだ。

 

書盗とは、本当に本を盗む人のことで、昔はいたらしい。

 

借りて返さないこともそう言うと云い、法皇も致したこと

 

があると言う。その手の類例を挙げている。その次に

 

書狂と云うのを紹介している。これは書を護符かなにかの

 

ように思って集めることだけに専心し、書を愛す余り狂って

 

いるように見える人のことを言うらしい。ある英国の金持

 

ちの蒐集家が自分の持っている本の他にもう一冊巴里に

 

あると知って、海を渡り、その本を売ってくれ、弐萬五千

 

フラン払う、と言って、漸く売ってもらい、英国に帰り、

 

その本を燃やしてしまい、これで、私の本は一冊になった、と

 

天下一品になったことを喜んだと言うが、これは、

 

作り咄しかもしれに、と断っているが、本を燃やすとは

 

これは恐ろしい話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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何のために小説を読むか? 石橋喬司

2024-12-15 03:17:58 | 本の紹介

集英社文庫   昭和五十六年

 

何のために読むのか? 五つの要求に分けて

 

分析している。うーん、ぼくは思うに、こう

 

いうのに意味はあんのかなア、なんてね。言葉

 

尻で理解して読んで、それがどうしたってこと

 

ですよ。この人は推理ものをよく読む評論家み

 

たいだね。昭和六十三年から、六十四年の推理もの

 

のベストナンバーを挙げている。その中で、読んだ

 

のは、アガサ・クリスティー「鏡は横にひび割れて」と

 

ロス・マスドナルド「縞模様の霊柩車」のふたつ。これだけ

 

で想像するに、なかなかセンスはいいらしい、と伺える。

 

ロス・マクドナルドは三回くらい読んだ記憶があるから。

 

まあ、ご自身も、面白い本を読むときは〈何のために

 

読むか〉などと自問はしないはず、と結んでいる。

 

(読了日 2024年 11・24(日)20:25)

                  (鶴岡 卓哉)          

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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本をたべる 田辺聖子

2024-12-10 13:09:18 | 本の紹介

やっぱり、人生は忙しいよりヒマと云う方が

 

どっちかというと芳しいのかもしれませんね。

 

気が向いたので、田辺氏の短編をご紹介します。

 

ーーーーーーーーー

 

OL生活の傍ら、同人誌「航路」に参加したこと

 

が契機になって、作家になったという。

 

こんなに文学を愛していたひととは知らなかった。

 

たべたいほど好きな小説があるって、なんて素敵

 

なことなんだろう。

 

自分でオリジナルの装丁をしてしまう。抱いて寝て

 

しまいたくなるほど好き。

 

今の小説と云うのは、あと何ページもあるのかと、

 

溜め息をついてしまう小説が多いようだ。

 

好きな本と出会ったら、そんなことはない。あと、

 

これしかない、終わってしまっても、ただ、感動に

 

浸るのみ。そんな本と出会えたひとは幸せである。

 

ぼくはどうかと言えば、最近、読んだので言えば、

 

谷崎、梅崎春生、ドナルド・キーン、J・G・バラード

 

なんかは夢中になって読んだ本である。

 

(読了日 2024年11・24(日)1:10)

                (鶴岡 卓哉)

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愛書人行状記  武井武夫

2024-12-09 07:08:37 | 本の紹介

集英社   昭和五十年

 

この武井氏は、よく存じ上げないが、童話雑誌の

 

挿絵画家から出発された方だということだ。

 

豆本を愛した男の話しや、引っ越しの際、トランク

 

に入っていた貴重な本を野球をやっていた少年が

 

盗む、そして、愛でているところを一年後にみつ

 

かって、返すことになった話し。盗むと云えば、

 

倉本聰氏の北の国からで、マイコンと云うぶ厚い

 

雑誌を友達から盗んでしまう、という話しがあっ

 

たな、などと思い出した。

 

書痴と云う言葉は初めて知ったが、書に惑溺している

 

男ないし、女、もしくは、どちらでもないの意故、た

 

だの本好きとは違うらしい。いわば、私めなんかは

 

書痴ではないんじゃないか、とふと思うのであります。

 

いや、そうでもないか……。

 

(読了日 2024年11・22(金)18:10)

                 (鶴岡 卓哉)

 

 

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