古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

散文 私は生きるのを好きだった   谷川俊太郎

2023-06-30 15:12:53 | 谷川俊太郎
講談社    1969年

1959年ころからのエッセーを6章に分けて、綴られている。

本屋さんにはないかもしれない、絶版になっているということだ。

1960年代のドキドキとする時代感覚が如実ににじみでているような

気がする。

セザンヌの描いた1コのリンゴの絵が、ホンモノのリンゴより価値がある

問題には、そういう見方があるものか、果たして、1コなん億円ものリンゴとは

いかんや、と思った。それはひとつの芸術論であると同時に、ひとりの人間の

価値観でもあると思うのだ。クルマがお好きだったという谷川氏。

ぼくは詩人とは大声では言えないような詩を書かせてもらっている

男だが、大先輩(というのも憚れるが)の若き日の永遠を目にし、感動

している次第。

        (読了日 2023年6・5(月)18:40)
                       (鶴岡 卓哉)
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毒虫小僧     日野日出志

2023-06-29 13:40:50 | 本の紹介
コミック・オン・デマンズ 2005年

このマンガ本はフツーの書店にはないそうだ。

コミック・オン・デマンドという特注品で、昔、立ち読み

したことのある、恐怖漫画の大家、日野氏とあっては、古本屋で

見つけて買わないわけにはいかない。この本のストーリーは、カ

フカの「変身」をモチーフにして、ある少年がある日毒虫に刺さ

れたことにより、サナギ化、ふ化して、大きな芋虫になり、自分

が毒虫だということに気づき、復讐を開始し、人を次々と殺して

いき、地下水路に引きずり込み、死体の山を築くと同時に、腐肉

を食べたりする。

怖い、というか、すげえ気持ち悪い、サイコーだった。

    (読了日 2023年 6・5(月)15:10)
                    (鶴岡 卓哉)






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白い恋人たち    斉藤直子

2023-06-25 10:50:38 | 小説の紹介
「NOVA6」所収  2011年

これはラノベと言われるものではないのか。このハイ・

テンションはないな。ラノベならラノベと言って欲し

かった。文学的に過ぎるぼくにはちょっときつかった。

ただ白い全頭を被せるマスクというアイデアは面白か

った。だが、そのワンアイデアで、そのほかは意味不明。

なんのことかまったく分からなかった。これを批評せよ、

というのも無理な話である。

ドタバタ喜劇のSF版ということなのだろうか。なんとも

はや、である。

次の短編はどういったものなのだろうか、不安と期待を

もって読みたいと思う。

    (読了日 2023年6・5(月)0:00)
                  (鶴岡 卓哉)


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青山の青空    安西水丸

2023-06-24 23:11:26 | 本の紹介
新潮文庫  1989年

安西氏は2014年、71歳で亡くなっている。こういう

亡くなった人の文章っていうのが、ぼくはわりかし好きだ。

安西氏は犬が嫌いだったとかで、共感してしまった。ぼくも

犬は苦手で相性はとことん悪い。有名人も嫌いだとか、

ペットもすごい嫌いだったらしい。猫なんて、そんなもの

安西氏のそばによせちゃあだめだよ、っていうくらい嫌い。

ぼくは猫は大丈夫なのね。飼っている猫ならね。けど、もう

猫もいいかな、と思っている。猫ものの小説やTVを見ると、

ついつい飛びちゃんのことを思い出しちゃうんだよね。

わっ、絶対、安西氏生きてたら嫌われていたよ。

   (読了日 2023年6・4(日)21:55)
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種まく人 ーヴィラベスト物語ー  玉村豊男

2023-06-23 10:14:45 | 本の紹介
新潮文庫  平成7年

読んでいる最中、うわー、つまらねえなあ、と読んでいたら

終わってしまった。で、読了後、どうかというと、ああまで

つまらないと思っていた本書、いや、待てよ、ちょっとおもし

ろかったんじゃないか、と思うように。

本書は軽井沢から出て、標高850mのかの地にすったもんだ

の末に転居し、家を作り、畑を作ったりする様を描いている。

ただ、それだけなのだ。それじゃあ、つまらん、と思うのも

致し方なしと思いませんか! それでも、読了したときの感じは

ちょっと違うかな。まあ、つまんないんで、読んでみてください

(無責任)。

     (読了日 2023年5・30(火)18:44)  

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日々是好日   森下典子

2023-06-21 13:45:03 | 本の紹介
新潮文庫  平成14年 副題:「お茶」が教えてくれた15のしあわせ

この本をお茶の本と思って、読もうとすると、ちょっと違うな、

ということになるのかもしれない。お茶を通じて世界を知るこ

とになった女性が体験したこと、と言ったらいいのか。

実はこの本に出会うまで5冊ほど、本を途中で投げ出し、わたし

は読書に向いていないのではないか、と思い始めていたのだ。だが、

この本は、とても優しくぼくを受け入れてくれた。読み物として

きちんと成立しているのもすごいし、その感動が手に取るように

分かるのもすばらしい。うーん、こういういい未読の本がこの世

界にはまだあるのだな。柳家小三治師匠の気持ちがよく分かる

とこれを読んだ人は納得するだろう。古本で買ったが、未読だった。

せっかくのチャンスを不意にする人もいるのだな、と残念に思った。

だが、なにか理由があるのかもしれぬ。世界は理解できることだけでは

ないのだから。


       (読了日 2023年5・28(日)4:08)
                     (鶴岡 卓哉)
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旅する人    玉村豊男

2023-06-18 07:00:01 | 本の紹介
中公文庫   1984年

フランスは旅したハハ上の話によると、犬のフンだらけで

すごい汚い街らしい。ぼくは外国には一切興味がないので

あるが、知っておくというのは、何より大切なことだと思

っているので、じっくりと読んでみた。ほんとにこんなメ

にあってまで、なんで外国になんかに行くのだろうか?

バカなのだろうか、と思うが、マラソンで走るのも辛いが、

それでも走る人がいたり、山に辛いだけなのに登る人がい

るように、外国にも行くらしいんだねえ。でも、最近の

若い人は行かないらしいね、外国、だと思うよ。なんか

楽しくなさそうだもん。

広島にいると、フォリナーの気分でいられるので、とて

も楽しい。いつも、旅行者の気分で過ごしている。きっと、

玉村氏もこういうことを言いたかったんだと思う。

    
    (読了日 2023年5・21(日)21:42)
                    (鶴岡 卓哉)
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そして生活はつづく     星野源

2023-06-14 18:29:29 | 本の紹介
文春文庫   2009年

星野源氏はほんとうにバカなのだろうか。ぼくにはバカ

には思えない。いや、だめエピソードだけ拾えば、そりゃ、

バカに違いないが、彼はとてもユニークで、ある意味

とても利巧なのだ、と思う。誰にもマネのできない「恋」

という歌をヒットさせ、一世を風靡する前夜、彼はこんな

エッセイ集を出していたのか。でも、彼はかわいい奥さんと

結婚したし、ひとりではない、と思っているのだろうか。

あんなかわいい奥さんがいたら、もうこんなだめなエッセイを

書いても説得力ないしな。羨ましいかって? ぜんぜん。

やっぱり、ぼくはひとりがいい。彼がひとりが好きだと言って

いたのは、あれはウソだったのか、とも思うが。いや、

彼(源氏)も病気したりして、心細くなったのかもしれない

しなあ、とひとり好き、生活の達人(自分で言っちゃう)の

ぼくは、かわいそうに、と思ったりする。

      (読了日 2023年5・23(火)22:50)
                    (鶴岡 卓哉)
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大風呂敷と蜘蛛の糸   野尻抱介

2023-06-10 11:26:09 | 小説の紹介
ハヤカワ文庫  SFマガジン2006年4月号

彩瑛という女子大生が公募で宇宙へ行く企画に、

凧の要領で行く案で応募し、それが実現してい

く。本当に凧で成層圏に行けるのだろうか、と

ふと疑問にも思う。空気が薄すぎ、風もあるのか?

と思って読みすすめると、ヘルメットにひびが

入ったと思ったら、蜘蛛の糸だった。蜘蛛が高度

80キロにいるのだ。

ぼくは星と星とを渡り歩いたるする話が、割りと

SFでは好きなのだが、こういう手合いもあるのか

とSFの奥の深さを知った。これは、この短編集の

トリだった。この短編集、収穫だったな。抱介氏

なんて、ちっとも知らなかった。SF好きとしては

こういう人にもっと知名度をあげていって頂きたい

と思う。

 (読了日 2023年5・18(木)5:37)
               (鶴岡 卓哉)
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のほほん雑記帳(のおと)   大槻ケンヂ

2023-06-09 05:43:14 | 大槻ケンヂ
角川文庫     1992年

始め女子について、気にしているので、ヌードやら

ストリッパーやら、困ったな、と放っぽらかしてし

まったが、おもい直し、読んでみると、書評めいた

ものが出てきて、平成文士の一日というコメディらし

きものも。ヒッピー、宇宙人、UFOとオーケンが好

きそうな世界の話に心が躍った。やはり、オーケンは

若いころからおもしれえや、初エッセイ本らしい、26

才のころの若い感性が横溢するのほほんとする一冊。

 (読了日 2023年5・17(水)14:55)
                 (鶴岡 卓哉)
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