古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

工場   小山田浩子

2018-02-24 04:19:12 | 小山田浩子
工場……何を作っているのかわからない工場で、シュレッダーに


かける作業だけとか、意味をなさないコケの研究をさせられて



いる男………めまぐるしく視点が変わってゆく。そして、不思議



な生き物洗濯機トカゲとかがいる世界。


緻密に描かれてゆく世界を構築させてゆく手腕は並々ならぬモノ


を感じさせるデビュー作。



いこぼれのむし………極端に改行を少なくしている。立場立場で


意見はめまぐるしく変化していく。27歳とは思えない筆致。


この人の作品集はわずか二冊だが、早く新作を読んでみたいも


のである。


同郷のよしみとしてだけではなく、作家として、おもしろい作


品を書くと思う。


労働の困難さみたいなものも如実に描くのもこの人の得意なところだ。
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穴     小山田浩子

2018-02-07 03:52:12 | 小山田浩子
新潮文庫。



穴に落ちるといっても、胸の高さくらいの


ビミョーな深さ、それが滑稽で笑わせる。


その穴というのも幻のような動物のなのである。


ひと夏の幻影を描いたともいうべき作品。


はじめ、ちょっと、と思ったが、膝突き合わせて



読んでみると、これがなかなか面白い。


ちょっとした滑稽味というか、ユーモアもあって、


とてもよかった。


寡作のひとみたいで、穴以降、作品集が出ていない


のが残念でもあるが。


同郷のよしみとしては、この芥川賞作家にずっと注



目していきたいですね。

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