映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

トスカーナの幸せレシピ

2024年09月21日 | 映画(た行)

適量

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三つ星シェフとして知られるアルトゥーロは、仲間とのトラブルで傷害事件を起こし、
更生のため社会奉仕としてアスペルガー症候群の若者たちに
料理を教えることになりました。

生徒の中に絶対味覚を持つ青年・グイドがいて、
若手料理人コンテストの出場を決めます。

渋々ながら、アルトゥーロがコンテスト会場に付き添いで向かうことになりました。
グイドにとっては初めての旅行です。
ところがその時、アルトゥーロに大きなチャンスとなる仕事が舞い込み、
グイドの元を離れなければならなくなるのですが・・・。

アスペルガー症候群のことなど何も知らないアルトゥーロは、始め戸惑ってばかり。
皆いかにも変わっていて、それぞれのこだわりがあって、
どう接して良いのかも分りません。
特にグイドは並外れた味覚の持ち主ではありますが、
人に触れられるのを極端に嫌います。
でもアルトゥーロは、彼らには特別に配慮しすぎることなく、
普通に人と話すのとあまり変わらず接します。
そもそもそういうデリケートさを持ち合わせていない(?)。
でも結局そのフランクさが良いのですよね。

本作は、こんな師弟2人が次第に信頼関係を結んでいくという物語です。

ところで本作の原題は、「Quant basta」。
「適量」という意味です。

アルトゥーロは、よく「調味料を適量加える」というのですが、
グイドにはその曖昧な「適量」というのがよく分らないのです。
計量してはダメなのかと問うのですが、アルトゥーロは首を振ります。
しかし様々なことがあって、最後にグイドはその曖昧な「適量」の意味を学ぶ。

だから本来この題名は、そうしたことを象徴したとてもよい題名なのですが、
邦題の「トスカーナの幸せレシピ」は、あまりにもどこにでもありそうな凡庸な題名。
残念です。

グイドは確かにちょっと変わっているけれども、
知れば知るほど普通に友人付き合いできると感じるようになりますね。
まあ、そういうことです。

 

<Amazon prime videoにて>

「トスカーナの幸せレシピ」

2018年/イタリア/92分

監督:フランチェスコ・ファラスキ

出演:ピニーチョ・マルキオーニ、バレリア・ソラリーノ、ルイジ・フェデーレ、ニコラ・シリ、ミルコ・フレッツァ

満足度★★★★☆