古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

酒肴奇譚  語部譲児之酒肴譚    小泉武夫 

2022-01-30 12:38:13 | 本の紹介

中公文庫   1994年

 

語部調で語られる酒にまつわるエトセトラ。酒呑みの

 

バイブルともなる本書。江戸時代の大酒呑みについて

 

冒頭から攻めていく。優勝者は一斗九升五合飲んだ、と

 

いう。どうしてこんなに呑めたのか、教授はなぞ解き

 

をしてくれる。その製法からやっていき、濃い酒を薄め

 

ていたんじゃないか、という結論に行きつく。そうする

 

酒精は五パーセントほどになり、20升呑んだのも納得

 

だ、というのだが、水だって一升呑もうと思ったらタイ

 

ヘンだ。

 

この前、落語で有名な、「試し酒」を柳家権太楼氏のを

 

聴いた、あの人のヘンな顔といい、口調といい、名人芸

 

だった。五升の酒を呑み、決めるまで、外でなにしてた

 

んだい、と主人が聞くと、へえ、呑めるか五升試しに呑

 

んでみたんでげす、という有名な話だ。ぼくは酒は飲める

 

口だが、あえて下戸と言い張って吞まないことにしている。

 

そういうやつをいけ好かないヤツというらしい。

 

と書いて終わろうとしたのだが、なんで、この本のことを書

 

かないんだ、と反省し、ぼくは食べたことはないのだが、ふ

 

ぐの肝の毒を麹で解毒して食べる文化について書いてあった。

 

うーん、ぼくはそれを食べる勇気は持ちあわせてはいないかも。

 

たぶん、ヘタレなんだろうね。……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もぞもぞしてよゴリラ/ほんの豚ですが     佐野洋子

2022-01-29 02:15:24 | 佐野洋子

小学館文庫    1988年

 

「~ゴリラ」には本人はヘタといっているが、素晴らしいエッチング

 

がある。線にオリジナリティがある。文章も超現実といってよく、ファ

 

ンタジーでもなく、かといってリアルではない世界が描かれる。

 

椅子は歩くし、しゃべるし、最後はゴミの山で壊れてしまう始末。

 

悲劇なのか、と問われれば、そのような気もするし。死んだ猫が、

 

ブツブツ言った、「力いっぱい生きたのよ」、「力いっぱい死んでい

 

るのか」、「ぼく、すごく短く生きたみたい、鳥みたいに、花みたいに。

 

すてきだったなあ。もう一回ぼく、真っ白いハンカチになっても、同じ

 

ことするの」という会話がある。これは佐野女史からのメッセージだ。

 

精いっぱい生きてみろ。そしたら、いっぱい死ぬことができる。たく

 

さんの生を同時に、何人分も生きるのだ、それが、作家といういきもの

 

らしい。……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

忌野旅日記       忌野清志郎

2022-01-25 00:44:50 | 本の紹介

新潮文庫      昭和62年

 

その昔、ぼくの姉が中学生くらいのときに、うちわに

 

忌野清志郎と丁寧な字で書いていて、ぼくは小学生で

 

となりの部屋からはいつも、大家がどーのこーの、という

 

歌が大音量で聞こえてきていた。RCサクセションの大ファン

 

だったが、すぐに2,3年で熱は冷めてしまったみたいだった。

 

姉の青春はイマーノと共にあったらしい。

 

この本は忌野氏が喋ったことをゴーストライターが書き起こした

 

ものらしい。イマーノ氏は正直なので、そこら辺を書いちゃうと

 

ころがなんともいいやつだ。確かにイマーノ氏はぶっとんだ

 

いーやつだ。昭和ケーハク体で書かれたこの本を横川というとこ

 

ろの古本屋でめっけたおれっちは勇んで買いに走った。それも

 

百円だぜ、サイコーにクールだ。おれっちに買えって天が言って

 

きてるみたいだったぜ、ハハハ、サイコーな一冊だったぜ。……

 

合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハイペリオン〈下〉      ダン・シモンズ

2022-01-23 05:36:34 | 本の紹介

酒井昭伸・訳   ハヤカワ文庫   2000年

 

前半はとてもおもしろかった。レイチェルがハイペリオンでの

 

事故で、歳が若返ってしまい、同時に記憶を失ってしまう病に

 

かかってしまうという話し。そして、レイチェルは赤ん坊にな

 

り、ハイペリオンをその父と目指す。その他、二名の話がのって

 

いると思うのだが、後半は正直、よく分からなかった。それも

 

禁句の美しさを筆舌に尽くしがたかった、と表現してしまっている。

 

これはいけない。怠慢だ。作家たるもの、筆舌に尽くしがたい、などと

 

筆を滑らせてはいけない。いいところもたくさんあって、SF的表現

 

にも秀でているところもあったっていうのに、台無しである。

 

けど、SFのいいおもしろさも〈上〉で存分に味わえたと思う。いや、

 

SFはいいですよ、すごく。ぼくはSFに可能性を見出したい。……合掌。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハイペリオン〈上〉   ダン・シモンズ

2022-01-22 01:22:12 | 小説の紹介

酒井昭伸・訳     文庫   2000年

 

ヒューゴー賞/ローカス賞受賞

 

28世紀、時を超越する殺戮者シュライクを封じ込めた謎の遺跡ー

 

ハイペリオンに存在する〈時間の墓標〉が開きはじめた。

 

連邦は7人の男女をハイペリオンに送り出し、その宇宙船の中で

 

それぞれの物語りが語られてゆく。

 

まったく、奇妙な奇天烈な話の連続に、これぞ、SFの楽しさだ、と

 

思わずにはいられない。壮大な宇宙の風景の描写があったり、珍妙な

 

部族との関わりに、そこには不思議なキリスト教との関わりがあったり、

 

詩人のシュライクとの関わりの話があったり、冒険譚とも言える。

 

もともと、椎名誠氏が薦めていたのを見て、(この本ではなかったかも

 

しれないが、ダン・シモンズ氏の本だった)この作家のを読んでみようと

 

思い立った、いや、大正解。……合掌。 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神谷美恵子日記      神谷美恵子

2022-01-19 01:29:19 | 本の紹介

角川文庫     1939年~1979年

 

神谷女史が25歳から亡くなる65歳までの日記。

 

ぼくはこれまで神谷美恵子という人を知らなかった。精神科医

 

にして、クリスチャン的な側面もあったようだ。

 

創られし目的に忠実に生きると書いている。それはどう生きようと

 

大した違いはない、ということだ。それは努力することを止めない姿

 

勢を崩さないってことだ。

 

心に刺さったのは、「文学を志す人の心がまえとして、余暇の大部分を

 

それに捧げる用意をがなくては難しい」と肝に銘じている。そうだ、その

 

通りだ。あと、「自分の生涯は自分のものではない。自分で好きなように

 

するわけにはいかぬ」という言葉。

 

思ったのは、子供たちがよく風邪を引いて熱を出している。ぼくも含め、昔

 

の子供ってしょっちゅう風邪を引いていたよなあ、ということだ。よく吐いたし。

 

今の子供って、あんまり風邪とかひかないもんな、と。それも、まあ、時代か。

 

……合掌。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遠蘇魯志耶(おそろしや)(壊れかた指南) 筒井康隆

2022-01-18 06:56:07 | 筒井康隆

「壊れかた指南」所収。

 

多真子という恋人になろうかという関係の女といい関係に

 

なろうとしたとき、飼っている猫が化け猫化する。そして、

 

肩を噛まれた彼女まで化け猫化して、どこまでもどこまでも

 

追ってくるという話し。これは猫が壊れているのだろう。そ

 

んな猫殺してしまっても平気よ、という女も結構壊れ気味で

 

はないのか。化け猫化する女から逃げる男にはすでに恐怖しか

 

なくなっている。そこで、おそろしや、という訳である。

 

10P‘の短篇。……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

可奈志耶耶(かなしやや)    筒井康隆

2022-01-13 10:36:44 | 小説の紹介

「壊れかた指南」所収。

 

長いながいホームレス生活のうちに身についたという残飯好き。

 

小夜ちゃんという居酒屋の娘の配慮により、残飯を食べることが

 

できるようになって、売れ残りの小夜ちゃんも嫁に。

 

人の捨てた子をもらって育てようと相成って、人の残したもの好

 

きもこうなると、ひとつの生き方だ。

 

なんか新たなものを見せられた気持ちになった、7Pだった。

 

……合掌。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大人になれない     筒井康隆  

2022-01-10 07:31:42 | 筒井康隆

「壊れかた指南」所収。

 

この拓也という主人公はぶっ壊れている。玩具会社の開発室

 

にいて、独創的なオモチャを作るのだが、パロッタ君という

 

人形が見えるのだ。

 

100キロの体といい、おたくであることといい、かなりヤバい

 

ヤツなのだが、それがオチに繋がっていく。ホントに壊れている

 

と確信するのはオチを読んでからだ。

 

まったく、怖い人というのを描かせたら、すごいな、筒井氏は。

 

……合掌。

 

                    (鶴岡  卓哉)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

建設博工法展示館      筒井康隆

2022-01-06 05:56:12 | 筒井康隆

「壊れかた指南」所収。

 

ドタバタの短篇。温泉宿に夫婦で滞在していると、窓から

 

妖怪のようなものが入ってくるが、それは建設業者なのだ。

 

端的に言って、意味が分からないが、そこは分からなくて

 

よろしいのだ。ありのままを受け入れればいいのだ。そして、

 

建設博の出展の交渉を始めるうちに、ボジョジョ蚊という大

 

群の蚊に襲われて、温泉に浸かって対処する。夏蒲団を被り、

 

お湯に浸かり、あなたは蚊は食べないが、ハエは食べるわよね、

 

というようなことを奥さんに言われる。だから、なんだという

 

のだ。蚊は食べない、そうだ、人は蚊は食べないことになって

 

いる。ハエも偶然みそ汁に入ってしまったのを飲んでしまった

 

ことがあるらしく、そのことを言っておるのか。というが、ど

 

ういう意味か、いろいろ考えてみたけど、分かりませんでした。

 

……合掌。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする