ある意味、『高校無償化法』は民主党政権の象徴的政策の1つである。あらためて読んでみよう。
この法律、来年3月末にある区切りが存在するのだ。
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公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律
平成22年3月31日法律第18号
第一章 総則(第1条・第2条)
第二章 公立高等学校に係る授業料の不徴収(第3条)
第三章 高等学校等就学支援金の支給(第4条-第15条)
第四章 雑則(第16条-第20条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、公立高等学校について授業料を徴収しないこととするとともに、公立高等学校以外の高等学校等の生徒等がその授業料に充てるために高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとすることにより、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「高等学校等」とは、次に掲げるものをいう。
一 高等学校(専攻科及び別科を除く。以下この条及び第四条第三項において同じ。)
二 中等教育学校の後期課程(専攻科及び別科を除く。次項及び第四条第三項において同じ。)
三 特別支援学校の高等部
四 高等専門学校(第一学年から第三学年までに限る。)
五 専修学校及び各種学校(これらのうち高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつき同法以外の法律に特別の規定があるものであって、高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの(第五条及び第七条第一項において「特定教育施設」という。)を含む。)
2 この法律において「公立高等学校」とは、地方公共団体の設置する高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部をいう。
3 この法律において「私立高等学校等」とは、公立高等学校以外の高等学校等をいう。
第二章 公立高等学校に係る授業料の不徴収
第三条 学校教育法第六条本文の規定にかかわらず、公立高等学校については、授業料を徴収しないものとする。ただし、授業料を徴収しないことが公立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合は、この限りでない。
2 国は、公立高等学校における教育に要する経費のうち、前項の規定の適用がないとしたならば地方公共団体が徴収することとなる授業料の月額の標準となるべき額として政令で定める額(第六条第三項において「公立高等学校基礎授業料月額」という。)を基礎として政令で定めるところにより算定した額に相当する金額を地方公共団体に交付する。
第三章 高等学校等就学支援金の支給
(受給資格)
第四条 高等学校等就学支援金(以下「就学支援金」という。)は、私立高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者に対し、当該私立高等学校等(その者が同時に二以上の私立高等学校等の課程に在学するときは、これらのうちいずれか一の私立高等学校等の課程)における就学について支給する。
2 就学支援金は、前項に規定する者が次の各号のいずれかに該当するときは、支給しない。
一 高等学校等(修業年限が三年未満のものを除く。)を卒業し又は修了した者
二 前号に掲げる者のほか、私立高等学校等に在学した期間が通算して三十六月を超える者
3 前項第二号の期間は、その初日において私立高等学校等に在学していた月を一月(その初日において私立高等学校等である高等学校又は中等教育学校の後期課程の定時制の課程又は通信制の課程のみに在学していた月その他の政令で定める月にあっては、一月を超えない範囲内で政令で定める月数)として計算する。
(受給資格の認定)
第五条 前条第一項に規定する者(同条第二項各号のいずれかに該当する者を除く。)は、就学支援金の支給を受けようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、その在学する私立高等学校等(その者が同時に二以上の私立高等学校等の課程に在学するときは、その選択した一の私立高等学校等の課程)の設置者を通じて、当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事(当該私立高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該私立高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)に対し、当該私立高等学校等における就学について就学支援金の支給を受ける資格を有することについての認定を申請し、その認定を受けなければならない。
(就学支援金の額)
第六条 就学支援金は、前条の認定を受けた者(以下「受給権者」という。)がその初日において当該認定に係る私立高等学校等(以下「支給対象高等学校等」という。)に在学する月について、月を単位として支給されるものとし、その額は、一月につき、支給対象高等学校等の授業料の月額(授業料の額が年額その他月額以外の方法により定められている場合にあっては、授業料の月額に相当するものとして文部科学省令で定めるところにより算定した額をいい、受給権者が授業料の減免を受けた場合にあっては、文部科学省令で定めるところにより当該授業料の月額から当該減免に係る額を控除した額をいう。)に相当する額(その額が支給対象高等学校等の設置者、種類及び課程の区分に応じて政令で定める額(以下この項において「支給限度額」という。)を超える場合にあっては、支給限度額)とする。
2 支給対象高等学校等が政令で定める私立高等学校等である受給権者であって、その保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。)その他の受給権者の就学に要する経費を負担すべき者として政令で定める者(以下この項及び第十七条第一項において「保護者等」という。)の収入の状況に照らして特に当該保護者等の経済的負担を軽減する必要があるものとして政令で定めるものに対して支給される就学支援金に係る前項の規定の適用については、同項中「定める額」とあるのは、「定める額に政令で定める額を加えた額」とする。
3 第一項の支給限度額は、公立高等学校基礎授業料月額その他の事情を勘案して定めるものとする。
(就学支援金の支給)
第七条 都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会。以下同じ。)は、受給権者に対し、就学支援金を支給する。
2 就学支援金の支給は、受給権者が第五条の認定の申請をした日(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達した日(次項において「申請日」という。)をいう。)の属する月(受給権者がその月の初日において当該支給対象高等学校等に在学していないとき、受給権者がその月について当該支給対象高等学校等以外の私立高等学校等を支給対象高等学校等とする就学支援金の支給を受けることができるときその他政令で定めるときは、その翌月)から始め、当該就学支援金を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる。
3 受給権者がやむを得ない理由により第五条の認定の申請をすることができなかった場合において、やむを得ない理由がやんだ後十五日以内にその申請をしたとき(当該申請が支給対象高等学校等の設置者に到達したときをいう。)は、やむを得ない理由により当該認定の申請をすることができなくなった日を申請日とみなして、前項の規定を適用する。
4 前三項に定めるもののほか、就学支援金の支払の時期その他就学支援金の支給に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。
(代理受領等)
第八条 支給対象高等学校等の設置者は、受給権者に代わって就学支援金を受領し、その有する当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとする。
(就学支援金の支給の停止等)
第九条 就学支援金は、受給権者が支給対象高等学校等を休学した場合その他の政令で定める場合において、受給権者が、文部科学省令で定めるところにより、支給対象高等学校等の設置者を通じて、都道府県知事に申し出たときは、政令で定めるところにより、その支給を停止する。
2 前項の規定により当該月に係る就学支援金の支給が停止された月は、第四条第三項の規定による同条第二項第二号の期間の計算については、その初日において私立高等学校等に在学していた月には該当しないものとみなす。
(支払の調整)
第十条 就学支援金を支給すべきでないにもかかわらず、就学支援金の支給としての支払が行われたときは、その支払は、その後に支払うべき就学支援金の内払とみなすことができる。就学支援金として支給すべき額を超える額の就学支援金の支給としての支払が行われた場合における当該超過額の支払についても、同様とする。
(不正利得の徴収)
第十一条 偽りその他不正の手段により就学支援金の支給を受けた者があるときは、都道府県知事は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた就学支援金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(受給権の保護)
第十二条 就学支援金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
(公課の禁止)
第十三条 租税その他の公課は、就学支援金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
(国等の設置する私立高等学校等に係る就学支援金に関する特例)
第十四条 国の設置する私立高等学校等における就学について支給される就学支援金に係る第五条、第七条第一項から第三項まで、第八条、第九条第一項及び第十一条第一項の規定の適用については、第五条中「設置者を」とあるのは「長を」と、「当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事(当該私立高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該私立高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)」とあるのは「文部科学大臣」と、第七条第一項中「都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会。以下同じ。)」とあるのは「文部科学大臣」と、同条第二項及び第三項中「設置者に」とあるのは「長に」と、第八条中「支給対象高等学校等の設置者」とあるのは「文部科学大臣」と、「代わって就学支援金を受領し、その有する」とあるのは「支給すべき就学支援金を国の有する」と、「充てるものとする」とあるのは「充てるものとする。この場合においては、当該受給権者に対し、就学支援金の支給があったものとみなす」と、第九条第一項中「設置者を」とあるのは「長を」と、「都道府県知事」とあるのは「文部科学大臣」と、第十一条第一項中「都道府県知事」とあるのは「文部科学大臣」とする。
2 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人又は国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人の設置する私立高等学校等における就学について支給される就学支援金に係る第五条、第七条第一項、第九条第一項及び第十一条第一項の規定の適用については、第五条中「当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事(当該私立高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該私立高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会)」とあり、第七条第一項中「都道府県知事(支給対象高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(支給対象高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会。以下同じ。)」とあり、並びに第九条第一項及び第十一条第一項中「都道府県知事」とあるのは、「文部科学大臣」とする。
3 都道府県の設置する私立高等学校等における就学について支給される就学支援金に係る第五条、第八条及び第九条第一項の規定の適用については、第五条中「設置者を通じて、当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事(当該私立高等学校等が地方公共団体の設置するものである場合(当該私立高等学校等が特定教育施設である場合を除く。)にあっては、都道府県教育委員会」とあるのは「設置者である都道府県の知事(当該私立高等学校等が特定教育施設でない場合にあっては、教育委員会」と、第八条中「支給対象高等学校等の設置者」とあるのは「都道府県知事」と、「代わって就学支援金を受領し、その有する」とあるのは「支給すべき就学支援金を当該都道府県の」と、「充てるものとする」とあるのは「充てるものとする。この場合においては、当該受給権者に対し、就学支援金の支給があったものとみなす」と、同項中「支給対象高等学校等の設置者を通じて、都道府県知事」とあるのは「都道府県知事」とする。
(交付金)
第十五条 国は、就学支援金の支給に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付する。
2 国は、毎年度、予算の範囲内で、就学支援金に関する事務の執行に要する費用に相当する金額を都道府県に交付する。
第四章 雑則
(不服申立てと訴訟との関係)
第十六条 就学支援金の支給に関する処分又は第十一条第一項(第十四条第一項及び第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による徴収金に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決又は当該処分についての異議申立てに対する決定を経た後でなければ、提起することができない。
(報告等)
第十七条 都道府県知事(第十四条第一項又は第二項に規定する就学支援金に係る場合にあっては、文部科学大臣)は、この法律の施行に必要な限度において、受給権者、その保護者等若しくは支給対象高等学校等の設置者(国及び都道府県を除く。)若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者に対し、報告若しくは文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
2 前項の規定による質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(事務の区分)
第十八条 第五条(第十四条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、第七条第一項、第九条第一項(第十四条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)、第十一条第一項及び前条第一項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(文部科学省令への委任)
第十九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、文部科学省令で定める。
(罰則)
第二十条 偽りその他不正の手段により就学支援金の支給をさせた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、同法による。
2 第十七条第一項の規定による命令に違反して、報告若しくは物件の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、当該各項の罰金刑を科する。
附則抄
(施行期日)
1 この法律は、平成二十二年四月一日から施行する。
(検討)
2 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。
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改正される可能性が高いので、全文収録した。
この法律は平成22年3月31日にできた。翌4月1日施行である。平成22年度公立高校入学生は、全日制課程の場合、最もその恩恵に浴したことになる。
附則抄2にもあるように、平成25年3月末で、『施行後三年を経過した場合』になる。4月以降見直しができることになる。ただ、3年過ぎたら廃止と決まっているわけではない。赤字のように決まっている。
選挙前からこの法律がどうなるか注目していた。21日の報道によれば、自公連立政権は、所得制限導入を検討。2014年から制度変更をめざすようだ。
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学校教育法
昭和22年3月31日法律第26号
最終改正
平成23年6月3日法律第61号
第一章 総則
第六条 学校においては、授業料を徴収することができる。ただし、国立又は公立の小学校及び中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部及び中学部における義務教育については、これを徴収することができない。