古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

本棚から猫じゃらし   群ようこ

2018-10-28 10:00:04 | 本の紹介
新潮文庫      平成六年2月


とりあげられている二〇冊の本の中で、読んだことのあったのは


三冊くらいしかなかった。


やはり、最重要なテーマは、老化と死と独り身ということになる


だろうか。


芥川龍之介の「鼻」で、鼻の脇を押すと白いものがでる、という


のを、ボク自身は経験ないが、十九歳のころ、バイト先のおとこ


がやってみせて、そいつはヘンタイのいかれ男だったから、大層


気持ち悪かった覚えがある。ヘンタイだから白いものが出てくる


んじゃなくて、女の人もでるのだ、と思った。


十六冊目、夏目漱石の「猫の墓」も、ボクもペットが死んでしまって


山に墓を作ってあげて、弔ってやった。詳しくはまた別の機会に。


平成9年時点では、群さんは読書量が激減し、不良中年宣言されているが、


いまはどうなのだろうか……スゴく気になるんですけど。


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問題があります    佐野洋子

2018-10-26 14:25:04 | 本の紹介
ちくま文庫   2009年


佐野さんは、本などばかり読んで、なんのためにもならない人生


だった、というようなことを書いておられるが、そんなこと絶対


にない、とボクは思う。


本を読むことで、エッセイを書き、めぐりめぐって、ボクを楽しま


せ、佐野さん自身をさえ救っていたのだ。


評論も含まれており、戦中、戦後のことやなんかにも言及している。


佐野さんは引き揚げ者だったのですね。


「六本指の男」というマンガをもう一度読みたいとおっしゃっている


が、ボクも読んでみたいですね。六本指より強烈なのは、最後に所収さ


れている、卵、産んじゃった、だろう。


うんこについて書かれているのだが、卵状のうんこをした、とか、信じ


られない、汚いのに笑っちゃう。


おまえ、ぶっちゃけすぎやろ! とツッコミを入れたくなる。
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夢の壁    加藤幸子

2018-10-25 05:03:05 | 加藤幸子
新潮文庫    昭和57年


芥川賞を受賞した短編「夢の壁」は読みやすい、印象深い場面もあり


文学的に優れていると感じた。


それが同時所収の「北京海棠の街」になると、とたんに文体が変わり


読みにくく、わかりにくくなってしまっている。ボクは途中棄権した。


「夢の壁」は満州あたりが舞台で、そこに住む午寅という少年(七歳


~九歳)とその父の車夫の生活に関わってくる日本人の佐智という少女


の話である。


「夢の壁」だけで440円は高いのか? と思うが、ボクはそれだけで


満足したのだった。

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小さなお庭から 展 のお知らせ

2018-10-15 15:26:58 | カフェ、ギャラリー
古民家ギャラリーうした、とPカフェで鶴岡たかの水彩画の


小品の展覧会をいたします。


2018年10月16日(火)~11月18日(日)まで。



柔らかな線と色彩で、お庭でできたニンジン、カボチャ、など



身近なものを題材にしています。



ストレス社会のキュウキュウとした日々の中で、身近なものを




題材に、と鶴岡たかの優しいまなざしに癒やしの時間があなた



に訪れるはずです。



おいしいコーヒー、ゆず茶をご用意してお待ちしております。
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寄る年波には平泳ぎ    群ようこ

2018-10-11 13:04:26 | 群ようこ
幻冬舎文庫   2015年


文学において、ボクはさして共感とか、価値観の一致は


重要じゃないと思っているのだが、エッセイにおいては


そういうものがイコールであることが重要なのだな、と


思った。


ボクは60前の群さんとすごくものの考え方が近いのだな、


と思った。


まあ、そういった意味じゃあ、昭和世代ということができ


るだろう。


料理をしないで、デパ地下で全て済ませる家庭には、同じ


ように驚く。家賃を踏み倒すひとは、どうかしている、と


思うように。


まあ、まったくの常識人という意味じゃあ、オモシロくは


ないのかもな。


でも、このエッセイはオモシロいですけど。
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郵便配達は二度ベルを鳴らす  ジェームズ・M・ケイン

2018-10-07 20:56:25 | ジェームズ・M・ケイン
田口俊樹・訳  新潮文庫  1934年。


映画化七回、邦訳六回、永遠のベストセラーと帯にある。


ボクはこの作品を読むのは初めてだったが、え? で、どう


いうこと? ということが多すぎて「?」しか残らんかった。


映像化を七回もされているのだから、ストーリーも吟味されて


いるのだろうが、ボクにはこの訳ではわかりずらかったとい


うのが正直なところだ。


もちろん、大筋の一度目に殺害を失敗した、とかいうのはわ


かるんだけれど、デテールがねえ。


でも、一気読み必至のおもしろい作品というか、魅力のある


作品ということはいえると思います。


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ビーの話    群ようこ

2018-10-06 13:24:46 | 群ようこ
ちくま文庫   1999年7月


シャム猫の隣人の猫ビーについて描かれる。


何度かもう読むのをやめようかと思ったが、結局


最後まで読んでしまった。


ビーの話が長すぎる、というきらいがあるのだが、


猫好きにはどっぷり猫に浸れるいい本だろう。


ボクも猫を飼っているが、こんなにいろんな猫


がいるんだな、と思った。


ごはんの話で、食べなくて困る、というのは、ウチの


猫も贅沢になってきて、安いカリカリは食べなくなっ


たので、よくわかるわぁ、と思った。


飼い猫あるあるだろう。
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またたび回覧板   群ようこ

2018-10-05 08:55:15 | 群ようこ
角川春樹事務所    1995年


ネットでポチッして買ったのを忘れていて、古本屋でまた


買ってしまった。ネットで買った方はハルキ文庫版で再版


されたものであった。群さんのコアなファンとしては、両


パターン揃えられて嬉しい限りであった。


男性パーマは危険な香りの中で、男性もパーマで失敗する


のじゃないか、と言及されているが、ボクもその思い出が


ある。


92年ころに岡村靖幸に憧れていて、どうなっちゃってんだよ、


のPVを見て、パーマをかけようと思い立ち、パーマをかけたら


冬木道弘になってしまったのだった。冬木さんもすでに亡くなって


しまった。


なんの間違いからあんなことになったのか未だによくわからない


のだけれど………って太ってたからだろ!
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猫と海鞘      群ようこ

2018-10-04 13:11:09 | 群ようこ
文春文庫    平成4~6年


群女史の盛りの付いていた高校時代の話しや、髪を切ったら


武田鉄矢といわれたといった自虐ネタは、最高に笑える。


かなり爆笑な一冊なのでは。


スカートのベルトが空中に飛んでいった、という話しも笑えるし


都はるみのコンサートに行ったときの話しもおかしみを誘う。


群女史はモテないと言っているが、ボクは割りと群女史の顔はこけし


みたいで好きである。まあ、ボクじゃ若いとき会っても願い下げだ


ろうけどね。


とにかく、群さんのエッセイではずれたことはまだ一度もない、十割


バッターだね。
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至高聖所(アバトーン)    松村栄子

2018-10-01 04:19:58 | 松村栄子
福武書店   1991年~1992年


これほどまでに人間の内面を描くのが巧みな作家というのもなかなか


いないのではないか。


さすが第106回芥川賞を受賞しているだけのことはある、と読み応え充分


である。


学園ものといえる、女子大学生の沙月が主人公でピアニストになるだろう


と思っていた姉がいる。同室の真穂というかわった女子がいて、その真穂


が書く舞台劇の台本が至高聖所(アバトーン)を扱っている、ということから


このタイトル。


いろいろな文学的な仕掛けが縦横に張り巡らされていて、伏線もいろいろあった。


読んでいて、楽しく、文学的に充実した時間を過ごせた。


同時所収の「星の指定席」中学校の女教師を描いた秀作です。
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