古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

人でなしの恋、恐怖王    江戸川乱歩

2015-10-31 12:47:56 | 小説の紹介
人でなしの恋、恐怖王……江戸川乱歩。



人でなしの恋、は三十二歳、1926年の時の作品




乱歩さんが恐怖と語る、人形への愛を描いたもの。





人形を毀してしまうと、旦那になった人はとうとう





……という。




恐怖王は、三十七歳、1931年の時の作品。



「気の抜けた文章」、「中途半端」と酷評だった。



恐怖王という快人物が次々に、事件を起こしていき、




蘭堂という作家がなぞ解きをするはずなんだけど、まっ



たく謎を解かない……ずるずると展開していき、な




し崩しに犯人が分かってしまう、というなんとも




乱歩さんでもこういうへまをやった作品というのが



あるのだな、といまではちょっと笑ってしまう感じ



になる作品です。



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盗難   江戸川乱歩

2015-10-30 15:53:30 | 小説の紹介


盗難……1925年大正14年……江戸川乱歩……



「白髪鬼」に所収。




どんでん返しに次ぐどんでん返し……。ボクは





江戸川乱歩は、初心者なのだが、十分楽しめた。



クライムノベルは苦手なのだが、なんとはなしに



のんびりとした風情みたいなものが感じられて、



多分時代背景にあると思うのだが、好ましく感




じた。白髪鬼はメインディナーだが、こちらは、



付け合わせのニンジン、といったところである。




江戸川乱歩が今、生きていたら、どんな小説を




書いていただろうと、妄想してしまう……オレ



オレ詐欺とか……と思うとちょっと可笑しい…



…合掌。
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白髪鬼   江戸川乱歩  角川文庫

2015-10-29 15:04:53 | 小説の紹介
白髪鬼……1931年……江戸川乱歩、37歳の時の作品




世にも美しい瑠璃子と結婚した大牟田子爵。しかし、




ある日、親友だと思っていた河村に殺されて、墓場




で生き返り……。とんでもない仕掛けが幾つも用意




されていて、こんなに昔の小説になのに、飽きるこ



とがありませんでした。ネタバレになることを書く



のは無粋なので、興味のある方は、一読されたし。




……角川文庫
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蓼喰う虫   谷崎潤一郎

2015-10-28 13:20:38 | 小説の紹介
蓼喰う虫    谷崎潤一郎 



「私小説」か否かということだか、僕はあまり




そう云うことには関心はない。この作品では






お互いに夫婦生活のない夫婦が両人とも浮気を




していて、別れる別れない、という話だが、一見





理性的な関係に見えるその実、なかなか別れら



れないところに、旧的な夫婦のありようから完全




に脱却し切れない。浄瑠璃などの批評も加える




ところなど、現代的になりきれない、何か煮え切





らないところがあって、あの時代に生きた谷崎の




苦悩のようなものが良く分かる。
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鶏騒動    半田義之

2015-10-27 14:12:12 | 小説の紹介
鶏騒動……半田義之  昭和14年の第九回の




上半期の芥川賞を受賞している。




とある村でロシアからの移民が引っ越してくる。




その一方意地の悪い良くばかり書いている婆さん




が描かれる。そして、ロシア人と婆さんは仲良




くなってゆく。ある雪の日、ニワトリが全部、




隣に逃げてしまう。家の人も、普段から欲を掻




いてばかりいるので動いてくれない。そして、



婆さんは、ドナさんに頼もうと思い立つ。




欲ばかり掻いていてはダメです、みんなと仲良く




しないとダメです、という小説のようです。   
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小説に書けなかった自伝   新田次郎   新潮文庫

2015-10-25 14:11:53 | 小説の紹介
妻に影響されて、少年雑誌向けに書き始めた





当初。新人賞をもらうようになって、お金を





稼ぐようになったが、気象庁の役人の二足




のわらじの生活を十年続けた。山岳小説家と





呼ばれるのを嫌い、それでも、書き続けた。




十年経って、役人を辞めるときの苦悩も描か




れている。新田さんでさえ、筆一本では自信は




なかったようだ……。



ふろくで、わが夫 新田次郎   藤原てい  



父    新田次郎と私  藤原正彦  所収。
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ゴースト   ウィリアム・バロウズ   山形浩主・訳 河出書房

2015-10-24 15:09:24 | 小説の紹介
ゴースト (Ghost of chance) ウィリアム・バロウズ



山形  浩主・訳  河出書房。




前半は、マダカスカルのメガネザルが絶滅




に瀕しているということから、描かれたもの。




後半は、疫病、伝染病、人類滅亡の思想が




描かれている。ミッション船長がキーパ




ーソンらしいのだが……。髪の毛が全身から





生えてくる奇病。このイメージ……ちょっと




笑けてきませんか……ユニークです。



動物愛の書です。
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荒涼天使たち  Ⅰ・Ⅱ  ジャック・ケルアック  中上哲夫訳   思潮社

2015-10-23 13:55:56 | 小説の紹介

荒涼天使たちⅠ・Ⅱ   ジャック・ケルアック



中上哲夫訳 思潮社。



1部はデゾレーションピークで山火事の監視員として、





山に籠っていて、色々考えたこと、感じたことを書い




ている。2部は山をおりて、L.A.に行って、ビートニ




クの連中との狂騒的な日々を描いている。1部 地の



果ての世界 二部  世界の中の荒涼




第二巻 世界を行く 第1部メキシコを行く。メキシコ





に行き、ビートニクの連中と共に過ごし(最初の頃は小説、



詩を書くのに当てた)ゲインズというジャンキーの老人に




出会う。老人は出会った後死んでしまう。NYに帰り、ルー



ス・ヒーパーとの恋愛が始まる(第二部)。




第3部タンジール、フランス、ロンドンを行く。第4部 ふた




たびアメリカを旅する。ロスまでの引っ越し、結局また舞い




戻ることに。




荒涼峰に籠るところが、一番の読みどころかなと思います。僕も




海よりは山ですね。何カ月も山に籠るっていう体験をしてみた






いとは思うけど、実際は凄い大変なんでしょうね……たぶんムリ




です……合掌。
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空で逢うとき   川西蘭   河出書房

2015-10-22 10:53:44 | 小説の紹介
「空で逢うとき」……川西蘭……河出書房



蘭という名前だが男性である。作者20歳のとき、




1980年の作品です。





無線を扱った恋愛小説。モテナイ、ニキビ君の妄想




をそのまま書いたような小説だが、無垢で、今読むと




、無線というモチーフが、逆に新鮮に映って、新た





な価値を生んでいるナ、と思いました。





BUNGEI COLLECTIONシリーズの作品。




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風流尸解記(ふうりゅうしかいき)  金子光晴  講談社文芸文庫

2015-10-21 15:30:13 | 小説の紹介
「風流尸解記」金子光晴。講談社文芸文庫。




昭和46年9月の作品。





戦後間もない東京。盲目の少女が五十過ぎのお




じさんと出会う。というか、ナンパ?……。




それで、屡々会うようになるのだが……幻想と




現実がないまぜになった感じだ。うまいか下手か




で言ったら下手だろうけど……なんかそこに得も




言われぬ魅力みたいなものが存在するのですね。





そして、ナイフが飛び交うイメージの中少女と




会うが、世界は一変してしまっている。



とにかくとても不思議な小説である……意味わ




かんねえよとか言ってはいけません……合掌。



他、なまけもの、所収
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