セルハイ:スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(Super English Language High School)は平成14年度に始まった英語教育改善研究指定校制度です。各研究指定校は英語教育の教材開発、授業展開その他諸々の研究を行い、その研究成果が日本の高等学校英語教育の改善・向上に役立つように期待されています。
平成16年度で第1期(平成14年度研究指定3年間)が終わり、研究成果が発表されることになりました。
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平成14年度SELHi指定を受けた公私2高等学校の実践報告を見て感じたことです。
公立学校発表:大阪府立千里高等学校の実践報告。
同校は1967年創立の8クラス×3学年規模の普通科と国際教養科併設の高等学校。「国際人に求められる、”High Level”なコミュニケーション能力を有する生徒の育成」を研究課題に据えました。この課題の具体化をめざした教材開発・授業計画・実践の報告がありました。
外国事情の授業の一環としてディベート(模擬国連onAIDS)の様子が紹介されましたが、学校としてSELHi指定以前からの英語教育の様々な実践の”貯金”があり、”経験値”が高いとはいえ、3年間でここまで英語を用いた活動ができる-できるように指導できる-のはすごいことだと感じました。
現在の自分の授業で何ができるか探しましたが、シャドウイングをさせ方が参考になりました。
私立学校発表:東京都の目白学園高等学校の実践報告。
私立学校で中高一貫教育の学校であること。外国人スタッフが8,9人いることなど、公立学校での実践・状況と比較検討することができるレベルの学校ではありません。授業展開も少人数+TT( or 外国人教諭単独授業)により、生徒を英語を使い何かをする環境においています。私立高校だとここまでやれるものなのかと思いました。
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研究会に参加するときに、僕が唱える呪文
「研究指定校実践報告なので、すごくて当たり前。自分の勤務校ではできっこない」なんて絶対言わない。
何かヒントを得るための参加です。A needle in a haystackは「無駄骨、骨折り損のくたびれもうけ」の意味だけど、そうならないように、見聞を広めたいと思います。僕は1本はクギを見つけよう。今回も見つけました。
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気になった言い方
「SELHi」での成果を、その学校全体の取り組みにする。。。してほしい。
SELHi研究指定が学校全体の英語教育としてではなく、その学校の一部(英語を中心とした専門学科:外国語科等)での教育実践を対象としている場合があります。だから、「その学校全体の」と、いうことが言われるわけです。同一校内の教育活動改善につなげることが難しいならば、他校への情報伝達はもっと難しい。でも、SELHi指定は研究成果が高校英語教育全体の向上改善に資することが、目的だったはず。そのための今日のforumでもこういうことが言われる。やっぱり難しいんだ。
「普通科」にも広げる... 自分の勤務校は普通科商業科併設校です。
「英語が使える日本人」育成構想がいう「日本人」とは誰なんだろう。SELHiとほぼ時を同じくしてSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)という制度も始まりました。これは理数科教育の改善研究をする学校を指定するものです。当初SSHについては、いわゆる伝統校・進学校と誰もがわかるような学校を指定し、SELHiはそうではなく、外国語教育に特色のある学校を選ぶとのことでした。今日の研究発表では、「普通の中堅校」という言い方が耳につきました。「普通の中堅校」や「かなりの学校」での実践は、何がどこまで自分の勤務校で応用可能なのか、よく考えなければなりません。
「研究指定校実践報告なので、すごくて当たり前。自分の勤務校ではできっこない」
できない理由を作るのは簡単。ダンプカー1台分すぐ見つかります。言い訳はどんどんふくらみます... JABEEにつながる工業系学科の英語教育や、商業系学科の英語教育の困難さが頭をよぎります。4月以降の授業をどうするかも考えなければなりません。でも、日々のことのみを考えていては近視眼になります。
「日本人」が「普通の中堅校に通う、普通科高校生only」になってはいけないと思います。専門学科(商業科・工業科)が忘れられているとはいいませんが、何か腑に落ちませんでした。商業科の英語授業担当の僕は何をすべきなのか... 僕ががんばればそうはならないなんてえらそうなことはいいません。でも、どうすればいいのか。
幸い、ダンプカーのタイヤをパンクさせ、いいわけ風船(?)を破裂させる新しいクギも手に入りました。また、がんばろうと思いました。