古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

墓を探す   川上弘美

2024-02-26 02:03:59 | 川上弘美
中公文庫   1996年

先祖に憑依した姉のふくらはぎを見つめて

歩き、墓を探す姉妹の物語である。

先祖は大事であり、その先祖が祀ってある墓を

父の幽霊がつまらないから先祖の墓を探して

くれ、と言ってきた。というのも、とても怖い。

ちょっとヘンな人なのかな、今更ながら川上さ

んのことをそう思う。いや、相当ヘンな人だ。

キレイなのに、残念な人と言われてしまいそうだ。

部屋も汚いし、すごくエッチだしね、川上さん、と

勝手に思っているわてだった。

芥川賞を獲ってから27年も経っているのか。そうか

この作品も27年も前のか、それにしては、全然、

古びていない。それどころか、今の感覚ととても

合致するところがある。




































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婆  川上弘美

2024-02-23 14:26:20 | 川上弘美
中公文庫 1999年

一回は挫折して、寝かせてあったが、この

「婆」を読めて本当に良かった。こういう

ナンセンスというかシュールな感じなのが、

好物の人にはたまらん一篇。傑作のなのは、

穴の中に入って味の分かるようになった主

人公が、茂みに隠れて足音を見ている人に誘わ

れて、過ぎ行く人の腰から下をじっと見る、

っていう。なんかいいよね。その意味の分かん

なさ。これぞ、文学だよ、と思う。穴の中に

入った主人公がある種、覚醒する局面の一節、

「目を開けると月がいくつもいくつも飛び回っ

ていて、挨拶するように、接吻するように、

軽く顔や体に触れる」ってところ。

ナイーブで、感じやすく、それで、目覚める

感じが出ていて、すごくいいよなあ。

うーん、この人は天才だな。

(読了日 2024年1・6(土)22:52)
              (鶴岡 卓哉)

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光ってみえるもの、あれは  川上弘美

2023-04-15 09:04:47 | 川上弘美
中央公論社   2003年

川上女史にはちょっと不思議系とフツーの日常系と

エッセイものといったような分け方ができるかもし

れない。

これはフツーの日常系に属するものらしい。翠という

高校生の恋愛や、母親や祖母、籍を入れなかった父や

キタガーと呼ばれる先生との関係が語られる。

この本は110円だったんだよねえ。えっ、川上女史

の未読本が110円! と即買いだった。

勘は外れていず、某木皿泉で創作ものがちょっと作為性

が鼻について、やめてしまったことがあったので、大丈夫

かな、と思ったが、その妙なリアリティのおかげで楽しく

読むことができた。ぼくと川上女史は相性がいいらしい。

いや、勝手にぼくがそう思っているだけなのであるが。

文學とはなんぞや、を考えるのにもよかった。きっと、

文學って、そんなにしんどいものじゃない、と思えたのが

ぼくにとっていいことだったと思う。

 (読了日 2023年3・28(火)23;40)
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東京日記6      川上弘美 絵・門馬則雄

2021-05-26 10:32:57 | 川上弘美

さよなら、ながいくん。    2021年

 

アマゾンで川上女史をチェックすると、なんと東京日記6

 

がでているではないか! これは速攻ポチッ案件ですな。

 

一層、物語性が強くなった気がする。そもそも日記という

 

ものはひとつの人生という物語であるわけだけれども、この

 

日記も20周年だそうです。

 

このながいくんというのは傘ですね。台湾まで持って行った

 

長い傘。ながいくんを不覚にも東京で失くしてしまうという

 

話しですね。

 

川上女史はいつも通りビクビクして、少し泣いている。お約

 

束である。そこがチャーミングで、なんとも抱きしめたくなる。

 

いえいえ、気持ち的にですから、ご安心を、って何に?……合掌。

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猫を拾いに    川上弘美

2020-01-21 11:11:22 | 川上弘美
新潮文庫   平成30年


SFチックな表題作、猫を拾いに。ここでひとつ疑問がある。


猫は拾いに行って見つかるものだろうか。大抵、偶然見つけて



拾っちゃった、というのがフツーではないだろうか。見つかる



はずのないものを探しに行く、旅。それは果たして、旅という


ものになっていくんだろうな。


川上女史の真骨頂はこの短編というものにあるんだと思う。前に


読んだパスタマシーンの幽霊もよかったが、この作品集も随所に


冴えを見せる。想像力の横溢、氾濫状態に文学ってサイコーだな、


と思える。


ボクらは非日常を希求するが、それらをあたえられるってことは


そうにない。しかし、本一冊で夢のような映像と非日常が手に入


ってしまうこの作品集はなんといっても読むドラッグといっていい。


………………合掌。
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パスタマシーンの幽霊

2019-08-03 08:06:18 | 川上弘美
マガジンハウス     2010年


このつくったはなしをリアルとして考えると、僕は不思議に思う、こんな


に世の女どもは恋愛を繰り広げていたのか、と。そりゃ、45になったら


ババアにもなるだろう。


この本はたいてい恋愛小説仕立てである、レンアイしたことのない奇特な


オレはよくわからんが、とても楽しそうであった。失恋して泣いたり、オ


レは女じゃないのでわからんが、女だったら、一度くらいは失恋でもして、


思い切り泣いてみたかった。


小さい男の人がでてきたり、とても奇妙なところのあるはなしだが、やはり


川上流ってとこか。ボクは川上さんのちょっとヘンなところがスゴく好きな


のだが。


常識から逸脱している、けど、完全な逸脱ではなく、はみだしてしまったと


いった感じの逸脱。


ボクも恋愛小説のひとつでも書いてみようかなぁ、ってしたこともないのに



ムリですかね?………………合掌。


                       (鶴岡 卓哉)
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ハヅキさんのこと    川上弘美

2019-01-23 11:45:44 | 川上弘美
講談社文庫   2006年


ボクは恋愛小説ていうのは苦手の一つなのだが、この短編集


は受け入れられた。


ボクは度々、川上弘美のポップ文学としての側面に言及して


きたが、この作品も実にポップだ。


3分きっかりの曲のように、短くタイトで引き締まっていて、


後味が悪くない。さっぱりとしていて、実に口溶けが良い。


でも、川上文学にとって、ポップ文学ということだけが、特筆


すべきことではない。


いつも川上さんを読み、驚くのだ。


驚くことこそ、実に小説として、果たすべき、効能なのかもしれ


ない。
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竜宮    川上弘美

2018-12-08 08:32:03 | 川上弘美
さて、と、今日も張り切って、書評のほうしていきましょう。


今日は、川上弘美さんの竜宮です。


Pカフェは今日もがんばって営業します。古本、興味ある方は


ぜひお立ち寄り下さい。



竜宮・川上弘美    文春文庫  2002年6月


川上さん特有の不思議な話の数々。こういうはなしを分析しようとすると


とたんに色あせ、つまらなくなってしまう。そんな無粋なことをせず、ただ


楽しめば良いんだと思う。


川上さんはエッセイストの顔を持つ。そこでは、子供も産んでいることが


明かされ、結婚も何度かしているらしい。やはり、女の人は結婚したことが


ある人の方が、信用できる。子供を産んだことがある方が尚更いい。


という、ボクは結婚もせず、子供もいないんだけれども......合掌......チーン。
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ほかに踊りを知らない。 川上弘美 絵・門馬則雄

2017-12-31 13:50:14 | 川上弘美
東京日記2。2004年5月号~2007年4月号「東京人」


(今年、ラストになにをご紹介しようと思ったが、悩んだ末に


今年ベストだった、東京日記2にしようと思い至った。)


五分の四が本当というこの東京日記シリーズ第二弾。


この作品は文学でできるおもしろいことを具現している。


ときにちょっと泣き、壊れた電話の前で踊り、風邪をひいて、


何日も同じつゆでうどんをたべる。


ちょっとヘンだけど、やっぱりフツーではおもしろくない、


と思っているひとには格好の、元気になれる本である。


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不良になりました。東京日記4 川上弘美 絵 門馬則雄

2017-12-24 10:01:07 | 川上弘美
不良になったとは耳にピアスを開けた川上さんに向かって



息子が言った言葉から。



海外にもよく行かれているようだが、外国は言葉が通じな



いので怖い、という。ボクも外国は怖いです。できれば、



飛行機にも乗りたくありません。



気になる、登場するものの中にイグアナの「アイドリング」



というのがいますね。布団と一緒に干されていて、そのあと、



主人の頭に巻き付いていた彼(?)です。なかなか気がき



いています。



ちょっとひととは違った視点でものをみると、世界はおもし



ろくなる、という言葉が合いそうな、まあ、どこまでがホン




トかはわかりませんが、川上さんのお人柄がうかがえる恒例の




一冊という感じ。といっても、まだ、僕は1しか読んでいない




ので、遅ればせながら、次々読んでいきたいです。
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