古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

そこに浮かぶ真実   グレイス・ペイリー

2023-12-30 10:50:23 | 小説の紹介
村上春樹・訳 文藝春秋 1986年

なにか読ませ急がせるな、という感じはする。

話しの展開も、独特の節回しがあるのだろう、

何度読んでもおもしろさを何度も味わえるだろう。

就職斡旋業者が23歳だと勝手に押し付けられた

女の子に仕事を与え、無事就職するものの、うーん、

よく分からんかったわ、正直。

ラストの「お昼間タイプ」ってどういう意味なんす

かね。誰か教えてください、チーン。

これが初短編集ということで、初ペイリー体験だった

が、なかなかやりよるで、この人、という感想だ。

チャンスがあったら、また、チャレンジしてみたい、

と思う。

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明治四十二年夏   阿部昭

2023-12-27 03:58:22 | 小説の紹介
講談社文芸文庫  「群像」昭和四十六年一月号

この明治四十二年夏という短編は、「司令の

休暇」のすぐあとに書かれたものだという。

この古ぼけたいささか汚い本がうちに持ち込

まれ初版本であるが故に、やけが酷く、とても

読みづらかったが、この本の最大の読み物は

全部読んでみて、「司令の休暇」だろうな、と

思う。ぼくとしては、「幼年詩篇」が一番好き

だった。

この明治四十二年夏も父上に関して書かれていて、

死んだあと、友人の手紙の追悼の思い出によって

幕を開ける。漱石の詩碑を見に行ったことが印象

深く描かれているが、泣きはしなかった。まあ、

皿を舐めるように一冊を堪能したぼくだった。

(読了日 2023年 11・26(日)21:26)


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そのとき私たちはみんな、一匹の猿になってしまった グレイス・ペイリー

2023-12-22 07:25:07 | 小説の紹介
村上春樹・訳 文藝春秋 1980年

単純に一読して理解できるタイプの文章では

ないので、いきつ、戻りつしつつ、読んでみた。

どういう話しか、説明しようと思うが、言いよ

どむ。ゴキブリ隔離器をつくる話しとも取れる。

とてもくさいものをブチ撒けるというだけなのだ

が、戦争滅衰器ともなるのか、そこいら辺は正直

よく分からなかったが、くさいものの話しであるこ

とは確かなようだ。

蛇がネズミを呑み込む話しがでてきたり、とても

込み入った話だが、筋自体はシンプルなようだ。

兎に角、正直、何回か読んでみたが、よく分からな

った。が、おもしろかった。分からぬのに、おもしろい

とは、これいかに、と思った方もおられようが、文章

が楽しめたということである。文体で生きられる人だね

この人は。










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司令の休暇  阿部昭

2023-12-19 02:47:02 | 小説の紹介
講談社文芸文庫 「新潮」昭和45年12月号

鵠沼海岸を読んでから、二カ月近く寝かせて

いて、読み始めた。父が癌になり、告知はし

ないで、死んでいく様をとつとつと描いている。

今どき、こんな小説読んでいるのはわしくらい

のものだろうな、と思いつつ耽読。

けっこう汚い描写とかもあるし、読むのは辛い。

それにひきかえ、感動があるわけでもないので、

つらいだけの読書だ。だけど、なんかおもしろい。

生と死の狭間を疑似体験できる気がする。

なんだかやねこい父をひとり、見送ったような、

ひと仕事した気分だ。なんとも父が死にはった

ことで、その妻のような、ホッとした気分さえ

感じる。

ぼくの読書も終われる。そう胸をなで下ろした。








































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詩 蘇生   鶴岡 卓哉

2023-12-17 06:48:48 | ポエム
さて、気分ものってきたので、詩を

ご紹介しましょう。

蘇生

やむことのない排水口からの汚水

ストーリーなきイメージだけの映像が僕には見える

完璧な足のグラドルに目を奪われる

もう僕は胃の洗浄の仕上げだけだ

仮死の状態から息を吹き返す

死んだわけじゃなかった

まだ生きるのか


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長くて幸福な人生からとった、二つの短くて悲しい物語 グレイス・ペイリー

2023-12-15 05:10:57 | 小説の紹介
村上春樹・訳 「人生のちょっとした煩い」所収。

ひとつは、「中古品の子供たちを育てる人々」

と題された小品。赤み顔と青ざめ顔によって語られ

形作られてゆく物語だが、ひとことでどうとゆうこ

とはできないタイプのお話だった。すごく宗教的な

話しも出てくるし、しかし、そればかりでもない。

リチャードとトントがでてくる点で、二つの物語は

共通している。ふたつ目は「少年期の問題」と題さ

れた小品。正直、なにを言っているのかよくわから

なかった。結局、なにを言いたいのか良く分からん

かった。物語とは言うものの、物が語られていない

という点でいささか問題があるらしい。散文的で

とりとめがなかった、というべきか。

(読了日 2023年11・17(金)23:36)



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変更することのできない直径   グレイス・ペイリー

2023-12-14 03:57:49 | 小説の紹介
村上春樹・訳   「人生のちょっとした煩い」所収

チャールズ・C・チャーリーというふ

ざけた名前をもったとしわもいかぬ娘

とおイタをして結婚させられるお話。

おそらく、S・フィッツジェラルドの

影響下にグレイスさんはいるのかな、

と感じる。

文学とは、なんだったのか、そもそも

何をもってして文学というのか、と考

えてしまう。文学とは人生である、と

いってしまえば簡潔でカッコもいいが、

おそらく、たぶん、それだけでは言い

表せない要素があるのではないか。

時間であり、メシであり、経済であり、

テクニックであり、ある意味において

の教訓でもあるだろう。いや、春樹氏

もよく言うように教訓くらいなら、教

訓を読めばいいのであって、石の上に

も三年、とかね。我々はそれらについて、

考え続ける義務があるようだ。

         
(読了日 2023年11・16(木)15:10
(鶴岡 卓哉)



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あめふらし     長野あゆみ

2023-12-13 02:05:01 | 小説の紹介
文藝春秋    2006年

「少年アリス」から、こうなってしまった

ことに対して、ちょっと残念に思わないで

もない。

漢字の使い方など、その残り香はあるものの

なんかあらすじを読まされているような感じ

がする。小説といったものに一歩、手が届い

ていない感じ。

兎に角、物足りなさ、というより、よく分か

らなかった。いや、ぼくにはほんとに理解でき

なかったので、なにをどう批評したりしたらい

いのか分からないのだ。魂について描いてあっ

て、でも、この作家が魂それ自体をどう感じて

いるのかが伝わってこない。魂をどう考えてお

るのだね! と机をバンと叩きたくなる感じと

いえばよいのか。長野さんもおっしゃっていた、

「おかしみ」はなんとなく感じたので、多分、

それでいいのだ、と思わざるを得ない。

(読了日 2023年11・15(水)14:10)
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人生への関心    グレイス・ペイリー

2023-12-10 02:25:41 | 小説の紹介
村上春樹・訳

この本のタイトルの〈人生のちょっとした煩い〉

という文言がはいっている短編。

どうして春樹氏がペイリー女史の短編集をそんな

に訳したいのかよく理解できないでいたが、この

短編を読んで、ようやくその気持ちが分かったよ

うな気がした。

この短編の冒頭を五度くらい読み直して、いや、

意図的に読み直したのではないが、結果的にそう

なってしまって、それでも、この女主人公の人生

に失望する感じとか、ダンナがどこかへトンヅラ

こいてしまったことについて、また、ジョンという

男友達の存在、それに対する想い、と、テレビ番組

に出ようと思う、とジョンに言うと、きみのは、

人生のちょっとした煩いみたいなもので、ああいう

番組に出てくる人たちは洪水にあって、流されたよ

うな人たちだ、という。

うーん、人生のちょっとした煩いかあ、深い言葉に

思えてきました。

(読了日 2023年11・13(月)21:05)
                





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インド旅行記1 北インド編 中谷美紀

2023-12-08 04:57:24 | 本の紹介
幻冬舎文庫  平成18年

「嫌われ松子の一生」の映画を終え、心底

疲れていたので、インドへ旅立った中谷女史。

初めてのインドだと言うが、疲れても仕方あ

るまい。最後には早く帰りたい、と心の叫びで

終わる。

中盤でその創意のなさすぎるシンプルな文章ゆえ

精神的に倦んできてしまった。しかし、おれは

美人の中谷さんをこの一冊、最後まで見届けるのだ、

と必死に読んだ。一番きついのは、パスポートと

かを盗まれて、そのことについて延々繰り返される

後始末の文章。書く方もタイヘンだろうが、読む方も

タイヘンである。文才かあ! 文才はあんまりない

かもね。文章を書くには頭が良すぎて、フツー過ぎる

のかもしれないねえ。

(読了日 2023年11・9(木)1:25)

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