角川文庫 84年
この「北へ」はシーナさんの隠れた名著であると読んで
確信した。
なんとしても南の島へと心と体で浮気し、ウスラ沢田さん
なんかが困ってしまうっていうところがなんともよかった。
そうだよ、シーナさんは演歌じゃなきゃダメなんだよ。
おもしろいエピソードに満ちているし、文学好きは近づい
ちゃいかんというが、ボクからしたら、これは文学以外の
なにものでもないですよ。
ドレイっていう制度も、なんかいいんだよねえ。イヤな仕事
はドレイに押しつけちゃえ、っていう子供じみたところ。そう
いえば、どこかしら厨二病的なニオイをシーナさんから感じ
るのはボクだけだろうか。大人になりかけの、あやうい人たち。
それこそ、あやしい探検隊である.......合掌。
(鶴岡 卓哉)