古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

勘九郎ぶらり旅 中村勘九郎

2023-04-27 10:16:24 | 本の紹介
集英社文庫 平成17年 副題‐因果はめぐる歌舞伎の

不思議

この勘九郎は2012年に亡くなった方の勘九郎で

この本は、旅というより、史実的なものの推考って

感じか。話し言葉を文章にしてあって、それはちょ

っと慣れないと、逆にしんどい部分がある。

読みやすいんだけど、そこに文学的風合いといっ

たものは皆無だからかもしれない。文体といった

ものがなく、とにかく、話し言葉一辺倒だから、

ちょっとやねこい。でも、最後の方になって

やっと慣れてきたら、一気読みだった。

この人には、なんかついてるね、運というか、

旅運的なものが、偶然の恐ろしさみたいなものは

ある。

57歳で亡くなって、人の気の遣い方の総量って

決まっているって気がするなあ。それが尽きると

死んじゃうっていうさ。そんな因果を感じるよ。

 
(読了日 2023年4・12(水)11:50)
                (鶴岡 卓哉)   
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玉ねぎフライパン作戦     椎名誠

2023-04-26 10:28:51 | 本の紹介
角川文庫      2007年

この本の中身のことを書くと、シーナ氏に、なんで

ぼくの本の中身のことを書くんだよ、とは多分言わ

れないだろうな、と思うのだ。

その代わり、面白く書いてくよれよな、と言って、

白い歯を見せニヤッと笑うかもしれない。

ぼくはシーナ氏のように面白くは書けないので

とほほ、だが、ここはなんとか、ごまかして、この

本が面白いこと、シーナ氏の同じことを何度も

書く癖を直して欲しい、というところで決着をみたい。

なんの決着なんだか、わからないが。

多分、ぼくはシーナ氏の人生を12周くらいしている

気がする、チーン。 


    (読了日 2023年9・11(火)16:25)
                   (鶴岡 卓哉)
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冷い夏、熱い夏    吉村昭

2023-04-24 06:53:00 | 小説の紹介
新潮文庫    昭和59年

ぼくより、一歳下の50歳の吉村氏の弟がガンになって

一年足らずで死んでゆく病気文學である。

日本文学には病気文學というものがあって、ぼくはその

病気話というものがとても好きなのだが、死んでゆく、

となると、ちょっとヘビーだな、と思う。

弟さんの嫁さんにとっても苦行そのものだ、と描いて

ある通り、弟さんは心臓が強く若いせいもあってか、死に

そうになっても、なかなか死なない。本人も辛いが、周りも

辛い。よく看病する方が倒れると聞くが、これは本当に

そうなんだろうなあ、と思う。

ぼくは、残念だが、頭がおかしいが、体は健康で、快調

この上ない。感謝して余りあるのだな、とこの本を読むと

思ってしまった。健康は何よりも大事だ。

     (読了日 2023年4・6(木)22:21)
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わたしの渡世日記   高峰秀子

2023-04-23 15:45:33 | 本の紹介
文春文庫   昭和51年

高峰秀子という人をTVやなんかで見たことはない。

が、この本の写真でえらい美人だな、と改めて思い

毛穴のない人だな、というヘンな感想をもった。

戦前、五歳から映画の道に入り、十代の終わりの

戦争が終わるまでを描いている。

黒澤明との切なく短い十五分の青春というのも、

なんだかやる瀬ないなあ、と思う。

うまく行っていれば、黒澤の奥さんになってい

たのかもしれないのに。文化学院にも通ってい

たという。

ハハも文化学院なのだが、その当時から、最先端の

人が通っていたらしい。

高峰秀子とそのお母さんの確執は深みを増していく。

いろんな人に助けられて、人生を泳いで行ったのや

なあ、と思いつつ、まだ、半分なのかあ、長い人生

やなあ。(下巻は諸事情により読んでいない。悪しか

らず)

  (読了日 2023年4・5(水)22:00)

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獏の食べのこし    中島らも

2023-04-21 01:35:09 | 中島らも
集英社文庫      1989年


三十数年前の本だが、この本は二十年くらい前に

読んだはずだ。

再読だが、ほとんど憶えていなかった。こんなサブカル

っぽかったっけな、というくらいだ。

共感したのは恋愛観で、恋愛なんてするもんじゃないと、

毛嫌いされていて、それでいて、片思いしているヤツに

羨みの気持ちを抱いているというところ。あー、でも、

恋愛は絶対にしないよな、と自分でわかっているっていうのも

だめなのかな。でも、興味ないしね、実際。男にも、もちろん、

ないです。いわゆる、Qっていうくくりなのかな、と最近では

定義しているぼくです。性はいろいろあるらしいので、ひとつに

定義づけしなくてもいいと思いますけどね。

全部で百二十六回結婚し、八十五人と離婚しているオグエラさん

というケニアの人の話は驚きだった。

「七百二十四人家族」らしいけど、今はどうなっているのでしょ

うねえ、いや、考えたくもないな。合掌。

        
     (読了日 2023年4・4(火)23:35)       
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羆嵐(くまあらし)   吉村昭

2023-04-20 05:34:55 | 小説の紹介
新潮文庫   昭和52年

さすが読み継がれているだけあって、そのおもしろさ

は保証付きだ。

三毛別の村に羆(ひぐま)が現れ、村人を次々襲う

という実話を元に描かれているらしい。

その話はやけにリアルで臨場感に溢れている。実際に

北海道に入って、歩き回っていたらしいから、実体験

として、体に刻み付けられているのだろう。文章にも

それがにじみ出ている。羆は、女を狙って襲ってきて

いるらしい。女は見事に食われている。その証拠に

女の衣服や湯たんぽの石はかみ砕かれているのを、

素行は悪いが、確かな腕を持つ羆撃ちの銀四郎が

見つける。この銀四郎がすごい存在感を放っている。

どうなってしまうのか、最後まで緊密な文章で綴ら

れてゆく。

ほんものの文学のスゴさってもんは、この本には

あった、と確言できるだろう。

 (読了日 2023年3・31(金)22:16)
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光ってみえるもの、あれは  川上弘美

2023-04-15 09:04:47 | 川上弘美
中央公論社   2003年

川上女史にはちょっと不思議系とフツーの日常系と

エッセイものといったような分け方ができるかもし

れない。

これはフツーの日常系に属するものらしい。翠という

高校生の恋愛や、母親や祖母、籍を入れなかった父や

キタガーと呼ばれる先生との関係が語られる。

この本は110円だったんだよねえ。えっ、川上女史

の未読本が110円! と即買いだった。

勘は外れていず、某木皿泉で創作ものがちょっと作為性

が鼻について、やめてしまったことがあったので、大丈夫

かな、と思ったが、その妙なリアリティのおかげで楽しく

読むことができた。ぼくと川上女史は相性がいいらしい。

いや、勝手にぼくがそう思っているだけなのであるが。

文學とはなんぞや、を考えるのにもよかった。きっと、

文學って、そんなにしんどいものじゃない、と思えたのが

ぼくにとっていいことだったと思う。

 (読了日 2023年3・28(火)23;40)
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モンテロッソの壁  江國香織・作 荒井良二・絵

2023-04-12 12:04:35 | 本の紹介
集英社文庫 1992年

ハスカップという猫がモンテロッソのピンク壁

を探して旅をする絵本。優しい絵で、ほんわかし

ていると、ハスカップがネズミを取って、パン焼き

の窯で焼いてもらったりする。

なんかそこいら辺は妙にリアルだった。

ラストはピンク一色、こういう絵本好きなんだよねえ、

と油断していたら、最後に金原ひとみのエッセイが

でてきた。この人の芥川賞の作品とかすごい下品だから

ぼくは好かんのだが、このエッセイもそこはかとなく、

下品さが漂っていて、ない方がずっとよかった、と

心底思ったぼくだった。

    (読了日 2023年3・26(日)1:42)
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日溜まりの水    立松和平

2023-04-11 09:54:19 | 小説の紹介
河出書房      1992年

立松氏といえば、ニュースステーションでのリポーター役の

印象が強い。なんかのんびりしているが、その実、エロそうだな、

とも思っていたのだが、やはり和平氏はエロかった。

三文文士の体でこの物語を語る青さん。うなぎの肝吸いのことで

文句を言いに行ったところ、その主人の妹二人と乱交に次ぐ乱交。

それを語るのは大叔父で、老いさらばえ、三文文士に是非話してお

きたいことがある、と手紙をよこす。バームクーヘンを買って、

馳せ参じ、そのような話をする。ここで、この話自体が構造として

フィクションとしてのノンフィクションという風をとっている

ことに気づく。その実、この物語は全部作られているのだ。

このポルノグラフィアと副題を付けていますが、なかなかやり

ますよ、やりまくっておりますよ。

       (読了日 2023年3・22(水)22:45)

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きことわ     朝吹真理子

2023-04-10 22:47:11 | 小説の紹介
新潮文庫    平成23年   芥川賞受賞作

貴子と永遠子の物語だから、きことわという意味深な

タイトルになった訳は分かった。が、25年ぶりに会う

という以外どうってこともなく、細かい情報に溢れて

はいるものの、とても読むのが辛かった。どうしても、

いやっていうわけでもないので仕方なく読む。

おもしろくもなく、苦読している、と感じる。

ぼくは近頃、苦読こそ、読書だと感じているので、修行の

つもりで読む。

読書とは、おもしろいだけではだめなのだ、と最近の

ぼくのテーマに沿った読書ができたので、満足だった。

   (読了日 2023年 3・21(火)17:37)


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