古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

佐渡の三人     長嶋有

2019-08-06 22:11:33 | 長嶋有
講談社文庫    2012年


「道子」という女流作家の目を通して、一族の葬儀を三回に


わたって佐渡で行う様を描いた作品。


妙なおかしみ、というものが長嶋作品にはただよっていて、


いつものゆるーい感じと相まって、いい感じに仕上がって


いる。まあ、一度読むのをやめようかな、と思ったけど、最終


的には最後まで読めてしまった。



長嶋有さんと言えば、猛スピードで母は、という伝説的におも


しろい作品があって、是非色んなひとに読んでいただきたいで


すね。まあ、ボク、関係者じゃないんで、あれなんですけど…………


……合掌。

                        (鶴岡卓哉)
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電化文学列伝     長嶋有

2018-08-23 12:49:27 | 長嶋有
講談社文庫    2005年


文学を電気製品の側面から考察する。かつて、こんな試み


があっただろうか?


ついみ逃してしまいがちな電化のことを、その作品世界につ


いて、説明してくれています。


川上弘美女史のセンセイの鞄はボクも読んだが、あれに出てき


た電池は印象深かった。


Aーウェルシュのトレインスポッティングの電気毛布も秀逸だっ



た。まさかそんな見方があるなんて、気配を消す電化製品とはね。



いちいち、ボクなんて、その解釈の奥深さに驚愕しちゃうけどね。



文学の新たな可能性を見つめた、恰好のテクストだと思います。
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ぼくは落ち着きがない      長嶋有

2018-02-27 05:16:12 | 長嶋有
光文社文庫 2008年6月刊。


西部劇に出てくるバーにあるようなドアのある図書館。そこに高校生たちが



集まって図書部を形成している。そのどの面々も、クラスではちょっとという



ような学生ばかり。読後になにがおこっていたのか、と問われると、いや、そ、


それはなんでしょうねえ、となってしまうが、読書体験としてはおもしろいこと


この上ない。読んでいて、楽しいのだから、読書はやめられないし、そんな体



験をさせてくれる長嶋氏に感謝したいくらいだ。細かい雑学に満ちあふれている。



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泣かない女はいない       長嶋有

2018-02-14 14:25:11 | 長嶋有
河出文庫。


題名はなにかと思ったら、ボブ・マーリーのNO WOMAN NO CRY


から。



主人公、睦美が好きになった男がそのうたをカラオケでうたうのだ。


長嶋氏のこの作品は要素が幾重にもなり、独特のグルーブ感を生み



出している。



その作品は読み応えがあり、日常を描きつつ、そこだけでは終わら


ない世界を構築していく。


恋って不思議だ…女を変える。


女性の視点に立ち、女を演じきる。書いている間は少なくとも、女子



であったのではあるまいか。


「泣かない女はいない」………「文藝」2004年


「センスなし」……「文藝」2003年夏号
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