中公文庫 1994年
語部調で語られる酒にまつわるエトセトラ。酒呑みの
バイブルともなる本書。江戸時代の大酒呑みについて
冒頭から攻めていく。優勝者は一斗九升五合飲んだ、と
いう。どうしてこんなに呑めたのか、教授はなぞ解き
をしてくれる。その製法からやっていき、濃い酒を薄め
ていたんじゃないか、という結論に行きつく。そうする
酒精は五パーセントほどになり、20升呑んだのも納得
だ、というのだが、水だって一升呑もうと思ったらタイ
ヘンだ。
この前、落語で有名な、「試し酒」を柳家権太楼氏のを
聴いた、あの人のヘンな顔といい、口調といい、名人芸
だった。五升の酒を呑み、決めるまで、外でなにしてた
んだい、と主人が聞くと、へえ、呑めるか五升試しに呑
んでみたんでげす、という有名な話だ。ぼくは酒は飲める
口だが、あえて下戸と言い張って吞まないことにしている。
そういうやつをいけ好かないヤツというらしい。
と書いて終わろうとしたのだが、なんで、この本のことを書
かないんだ、と反省し、ぼくは食べたことはないのだが、ふ
ぐの肝の毒を麹で解毒して食べる文化について書いてあった。
うーん、ぼくはそれを食べる勇気は持ちあわせてはいないかも。
たぶん、ヘタレなんだろうね。……合掌。