映画と本の『たんぽぽ館』

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父と息子の地下アイドル

2024年09月11日 | 映画(た行)

息子の意志を継ぐ父

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WOWOW新人シナリオ大賞受賞作。

 

妻を亡くし、ひとり息子とは疎遠になっていて、
さみしく暮らす高校教師、千堂(松重豊)。
かつては子どもたちに熱血指導をしていましたが、今の子どもたちには通用しません。

ある日突然、音信不通だった息子・勝喜の事故の知らせが入ります。
勝喜は病院で眠ったまま、植物状態に・・・。

病室で呆然とする千堂の元に、派手な衣装を着た3人の少女がやって来ます。
この3人は勝喜がプロデュースする地下アイドル「オトメがたり」。
まだデビューして間もなく、まったく人気もないのですが・・・。
でも勝喜が活動できなくなれば、新しい曲もなく、解散するほかないでしょう。
しかし、千堂は息子勝喜に変わってアイドルプロデューサーになることを決意。
幸い息子の部屋に新曲の録音がいくつか残っていたのです。

「地下アイドル」という言葉さえ知らなかった千堂ではありますが・・・。

 

疎遠のまま意識がなくなってしまった息子の、意欲を燃やしていた仕事。
少女たちが夢を見ていたその仕事をなんとか引き継ぎたいと千堂は思ったのですね。
というか始めは少女たちに懇願されて無理矢理に、ではありましたが。

地下アイドルのことなど何も知らない千堂が頼ったのが、
受け持ちのクラスの不登校・引きこもりのオタク少年というのもよろしい。
人は誰かの役に立っているという認識が、生きる力を与えます。

 

地下アイドルというのも、私はテレビドラマなどで知るだけですが、
どうやったら多くの人に知ってもらえるのか、そして資金集めの方法、ファンサービス等々・・・、
単にキラキラした世界ではなく大変なことですね。

そうした様々なことを織り込んで進んでいくストーリー、
さすがシナリオ大賞受賞作です。

楽しませていただきました。

 

<Amazon prime videoにて>

「父と息子の地下アイドル」

2020年/日本/94分

監督:横尾初喜

脚本:光益善幸

出演:松重豊、若月佑美、今井悠貴、芋生悠、瀧本美織、井之脇海

地下アイドルを知る度★★★★☆

満足度★★★.5