古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

脱出  筒井康隆

2024-10-05 13:49:24 | 筒井康隆

中公文庫 「奇妙な味の小説」所収。

 

この短編を一読して、例のリアリティー・

 

ショーで可哀そうな自死を遂げた女の子を

 

思い出してしまった。

 

ミッキーと言う役柄で逃亡することを決定づけられた

 

男が陥っていく。リアルか、アンリアルかという

 

問で、詰め寄られていく。そこから、どうやっても

 

脱出出来ないんだ、これが。

 

それがこの世の定めだろう。フェイクは何処まで行

 

ってもフェイクじゃない、何処かで変質してリアルに

 

なる、ということだろうか。

 

(読了日 2024年9・12(木)22:50)

                (鶴岡 卓哉)

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驚愕の曠野     筒井康隆

2023-03-23 13:23:48 | 筒井康隆

平成3年

 

実験色の濃い冒険短篇。表題作。小説とはなんであるかの

 

さまよいみたいなものが、この路頭に迷ってしまったような

 

現代社会と符合し、浮かび上がらせる。

 

この不思議な物語の行く末はどこだろうと、そこには、明確な

 

答えなどはないだろう。綿々とした長大な物語がそこに横たわって

 

いるのみだろうからだ。

 

この紙芝居じみた、第332、333、334、335巻飛び飛びに

 

なった第599巻。

 

この捉えどころのない物語はどこかで誰かを待っているのだろう。

 

想像力の羽根を持った王子様が王女を待ち続けるだろう。

 

        (読了日 2023年2・14(火)15:16)

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遠い座敷     筒井康隆

2023-03-22 10:40:29 | 筒井康隆

「海」昭和53年10月号

 

宗貞と兵一は山の上と下に住んでいて、宗貞は遅く

 

まで双六などをやって、夕メシをごちそうになる。

 

「ごんの節」というのがうたわれるのだが、なんだか

 

怖いな、とうすら寒くなってくると、帰ることになり、

 

山の上と下で部屋で繋がっている。部屋を次々と開けて

 

のぼってゆくのだが、その次々と部屋があるかんじが

 

恐ろしい。女の幽霊の絵があったり、不気味だ。

 

整然とした部屋が次々と現れるのは怖いものだ。

 

夕餉に向けて、ただひたすらに走り抜ける。

 

筒井氏は家族に対して、なにかあったのだろうか、

 

団らんは遠かった。

 

(読了日 2023年2・5(日)20:20)

 

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遍在     筒井康隆

2023-03-19 11:48:09 | 筒井康隆

11Pほどの短編。会話はなく、話した内容が断片的に

 

単語で綴られていて、たたらさんという難しい漢字の

 

名字の美術評論家と奥さんと、そこに訪れた犬丸敏幸

 

という男、40代の犬丸さんがたたらさんの奥さんの

 

胸を揉んでいるのを、たたらさんがじっと見ている、っ

 

ていうそれだけで、相当怖いんですけど。

 

なんか乳を揉んでいる描写が淡々と描かれていて、

 

不気味。

 

なんか病的で、痴女的な話だった、のか? とにかく、

 

なんか怖かった。

 

  (読了日 2023年2・5(日)18:34)      

 

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定年食     筒井康隆

2023-03-15 05:55:59 | 筒井康隆

「驚愕の曠野」所収。

 

この短篇は以前どこかで読んだことがあった。食人

 

を定年になったら、されるというものだが、定年に

 

なったら食われるというのも怖いというか困っちゃう

 

ものがある。

 

ひとはひとを食うことはできない、というのはひとつの

 

定説であるようだ。

 

脳は特に危ないらしい。食べると狂ってしまうらしい。

 

食人族というものは昔からあったそうだが、全員狂って

 

しまったそうだ。

 

性器は特に狂気度が高いのではないのだろうか。

 

   (読了日 2023年2・2(木)1:25)

 

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傾斜      筒井康隆

2023-03-14 17:45:23 | 筒井康隆

2Pの掌篇小説。夢で見たかのような家族が奥の間に

 

「わー」と走っていってしまう。

 

特にオチらしいオチもなく、とにかく「わー」と畳みの

 

敷かれた45度の傾斜になった部屋を豆粒になるまで

 

走っていくという怪奇だ。

 

ぼくはちょっと読んだとき、食べたものがマズすぎて

 

時空が歪んでそうなったんかな、と思った。

 

夫が最後に走っていくってことは、夫がつくった料理の

 

あまりのマズさゆえの展開なのかな、と。

 

まあ、ちょっと捉えどころのない、作品ではあるゆえに

 

おもしろさもある。

 

       (読了日 2023年2・2(木)0:46)

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二度死んだ少年の記録     筒井康隆

2023-03-11 06:40:27 | 筒井康隆

「驚愕の曠野」所収。

 

入りは大槻ケンヂの投身自殺した少女が生きて、喫茶店

 

でなにやらしたという話しを持ち出し、これはなんだろう、

 

と思っていると、近くの学校で、屋上から飛び降り自殺した

 

少年がいて、46分生きていたかもしれない、ということを

 

知る。

 

ここら辺は、ノンフィクション風の描き方をしている。それから、

 

その少年が投身自殺したときのことが詳細にわたって描かれるのだが

 

そこら辺で、ああ、これはフィクションなんだな、と分かる。

 

皮膚が飛び降りた衝撃で垂れ下がり、怪物のようになる、という

 

ので、なんかおもしろさ、が湧き上がってくる。

 

いじめ自殺の恐怖、というべきものが、その少年の怨念によって

 

如実に狂気になっていく様が、実に見事だった。

 

    (読了日 2023年2・2(木)0:35)    

 

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冬のコント     筒井康隆

2023-03-10 14:40:10 | 筒井康隆

「驚愕の曠野」所収。

 

十八番のドタバタ殺人コントといったところか。

 

レストランで夫婦が不倫をしたとか、しないとかで

 

言い争いを始め、夫は妻に白状させ、めちゃくちゃに

 

殴り、殺してしまい、ボーイもクビになる、というオチ。

 

こういうのはなんていうか、ハチャメチャ感にみちていて

 

ぼくの好みではないんですね。まっ、とにかく、今の気分

 

ではない。こういうのが好きな人にはたまらんのだろうけど。

 

        (読了日 2・1(水)23:56)

 

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魚      筒井康隆

2023-03-07 17:14:53 | 筒井康隆

「驚愕の曠野」所収

 

川で無邪気あそんでいる描写がつづく、親子で若い父親と

 

母親に、七、八歳の子である。次第に水が増え、魚を獲って

 

いるが、魚も増えてきたようだ。その魚は咬むらしい。

 

子供だけ、川からの脱出に成功し、若い親は中州に取り残されて

 

しまった。

 

この本はちなみに買ったときは気づかなかったが、自選ホラー

 

傑作集らしい、ということに留意されたい。

 

そして、なかなかの危機的状況に若い夫婦は陥ってゆく。

 

最後は魚に食われてしまうらしい。すごく怖かった。

 

平成6年の作品だ、ということだ。

 

   (読了日 2023年1・31(火)12:34)

 

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人喰人種       筒井康隆

2022-11-02 04:15:31 | 筒井康隆

「もの食う話」所収。  「文學界」平成2年4月号

 

こういうのをナンセンスSFというのかしらんけど、そう

 

呼びたくなる。人喰人種につかまって、おしっこをもら

 

したり、ゲロを吐いたり、汚いったらない。何度読むのを

 

止めようと思ったことか、でも、なんか読むのをやめられ

 

なかった。どういうオチがあるのか、気になったが、オチは

 

……。よく分からなかった、といえそうである。ぼくには理解

 

できなかったようだ。設定もよく分からないし、ナンセンス

 

なのだから致し方ないのか。

 

出鱈目、とも受け取れるし、荒唐無稽、ともいえるかもしれない。

 

筒井作品はけっこう昔に、たくさん読んだけれど、この作品は未読。

 

食慾というくくりでなければ、これよりいい作品はたくさんある

 

のになあ。

 

人を喰うとは、これ如何に。

 

         (読了日 2022年10・16 23:53)  

 

 

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