獣医師を養成するのが「獣医学系学部」である。あらためて、獣医師はどんな大学で養成されているのか、どの程度の人数が獣医師国家試験に合格しているのか調べてみた。
以下は「第68回獣医師国家試験(平成28年度)の結果について」(農林水産省ウェブサイト,平成29年3月10日付)から作成した。
まず、新卒と既卒の分類。
区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
新卒 | 1028 | 899 | 87.5% |
既卒 | 258 | 98 | 38.0% |
その他 | 10 | 3 | 30.0% |
計 | 1296 | 1000 | 77.2% |
既卒の合格率があまりよくないように思える。
附属資料「獣医師国家試験の結果(大学別)」(PDF:89KB)から、直近の大学別受験者数・合格者数・合格率を読んでみた。
分類 | 大学名 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
新卒者 | 北海道 | 38 | 33 | 86.8% |
帯広畜産 | 42 | 35 | 83.3% | |
岩手 | 36 | 33 | 91.7% | |
東京 | 31 | 25 | 80.6% | |
東京農工 | 38 | 35 | 92.1% | |
岐阜 | 30 | 27 | 90.0% | |
鳥取 | 40 | 36 | 90.0% | |
山口 | 30 | 26 | 86.7% | |
宮崎 | 26 | 23 | 88.5% | |
鹿児島 | 33 | 27 | 81.8% | |
大阪府立 | 45 | 40 | 88.9% | |
酪農学園 | 138 | 124 | 89.9% | |
北里 | 132 | 117 | 88.6% | |
日本獣医生命科学 | 80 | 74 | 92.5% | |
日本 | 138 | 112 | 81.2% | |
麻布 | 151 | 132 | 87.4% | |
新卒者計 | 1028 | 899 | 87.5% | |
既卒者 | 258 | 98 | 38.0% | |
受験資格認定者 | 10 | 3 | 30.0% | |
予備試験合格者 | --- | --- | --- | |
合計 | 1296 | 1000 | 77.2% |
国立大学、公立大学、私立大学
この回の試験、新卒で一番合格率が低いのが東京大学だ。分母(受験者数)が小さいので、こういうことも起こりうる。
私立大学の受験者が多い(学科定員が大きい)ことがわかる。
この資料では、第68回国家試験まで6回の国家試験合格率が開示されている。各回とも全体で新卒者合格率は85%から90%である。
なお、受験者数=その年次の入学定員(もしくは入学者数)とは限らないので、個々の大学にある年度に入学した学生の単純な合格率とは見なせない。
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さて、話題の加計学園の獣医学部である。岡山理科大学は「獣医学部獣医学科」の入学定員を「160人」として設置認可申請中である。
・・・大きすぎる?
同法人の運営する岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、千葉科学大学には、理工系学部、生命科学系学部がある。
獣医学系学部入学倍率は非常に高い。
岡山理科大学に獣医学部ができた場合、一体どの程度の受験難易度になるか。定員が充足するか。充足しても、先行他大学の獣医学部とのアカデミックレベルの差違はどうか。四国4県の高校進路指導部職員はどう見るか。
・・・なかなかわからないことが多いと思う。