古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。   高山みなみ 

2020-10-31 10:01:59 | 本の紹介

文春文庫    2001年

 

フランス映画のようなタイトルに思わず手に

 

とって、買ってしまった。

 

この前、テレビでご自分の台所を紹介していて

 

、その喋り方が妙に心地よく響いたのだ。

 

まだ料理家、文筆家として、デビューする以前の

 

不安でたまらない、どうしようもない日々を日記

 

形式で綴っている。

 

ボクもやたらと下積みが長く、未だに下積んじゃ

 

ってるんで呆れるばかりだが、世に出ていく人は

 

出ていくものなのだな。

 

おいしそうな料理やドリンクが巻末にカラーでのっ

 

ている。

 

ボクはいつでも腹をすかせている、そして、食うた

 

びに、どんなことがあっても生きていこう、と思う

 

おれっちだった。……合掌。

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セブンティーン     鶴岡 卓哉

2020-10-30 11:20:22 | ポエム

雷雨にうたれたボクの血走った目玉

 

避雷針のような感覚のボクの魂

 

舌の先に浮かぶヘーゼルナッツの粒

 

音の中に隠されたキーワードに踊るボクのまつ毛

 

最近、ボクの心臓は打つたびに死を呼び込む

 

あの頃のようなボクのステップが雨の中に浮かぶ

 

多分、明日は来ない、という確信……ボクにはわかる

 

硬くなるこんにゃく状のボクの血液の跡

 

海に行く、と言い残して、公園で死んだ、ボクの友人

 

ただ冷たいものが飲みたかったセブンティーン

 

色濃く残る虹の跡にボクの思想を描く

 

壊れたICチップにボクの文字が投射

 

打ち寄せる波頭にコインのようなキラキラ

 

ボクは沈みがちな頭でボーっとして

 

ボクは狂ってしまった……と呟いた

 

それから二十年ボクは彷徨し続け

 

トランキライザーでラリった頭で

 

君に手紙を書くんだ……

 

愛している、と……

 

 

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むらさきのスカートの女   今村夏子

2020-10-29 09:44:45 | 小説の紹介

朝日新聞出版   2019年

 

何年かたっていると思ったが、まだ一年前の

 

話しだった。第161回芥川賞を受賞した作

 

品がこれである。

 

文学ってものの懐の深さがわかる。文学では

 

いかようにも受け手によって作品が違ってく

 

るし、評価も違ってくる。それでいいだろう。

 

それこそが文学なのだ。

 

読んでいる途中は、どうもこれは、と思って

 

いたが、読後感はおもしろいにかわっていた。

 

読みやすいし(実際、改行が多い)、文章に

 

リズムがあるので、とんとんとんという感じ

 

で読み進めてしまい、気づいたら読み終わっ

 

ていた。といっても、古本で手に入れたのだ

 

が、読まれてはいなかった事実がイタイが。

 

買うことはするが、読むには至らなかった

 

本ということか、でも、僕はおもしろかっ

 

たけどね、僕はね、ぐわし……合掌。 

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ルアー投擲     鶴岡 卓哉

2020-10-28 12:40:50 | ポエム

ケツのイボが痛むんだ

 

全く下品な奴らだ、と呟き

 

澄み渡った青空の下でビールを呷るとき、地獄のような音がして稲光が落ちた

 

女には傷跡のような妊娠線があった

 

それでも止まらない沸き起こる欲望と尽きることない情愛

 

死んでその恩に報おうとしたが叶わなかった

 

タバコは吸いすぎてはならないが、僕は吸いすぎている

 

自動筆記を習おうと思ったが、既にやっていた

 

狂った滅茶苦茶なダンスで女を昇天させた

 

人に優しくすることで酷く傷つけられた

 

ラリっていると、階段から転げ落ちた

 

鎖骨を折ってしまったが、死ななかっただけマシだ

 

パンツの中でパンダがバナナを食う

 

緑色の欲望が今日も僕を急襲する

 

そしてBBQ恐怖症の僕を連れ出し

 

ルアーを投げながら、釣れん、という言葉を

 

投げかけるんだ

 

それが、どうしたっていうんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ドラマ    鶴岡 卓哉

2020-10-27 09:54:38 | ポエム

タバコの紫の煙りに映る夕べ

 

デッキチェアーでラリってる少年

 

少女はナイフのような心で万引きする

 

男が逃走する……脱兎のごとく

 

海で泳ぐ豚の親子

 

四十になったことで、落ち着くオヤジ

 

パワーを全開にして走り去るトラクター

 

言葉の中に真実を見出した二十二

 

悪い友人とツルんで逃避行だ

 

金魚鉢の中の六匹の凍り付いたメダカたち

 

点けっぱなしのトイレの電灯に群がる羽虫

 

節約に明け暮れる日々……僧侶のように

 

米粒に書いた文字に願いを込めて

 

明日にはきっといいことがある……希望

 

雨粒が僕の額で蒸発していく音

 

聞き逃せない音楽のラインナップのラジオショー

 

グラビアの少女が自殺を図る

 

手で隠した乳房に男が群がる

 

僕は走り出した……赤い夕陽の中で

 

六十年代の青春ドラマのような幕切れ

 

また、それもいいか

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未来地図     鶴岡 卓哉

2020-10-26 09:23:07 | ポエム

切っ先の尖ったナイフが湖中で光る

 

感情の奥底で何かが触れる

 

まだみたことのない知性が暴れる

 

信じられない程の死体の山に……

 

足がすくんでその一歩が踏み出せない

 

この地からみえる風景にはもう飽きた

 

排気ガスを食べて生きている

 

コーヒーに映るホラー映画が……

 

水色の感覚に怯える人々……

 

ボクがやった、と彼は死んだ

 

透明な靴を脱ぎ捨て、砂浜を走る

 

嘘で固められた彼のライフ

 

反対側で溺れたアヒルの群れ……

 

湖面で踊る土人の男の親指

 

スプーンの中で蠢く血の濁り

 

蒸発していくジワジワという心地いい音

 

血の中を流れる快感物質が跳ねる

 

ラリった頭で描く未来地図……目的地は?

 

 

 

 

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無人島に生きる十六人    須川邦彦

2020-10-25 10:24:27 | 本の紹介

新潮文庫   平成15年

 

明治の時代に二度座礁して、無人島に生きながらえた

 

十六人の物語を力強く、ほがらかに描いた痛快な作品。

 

明治の男はつよいなあ、と感心する。その昔の日本人

 

は、たくましい。

 

生きるってことがうまい、というとヘンに聞こえるか

 

もしれないけれど、生きるということをしているのが、

 

つねに不安になってくる現代だ。

 

だからって、ボクは冒険して、無人島で暮らさなければ

 

ならなくなるのはイヤだけど。平凡な毎日こそが、ボクに

 

とって、冒険にみちみちているように感じるってことは、

 

スリリングに生きているってことか。っていっても、

 

フツー(フツーってなんだ?)に暮らしているだけなんだ

 

けど。ボクは退屈したことはないな、幸運なことに、ぐわし

 

……合掌。

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きれぎれ    町田康

2020-10-24 10:09:04 | 小説の紹介

文藝春秋   平成12年

 

町田氏はパンキストだから、思想とか現実は

 

クソなんだろう。この小説は反リアリスティック

 

であり、反思想的だ。だから、あまり知的ではない。

 

美ともかけはなれているし、イメージの飛躍という

 

より、文章の破壊だ。ボクには文章の意味はよく分

 

かったが、一度目に読んだときは、えっ、ムリかも、

 

という感じだった。

 

脳をどうこうというのも、一見、理性的なことを狙って

 

いるのかな、と思うが、内容を読む限り、荒唐無稽だ。

 

じゃあ、小説であったら、なんでも書いていいのか、

 

といわれると、そうだ、なんでもいいのだ、というしか

 

ないじゃあないか。

 

だから、きれぎれは、これでいい、ということになる。

 

なにせパンクなのだから、 ぶっ飛んだ世界にはらほ

 

ろひれはれしようではないか!……合掌。

 

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ブログタイトルを改変!

2020-10-24 05:23:32 | カフェ、ギャラリー

タイトルを〈古民家ギャラリーうした・古本カフェ便り〉

 

にします。

 

Pカフェを本格的にといいますか、しっかりと古本カフェ

 

にしちゃえ、ということで、本棚も新しく入れて、始動

 

したので、タイトルも変えようということになり、Pカフェ

 

を古本カフェ、なんの愛想もないなまえですが(-_-;)。

 

今まで通り、スペシャルティ・コーヒー、手作りの生ジュ

 

ース(ホットあり)でやっていけたらな、と思っておりま

 

す。今後とも、よろしくです。

 

ブログの内容も、精査してやっていきたいと思います。弱小

 

ブログ、ガンバっていきます。

 

鶴岡たかの”暑かった夏”展ですが、展示の方は一週間延ばして

 

来週の日曜日まで見ることができます。

 

よろしくです。

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探偵     鶴岡 卓哉

2020-10-23 10:03:30 | ポエム

赤い風が吹く砂埃舞う駅舎

 

探偵がひとり、汗を拭く

 

駅前で立ち食いの朝飯をくらう

 

暑い、その無人とも思える町

 

自分が何者なのか、調べるために

 

足跡は掻き消え、残る死人の山

 

なぞは僕のなかさ、と呟き

 

ミルクを飲んだ後、手首にうっすらと……

 

印を辿ると、未だ見たことのない景色

 

僕を騙したのはボクだ……

 

僕を殺したのはボクだ……

 

古びたパスワード、ひとつだけ

 

デスクの上にぽつんとのっていた……

 

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