古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

地球星人     村田沙耶香

2019-07-29 22:02:36 | 村田沙耶香
新潮社   2018年


秋級(あきしな)をメインの舞台に繰り広げられる、ポハピピンポボビア星人


の苦闘。


ボクも地球星人になる前は、宇宙人がやってきて、この地球から連れ出してく


れると信じていた。でも、今は地球星人なので、宇宙人はいないし、ボクを連



れだしてくれるプランも存在しないことを洗脳されてしまった。


ボクがとち狂っていたころは、たしかに、宇宙人は存在したし、いろいろはな


しをしたよ。いや、とち狂っていたのではなく正常だったのか、今がとち狂って


いるのかもしれないしな。


けど、この作品がカニバリズムで終わるとは思ってもいなかった。人間食いの歴史は


古く、中国ではよく食べていたと聞く、開高健師匠もカニバリズムに興味があったら


しく、書いておられた。


究極の美食は人間だ、と常々ボクは思っている。でも、食べようとは思わんが。


それはあくまで文学的文脈上での話だ。


村田さんはこの作品を書いて更に浄化されたことだろうと思います。人を救うとは


どういうことなんでしょうねえ………………合掌。


                              (鶴岡卓哉)
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庭     小山田浩子

2019-07-19 22:18:49 | 小説の紹介
新潮社   2013-18年


庭とはなんとも意味深なタイトルだ。ラストを飾る家グモはホラー


ともとれるものだし、なんとはなしに全体的に奇妙感は穴以来イチで


突出している。


穴も奇妙な話だったが、この短編集もかなり妙なおかしさ、とユーモア


で溢れている。


僕が一番良かったのは最新作でもあり、ラストを飾る家グモで、次回作が


、またおもしろいものになるのでは、という希望を抱かせてくれる。


いちばんよく知っていて、勝手知ったる庭で繰り広げられる人間模様の



日常からわずかに逸脱していく様が、心地よくも悪くも、面白いとおもわ


せる。


うーん、次の作品も、タイトル一字なのかなあ………………合掌。


                          (鶴岡 卓哉)
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おなかがすく話    小林カツ代

2019-07-16 11:07:55 | 小説の紹介
河出文庫    1996年


この本はブックオフのワゴンで五十円で売っていたので


速攻買い込んだ。すでに小林さんは2014年1月に亡


くなられている。2005年に倒れて、ずっと十年近く


療養していたようである。長いな、人生、ずっとうまく


いくわけではないことを思い知らされる。料理研究家と


しての宿命か、いいものを食べ過ぎたのか。


お弟子さんの後日談ものっていて、カツ代さんの違う姿も


かいまみえる。


ダイエットを失敗した話には、もうちょっと頑張っておけば


よかったねえ、と思ったのだった………………合掌。


                 (鶴岡 卓哉)
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劇場     又吉直樹

2019-07-14 05:23:18 | 又吉直樹
新潮社   2017年


劇場をめぐる動画とかめっちゃチェックして、めっちゃ劇場への


テンションを上げてから読んだ。こんな本の読み方をしたのは初


めてだ。いや、又吉さんの本でしか、こんなことはできなかった


だろう。


相変わらず理屈っぽいメンドーくさい小説だな、と思ったが。暑か


ったのでその中で読むと、あぁぁぁぁ、となって、読むのをやめ


たくなるのでエアコンの効いたコンディションのととのった部屋じ


ゃないと厳しかった。そもそも読書は、コンディションが良くないと


できないとおもうが。


で、エアコンの効いた部屋で読み終えると、そこには太宰の面影が濃く


漂っている、そういえば、写真も又吉さんは太宰に似てきている、と思


うことがある。


たぶん、又吉さんには文学はこうあるべきって言うビジョンがはっきり


見えているんでしょうね。理想を追い求めていることがよくわかりました。


第二作でここまで書かれていて、第三作は? 新聞掲載作品らしいですが、


楽しみで期待が高まります………………合掌。

                
                        (鶴岡 卓哉)   
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アメリカの夜    阿部和重

2019-07-10 10:19:52 | 小説の紹介
講談社文庫    1994年


阿部さんのデビュー作。インディビジュアル、プロジェクション


に比して、ややわかりにくく、ストーリーも明瞭ではないが、阿


部さんの生の声に近いのは、アメリカの夜なのではないだろうか。


元々、この人はこんがらがっていて、複雑でわかりにくい人なの


だと思う。こういう人はむりにわかりやすく書こうなんて思っち


ゃあいけないと思う。


とにかく、「スペシャル」であること、「特別」な存在たるには


どうしたらいいのかに腐心する映画人の心象を捉えている。ボクも


そうだから、この作品の登場人物の心がよく理解できる。いや、い


かれてはいないが、いや、いかれてんのか、おい! いえ、いかれ


てはいない(と思います。(希望的観測))…………合掌。
  
                     (鶴岡 卓哉)
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あじフライを有楽町で     平松洋子 画・安西水丸

2019-07-07 01:21:02 | 本の紹介
文春文庫   2013年~14年


たしかにあじフライに限らず、フライものって無性に食べたくなるとき


がある。ボクは最近は揚げ物にオタフクソースとマヨネーズをかけて食


べる食べ方が好きである。


熱々のふっくらしたメシをフライと一緒にかっくらうほど幸せなことは


あるまい。魚のフライといったら、思い浮かぶのはフィレオフィッシュ


バーガーだ。あのなんの魚かよくわからんが、スケトウダラかなにかの


バーガーはうまい! と唸った若き日もあった、もち、マックのだ。


この本にも出てくる志ん生の天丼に酒をかけて食べる食べ方。うーん、


こういうのをイキというのか? などと思うが、べちょべちょになって


うまくなかろうに、とも思うのだ。


ボクは勝手に平松さんはパーフェクトな人だと思っていたので、冷蔵庫の


中に食べなかったものがたくさん入っていると知って、ちょっとがっか



りした、でも、それこそが、平松さんて人なんだなあ………………合掌。


                          (鶴岡  卓哉)
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ギョーザのような月がでた    椎名誠

2019-07-05 11:51:49 | 本の紹介
文春文庫       1996~97年


読後の感想がなにかないか心を攫ってみるが特になにも


なかった。これが昭和軽薄体というものか、と感心した。


ホントになにも残らない文章というのもスゴいものだよ、


と思う。


ただ、母上の死んだ夢を見て、その何時間後にホントーに


死んでしまった、というはなしは僕の心にいつまでも残った。


うーん、椎名さんの作品、かっこいいのか、かっこ悪いのか、


がよくわからないのだ。けど、なんか読んじゃう、とりあえず、


手に入るだけ手に入れて読んでみるベ…………合掌。

 
                     (鶴岡 卓哉)
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消滅世界    村田沙耶香

2019-07-04 23:56:48 | 小説の紹介
河出文庫     2015年


うううむ、むむむ。


天才を異能の人と定義するなら、村田女史は明らかな天才だ。


で、言い方を変えればクレイジーだ、コンビニで働いてるんだろうか、まだ。


そうだとしたらどうする? こんな天才が働いてるコンビニで何を買おう?


タピオカ入りのコーヒーだろうか? 0キロカロリーの寒天だろうか?


村田さんに聞いてみたい、僕は何を買うのが正解なのか?


いや、そんなことを聞いてどうする、もっと聞くべきことはたくさんあるはずだ。


いや、聞くコトなんてできない! 恐ろしい! 


動画で芥川賞を獲られたときはつやつやの肌も、その後の多忙のせいか肌つやが


悪くなっているので、相当、忙しかったのだろうなあ。いや、ただの加齢か、いや


それは失礼だろ! おれ、何いってるんだ。


ああ、早く新刊買って読んだほうが良さそうだぜ!


                             (鶴岡 卓哉)
  
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