シャアの反乱から12年後、混乱状態の世界では断続的に軍事衝突が発生していた。そんな中、地球連邦政府の腐敗に対抗し、反地球連邦政府組織「マフティー」が始動する。そのマフティーを率いるのは、かつて一年戦争にも参加したブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアだった。連邦軍大佐ケネス・スレッグや、謎の少女ギギ・アンダルシアとの出会いが、武力による抵抗を画策するハサウェイの運命を変えていく。 |
よく映像化したと思う。。。
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本作冒頭15分は、過日「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」にも書いたとおり、一度劇場で目にしている。
父は地球連邦宇宙軍第13独立艦隊司令ブライト・ノア。英雄である。母は日系(名家とされるヤシマ家の令嬢)、母方の祖父は地球連邦政府の元高官。出自から見れば、ハサウェイは体制側(派)の家系である。
彼は少年時代、シャア・アズナブルが起こした第二次ネオ・ジオン戦争(いわゆるシャアの反乱)を経験している。そこで人を殺めている。
大人になり、短い期間だが連邦軍に所属もしていた。その彼がなぜ、どのような経緯で、反地球連邦政府組織を率いているのだろうか。鑑賞前はかなり疑問に感じていた。
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いろいろ雑感
「率いている」について
作品紹介の印象とはずいぶん違う印象を受けた。象徴、シンボリックなリーダーだと感じた。本作でMSのパイロットとしての活躍はあまりないが、ΞGUNDAMでの戦闘シーンはすごいと思う。彼は戦場でたたかう姿を見せて、リーダーシップを発揮する人なのだろう。カリスマ的な指導者である。
市街戦
マフティーと連邦軍の市街戦。ビームサーベルでMSの機体を斬り合い、ビームで攻撃する。おそらくだが、GUNDAMのものがたり世界で、ここまで機体の金属が溶ける様子を細かく、連続して描いたものはないのではと思う。溶けた金属が逃げ惑う人々に降り注ぐ。かなり怖い描写である。
普通の人々
従前の作品では、MSのコクピットからの視点、コクピットへの視点を中心に描かれたシーンが印象に残るが、本作は大きく異なる。戦場と化したダバオ市街。MSのスラスターの熱が街路樹を焼き、爆発が人々をなぎ倒す。多くの犠牲者がでる。別の場面だが、陸戦用ジェガンA型(マン・ハンター仕様)が街中を歩く。それを避ける人たち。MSを見上げる視線の厳しさ。
もちろんGUNDAMは第1作から、民間人犠牲者の姿を描いたシーンは存在した。あっけなく人が命を落とすシーンも多い。でも、本作の普通の人々の描かれ方は従来のものと違うように思えた。
背景のこまかさ
新海監督作品、ヴァイオレット・エヴァーガーデンに通じるのだが、背景(街、建物、海)の描き方の細密さがすごい。キャラクターの人間が一番人間らしくない(アニメだけど)ことが、目についた。
3部作
当初の発表によると、本作は3部作の第1作。全体としてものがたりの世界観と、主人公ハサウェイ・ノアの紹介が中心だと思う。 次回作以降、より詳しい人物像の描写や、ハサウェイとブライトとの関係が見えてくるだろう。これに加えてMSの戦闘シーン等のスケールアップを期待して、次回作を待とうと思う。