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<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ショッキングなニュースが駆け巡った。
理化学研究所の笹井教授が自死したのだ。
ひととき注目された小保方研究員をリーダーとするSTAP細胞問題の真の中心的人物であり、ES細胞のスペシャリストであり、次世代の日本科学界を背負うはずだった人なのであった。

但し、もしSTAP細胞がホンモノであれば。

科学者の世界というのはシビアだ。
それも超シビアでもし間違いがあると、世界中から吊し上げを食う世界でもある。
今の小保方理研ユニットリーダーがそういう立場であることは、殆どの人が知るところだ。

以前、裁判の傍聴が面白いという本を紹介したことがあるけれども、実は科学者が集って研究成果を発表する学会の発表も裁判と同じほど面白い。
なんといっても、発表に対してその意見にアゲンストする科学者たちが持論を展開し、傍から見ているとケンカとしか思えない低レベルな難癖の付き合いが繰り広げられるからだ。

私も同じような経験を某国立大学で経験したことがある。
私は研究者の一種だが、会社から派遣されている研究者なので、会社の考えを代弁せねばならないという「すまじきものは宮仕え」みたいな立場を持っている。
実はこの時、私の考えは会社の考えと真っ向から対立していた。
ところが私は会社のメンバーのため、会社の主張を研究会の発表で代弁するはめに陥ってしまったのだ。
それはそれは「アウェー」という感覚なのであった。
その某国立大学の先生や研究者の皆さんは私の考えと同じであり、私はできれば「そのとおりなんですけどね」と言いたいところだったのだが、会社員研究者なのでできない。
できないから言えないので、攻撃を一身に受けることになってしまったのだった。
その攻撃の陰湿さは、陰湿であった。
どのくらい陰湿かというと、韓国で試合するサッカーの日本代表チームが受ける超幼稚な侮蔑とさほど変わらない意味不明な圧力が存在するぐらい陰湿なのであった。

つまり学者の世界は陰湿な部分が少なくない。
正直、こんな表現をしていいかどうかわからないが、学者の世界は非常に女性的な世界なのだ。
新聞で日本の研究者についてのみ、「陰湿だ」のようなことを言っているが、世界中のインテリは陰湿なのである。

科学の世界で生きるには、それなりの根性と耐久力が必要であることは言うまでもない。
冒涜されても持論を信じて研究を続けるだけの「あっけらかん!」とした、のほほ~んさが必要なのだ。

実はあまり知られていないが東大や京大、阪大クラスの研究者や学生なると、自分の研究に挫折して、毎年おかしな行動を取る人が少なからず数人発生するのだ。
つまり優秀なだけに、研究課題の重圧や、限界に対して非常にセンシティブになり、自分で自分の息の根を止めたり、止めようとする。
まったくもってショッキングな事実なのだ。

笹井先生はSTAP細胞については少々胡散臭いところがあったかもしれないが、日本の科学界に必要な人材であったことは間違いなく、悲観して今回のことに至ったのは、非常に残念でならないのであった。

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