古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

いそしぎ      椎名誠

2022-07-31 00:10:26 | 小説の紹介

徳間書店     1983年

 

「シークがきた」所収。

 

初読だと思って読んでいたが、オチを読んで、どこかで

 

もうすでに読んでいたことが判明。ふしぎな感じの短編で

 

SFだと思うのだが、よくわからない。いそしぎになること

 

を希望した妻は選ばれて、いそしぎになることになるのだ

 

がそのための祭りのようなものをする。なんか、こういう

 

めんどくさい小説を読みたい、と思っていたので、読むことも

 

苦にならない。結局、文体の勝利だろうな、これは。

 

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あんな作家 こんな作家 どんな作家   阿川佐和子

2022-07-27 22:36:48 | 本の紹介

講談社文庫   1992年

 

57名の作家に直截話をきき、エッセー風に書いている。

 

もう亡くなっている人が大半だ。そういう意味でも貴重だ。

 

だいたいおしなべて男は男らしく、女は女っぽい印象。

 

きっとこの時代は作家に限らず、男は男として、女は女

 

として生きられていたんじゃないか。

 

いろんなタイプの作家がいるのは当然として、そこへ独

 

自の視線であっさりとかわしていく阿川女史の切り口は

 

あっぱれだ。なんとなく、父上が作家というのもいいように

 

影響しているのかな、と思う。ちょっと活字にうみてきた

 

ぼくには、おもしろく読めたので、よかった。ぼくには

 

まだ読むべき本がある、と思えた。

 

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新東京百景    山口瞳

2022-07-25 03:50:41 | 本の紹介

新潮文庫  平成5年

 

この本が書かれてから三十数年が経ち、この本が

 

書かれてから二年後の平成7年に瞳氏は亡くなっ

 

ている。

 

まず、第三景の浅草のロック座のストリップショー

 

を見に行く、というやつ。67歳でもなお女の裸に

 

興味があるのか、と驚かされるが、それが、食い合わせ

 

が悪かったか、女の裸に反応したか、いきなり、死

 

にそうになって、吐きまくって、救急車で運ばれている。

 

うーん、これでは死んでしまうのを分かるね、二年後に。

 

代官山に行ったときに、シェ・リュイという菓子屋に

 

立ち寄っている。丁度このころ、亡くなった義兄が修行

 

していたころではなかろうか。ケーキと言わないと売らない

 

という女の子の店員にえらく腹を立てている。

 

その後、義兄はシェ・リュイをやめて、春日部に店を出した。

 

1997年ことの話だ。

 

山口氏はなんにでも文句があったらしく、えらいメンドクサイ

 

ジジイだったらしい。

 

ぼくも、東京を離れて22年、東京の街は変わったのだろうなあ

 

もうそろそろ東京行ってみっか。

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がんばれ‼ タブチくん‼ ③ おとぼけ夫婦篇 いしいひさいち

2022-07-24 09:22:31 | 本の紹介

双葉文庫    2008年

 

今の若い人はどうかしらないが、ぼくらが子供のころは

 

このタブチくんを知らない人はいなかったはずだ。

 

野球選手なのにでぶで、すごくおもしろいやつ。

 

昔、小三の頃に南浦和の映画館ではなく、公民館

 

みたいなところに雨の日に象物語っていうのを見に行った。

 

その同時上映がこのタブチくんのアニメだった。ハハ

 

はアニメに偏見があって、子供にアニメなんて、とすごく

 

機嫌が悪かったのを覚えている。

 

これは中二のときに、試験勉強を絶対にしないとまずいという

 

夕方16:00からタブチくん、見ちゃったね。ああ、

 

考えてみたら勉強って勉強、ろくにしてなかったわ。

 

あんまり勉強好きじゃなかったからさ。このタブチくんに

 

サブカル的側面があるとは知らなかった。

 

おれってサブカルくそ男だからさ、チーン。

 

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言葉のレッスン     柳美里 

2022-07-22 22:03:04 | 本の紹介

角川文庫    1998年

 

このエッセイ集には枕詞みたいな引用があるが、

 

それに「毎晩 毎晩 不運に生まれつく者 毎朝

 

毎朝 幸せに生まれつく者」という引用がある。これ

 

は「デッドマン」というジム・ジャームッシュ監督

 

のもので、ぼくはジャームッシュ監督は大好きなので

 

このセンスに脱帽と言う感じだ。それも98年なので

 

最新作だったはずだ。きっとこの人は映像的にも鋭敏

 

なものをもたれているのだろうと思われる。

 

韓国人の家庭の人ということで、サイン会でおどされた

 

という。右翼と名乗る男からとあったが、何人たりとも

 

そんなおどしに屈しちゃだめだったんだ、と思う。

 

いつも韓国系の人はあたりが強くなってくる。作家にしても

 

妬み、が多いと思う。

 

いろいろ心に残った文章はあったのだが、吉川ひなの

 

女史に会った話が柳さんを物語るいいエピソードだろう。

 

プレゼントを必至の感じで服を用意して、それを

 

喜んでくれたひなの女史の姿を見て、すごく喜ぶ。この

 

素直な感じがなんとも微笑ましい。ぼくがそんなことを

 

したら、ただのスケベオヤジだけどね、チーン。

 

 

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全日本食えばわかる図鑑   椎名誠

2022-07-21 22:01:40 | 本の紹介

小学館   昭和60年

 

シーナ氏の初期の作品である。沢野画伯も冴えている。

 

おとぼけがすぎますよ。

 

シーナ氏と言えばうどん、ラーメン、海苔、のひとだと

 

思うのだ。長いものをこよなく愛す、長物好きの人。

 

それで、この本だが、おもしろいのだが、昭和ケーハク体

 

ともいうべき、消化の良さで、読後になにも残留しないというの

 

が、まことに正直にいいんですね。

 

無内容ってわけじゃあない、なにか、こう、サムシングを感じ

 

るんですが、邪魔にならないポップ感というかね。

 

そうそう、でもね、この巻末の対談は野菜論議なんだが、あん

 

まり対談的な表記は苦手なのね、ぼく。でね、内容もタマネギは

 

えらい、とかだしね。

 

このはっちゃけた文章のおもしろさ、というのは、神が

 

かっているね。まったく脱帽だよ。久しぶりにシーナ氏の

 

神髄を見た気がした。  

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ともだち ねむの木 そして私 その2 宮城まり子

2022-07-17 04:43:10 | 本の紹介

集英社 1979年

あなた、おげんきですか、おしあわせですか? と

 

宮城女史は聞いてくれる。読者を友だちと認識して

 

いるらしい。その1はオレンジ、その2はグリーン、

 

の装丁だ。美的な才能に溢れているらしい。ハハも

 

ねむの木の展覧会に数十年前にいったが、よかった、

 

と言っていた。ちょっとやそっとじゃ描けない絵だ、

 

ということだ。その2も、第三作の映画を撮り始める

 

あたりまでのことが描かれる。とにかく、この人は

 

いつも走り回り、疲れていた。三足も四足も仕事の

 

わらじを履いていたのだ。こういう人のことを、最近は

 

聞かなくなった、ヒューマニストというんだろうな。

 

(読了日 4・21(木)12:40 鶴岡 卓哉)

 

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ともだち ねむの木 そして私1 宮城まり子

2022-07-12 23:11:08 | 本の紹介

集英社   1978年

 

吉行淳之介氏の愛人というイメージが強いが、障害者施設

 

ねむの木学園の学長でもあった。1978年当時はねむの木

 

の詩がきこえる、などの映画も撮られていて、数々の賞を

 

受賞している。その功績は今も語り継がれているのではなか

 

ろうか。いや、あんま聞かないか。

 

その忙しさは目に余り、実際、過労で入院を何度もしていらっ

 

しゃる。その合間を縫って、の、この本であるが、これがすごく

 

いいのである。その熱量は大したもので、やさしくね、やさしくね

 

やさしいはつよいのよ、というメッセージはなにより心に響いてくる。

 

その映画もぼくは見たような気もするが、よくは覚えていない。

 

文章も句読点がはじめ、打ち過ぎではなかろうか、と思ったが、読

 

んでいるうちにそれほど気にならなくなる、というか、後半、

 

句読点の打ち方がうまくなってくると、なんか物足りなく感じてくる。

 

2もあるので、読んでみよう。

 

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