相谷熊原遺跡出土土偶(高さ3.1cm、最大幅2.7cm、重さ14.6g)。 2011.6.14「発掘された日本列島2011」(江戸東京博物館)にて撮影。
滋賀県文化財保護協会は29日、東近江市永源寺相谷町の相谷熊原(あいだにくまはら)遺跡で、縄文時代草創期(約1万3000年前)の竪穴住居跡5棟が見つかり、国内最古級の土偶1体が完全な形で出土したと発表した。同時期の住居群跡は全国でも数例で、しかも近畿地方では初めて。土偶は三重県の粥見井尻(かゆみいじり)遺跡で2点に次3例目。
発見された土偶は高さ3.1cm、最大幅2.7cm、重さ14.6g。女性の胴体のみを、胸や腰のくびれも優美に表現し、腕や脚はなく、頭部もなかったが、首付近に直径3mm、深さ約2cmの穴があり、棒で別の頭部をつないだなどの可能性もある。底は平らで自立するのが特徴。
相谷熊原遺跡は、三重県境の鈴鹿山脈から流れる愛知(えち)川の南の河岸段丘にあり、山間地と平野部が接する場所にある。竪穴住居群は、緩い斜面約100mの間に5棟連なって確認された。規模の分かるものは直径約8mの歪(いびつ)な円形で、深さ約0.6~1mと、これまでの例より深く、しっかりした構造だった。作るのに相当な労力がかかる上、多くの土器や石器も出土しており、一定時期でも定住したことが考えられるという。
現地説明会は6月6日(日) 10時と午後1時半の2回開かれる。雨天決行。
[参考:共同通信、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、産経新聞]
滋賀で縄文草創期の最古級土偶 3例目、女性かたどる (共同通信) - goo ニュース
リアル!最古級!縄文のビーナス出土(読売新聞) - goo ニュース
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縄文時代の国宝としては4点あり、そのうち土偶は3点である。
「縄文のビーナス」(茅野市棚畑遺跡、約4500年前)
「火焔土器」(十日町市笹山遺跡、約4500年前)、
「中空土偶」(函館市著保内野遺跡、約3200年前)
「合掌土偶」(八戸市風張1遺跡、約3500年前)
そして、縄文時代草創期(約1万2千~1万1千年前)の土偶として、三重県飯南町粥見井尻遺跡出土品がある。
今回出土した相谷熊原遺跡・土偶は、時期的にこれらを遡るものである。
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