文藝春秋 1998年
途中、だめ人間なところを見せつけられて、読むのを
一旦、やめていたが、気を取り直して読んで読了。
天使まゆげ、と表紙にある。まゆ毛犬だが、マジックで
まゆ毛が書いてあった、というそれだけなのだが、作品に
仕立ててあるのを読むと、おもしろく書いてある。
気になったのは、戦争は人間のストレスを発散させるための
祭りごとだ、という新たな戦争論。こうだけ書くと不謹慎
なようにも感じるが、果たしてそういう見方もあるかなあ、
とは思った。
藤原氏といえば、オウムだが、この本にもオウムのことは
書いてある。その後的なものだが、その目の鋭さは、ぼくを
圧倒する。
いろいろなことについて書いてあるので、ちょっとでも気に
なる方は読んでソンはないのかなあ。藤原フリークのぼくとし
ては、この度の、コロナ禍をどうみているかも気になるところ。
けど、新刊を買う体力はないんだよなあ、だめだめなのはおれ
っちの方だったかも、チーン。
(読了日 2022年 9・9 13:50)
(鶴岡 卓哉)
文春文庫 2006
1995年は日本の現代史においても、重要なターニング
ポイントとなった年だ。オウム事件がそれの最たるもので
あり、本書も麻原彰晃について描かれている。
麻原が水俣病であったらしいことに言及し、目の見えなか
ったことも水銀のせいではないかと推論をすすめ、実兄に
会う。というところで雑誌の掲載は中止となったようだ。
このあと、実兄に会い、実際に麻原が水俣病であったと明
かされる。
黄泉の犬が過保護とエゴイズムに満ちた現代にとって、救い
となるのか、インドのガンジス川の袂で人を焼いていたのを
毎日、じっと見つめ続けたという藤原氏。死んで燃やすと、せ
いぜい60ワット三時間くらいの光を放って消えてしまう、と
いう。しかし、それは確固とした光となって宇宙を照らす灯と
なるだろう。船頭が歌うのだが、その歌詞がまたいい。
空中浮遊する麻原失笑の有名な一枚。そのまま何度か反動をつけ
飛び上がる。空中浮遊したと本人も自認し、イワシの頭も信心から
と同じことで、ただの青年もその時点で聖者になってしまう、と
書いている。
だからぁ、浮くなっちゅうの。……合掌。