真夜中の太陽が、

文月二十日、向日葵―false riches
暗い昏い、真夜中をすぎてゆく。
ピーっ…
テレビ流れる電信音、鼓膜を突いて拒絶する。
色だけ並んだストライプ画面、いつか眺めた色見本と似ている。
こんなふうテレビにすら拒絶されて、自分の時間どこへ居ればいい?
「…」
かすかなテレビの電子音、それから消えそうな自分の吐息。
それだけの部屋は仄暗い、闇うすい天井に色見本ゆれうごく。
赤、緑、白、黒、どこか他人事みたいな天井の光に、ただスマートフォン開いた。
でも、何のために?
「、あ?」
掌の上、電子音ふるえだす、
掌ゆらす音ふわり画面を明るんで、示された名前つい触れた。
「もしもーし、」
ああ、なんて呑気な声だ?
「もしもーし?そこにいるのは解ってんだぞー観念して出てきなさい、友だちも泣いてるぞー」
ほら呑気な声、こんな真夜中に。
こんなふう不意打ちかましてくれる、つい可笑しくて笑ってしまった。
「なにそれ、刑事モノでも見た?」
「ちょっと見たかなー」
呑気なトーン返してくれる。
もう真夜中を過ぎた、そのくせ長閑な声つい可笑しくて訊いた。
「それで、こんな時間に電話してきたわけ?」
訊きながら見あげた時計、0:20を過ぎている。
こんな深夜に電話する勇気いつも不思議、つい笑った唇ほろ苦く香った。
なんの香?
「おう、それで電話したー、いーから窓開けてみろよ?」
電話の声のんびり誘いかける。
言われた「いーから」に心、まあいいかと思えてカーテン開けた。
「わ…」
声こぼれて光あふれる、満天の月。
満月すこし欠けて、けれど明るい夜に友だちが笑った。
「月すげえだろ、な?」
「うん、…びっくりした、」
すなお応えて光が香る、唇ふれる光に冷たさふれる。
ふれる冷感かすかに辛い苦い、そして甘い。
「なーびっくりだよな?真っ昼間みたいに明るいだろ、」
「うん、夜じゃないみたいだ、」
答えながら言葉なぞる、夜じゃない真夜中に。
3分前まで昏かった視界、けれど今は光あふれる。
「だよなー?夜だ暗いな思ってもさ、ホント明るいってあるのなー俺でもびっくりだ、」
夜だ暗い、でも本当は光あふれている。
そんな言葉そっと頬つたう、熱一滴、皮膚感覚やわらかに清々しい。
かすかに辛い苦い、そして冷たくなって甘い、そのまま唇ふれた雫に友だちが言った。
「そのまま下、ちょっと見てみろよ?おまえんちのマンション前の公園の道なー」
「公園の道?」
訊き返しながらガラス越し見下ろして、灯り一つ点る。
何だろう?見つめた真中、かすかな光ゆれて振られた。
「見えたろーちょっと降りて来いよ、」
呑気な声からり笑って、ガラス越し小さな光きらめく。
街燈あわく照らす道端の影、一台のバイク姿に声が出た。
「え?」
中肉中背どこにでもいるシルエット、けれどガッシリ頼もしい空気。
あの空気よく知っている。
「え、なに?なんでいんの?」
なんで今、あいつここにいるのだろう?
驚いてガラスぱしり掌ついて、そんな彼方に君が笑った。
「ちょっとバイク走らせたくなって来た、後ろ乗っかれよ?」
「ちょっとって、なに、すげえ遠くからだろなにそれ?」
呆れて声が出てしまう、どこが「ちょっと」なんだろう?
それくらい遠く離れて住む友人は、目の前の公園から手を振った。
「おまえが思うほど遠くねえよ、いーからさー観念して出て来なさい!友だちが泣いてるぞーあははっ」
泣いてるぞーなんて、笑って言う台詞?
そんな感想つい可笑しくて、笑いながらカーテン閉めた。
「わかったって、今行くから待って?」
財布ポケットに入れてブルゾン羽織って、家の鍵を持つ。
部屋ぐるり見回して、色見本のテレビばつんと切った。
「なーバイクってマンションの前に停めてて平気?」
ほら呑気な声が急かしてくれる。
可笑しなトーンまたつい笑って、玄関へ歩きだした。
「あんまり長く停めてると警察くるかも、もうじき降りるから待って?」
「うえー警察は困るマジで、可愛がってるバイクなんだぞー」
「じゃあマンションのエントランスに停めて。ロック解除するから、」
答えながらインターフォンからロック解除して、照明スイッチふれた視界に手帳が映る。
あの手帳スケジュール埋もれている。
―そうだ、明日は朝から…今もし出かけたら、
今もし出かけたら、明日の朝一の仕事は?
その義務と責任やわらかに心臓つかみだす、けれど友だちが笑った。
「なーエントランス停めたけど?なーなーおせーよー早く来いよ?」
手帳を見つめて、けれど懐かしい声が呼んでくれる。
今どちらに行くべきだろう?
「…ごめ、俺、明日の朝早いんだけど…」
唇が動く、手帳の義務と責任に操られる。
今このまま出かけたら明日どうなるだろう?けれど扉こつん、響いた。
「だなー俺も早いんだけどよ、まあ、いっか?」
呑気な声が笑ってくれる、そして扉が響く。
こんな真夜中に扉が鳴るなんて?
「…今、扉たたいた?」
「おー叩いてみたけど?」
なんでもない当たり前、そんな呑気が笑ってくれる。
もう電話越しだけじゃない声に、力ふわり抜けた。
「明日も早い人が、今、そこで扉叩いてるわけ?」
「おー、叩いてんよ?」
こんこん、玄関扉が響いて声が笑う。
音に声にもう扉しか見えなくて、玄関ライトだけの部屋から鍵を開けた。
「おーやっと開いた!ヒサシブリー」
呑気な声が笑ってスマートフォン片手、もう一方の手をあげて笑う。
しばらくぶり見た笑顔そのままで、変わらない幼馴染に微笑んだ。
「ひさしぶり…なにやってんの?」
本当に何やっているのだろう、この男は?
こんな「何やっている」も変わらない笑顔は、懐っこい瞳ほそめた。
「なにやってるって、おまえ乗っけてバイク走らせに来たんだけど?」
それで何が悪い?
そんなトーン朗らかに瞳が笑う、昔から変わらない眼。
この眼どれだけ会っていなかったろう?想い迫り上げて、玄関先かくり膝くずれた。
「おっ、どした?」
懐かしい声とんで、腕ごと温もり掴まれる。
支えられる温度ふわり心臓ゆるめて、頬やわらかに熱こぼれた。
「ど、したって…」
応えようと動いた唇、頬から熱こぼれて辛い。
にじみだす視界やわらかな玄関ライト、日焼けした笑顔に抱きとめられた。
「なーんだよ、俺がイイ男になっちゃって腰ぬけた?」
低いくせ明るい声が笑ってくれる、その言葉に心臓やわらかくなる。
この男がこんなこと言うなんて可笑しい、可笑しくて唇に涙にじんだ。
「ははっ…いい男になった、かも?海の男ってかんじ…」
「だろー、潮に焼けまくってカッコイイべ?漁師いいぞー」
低い明るい声のんびり笑って、玄関先からり響く。
この声は海にも響いて笑う、そんな懐かしい故郷に声こぼれた。
「いいな海…俺も帰りたい…」
帰りたい、あの海の町に。
けれどもう帰る家もない、そして待ってくれる家族も。
「…俺の実家どうなってるか知ってて、来たわけ?」
問いかけ素直に声になる、ずっと言えなかった。
それでも今こぼれる想いに、海の男は頷いた。
「近所だかんなー知らんふりもねえだろ、」
「そっか…つつぬけだよね、」
頷き返しながら微笑んで、けれど頬こぼれる熱が痛い。
どうして今さら涙こんなに出る?
「おー泣き虫、変わらんなー」
のんびり低い明るい声が笑ってくれる、懐っこい瞳が微笑む。
変わらない声、眼差し、そして辛い甘い、海の気配かすかに香る。
「そっちだ、て…変わってない、」
「おう、ぜんぜん変わらないってよく言われんぞ、」
海の男が笑って、幼かった時間そのまま笑う。
あれから歳月いくつも超えて、けれど変わらない温もりが頬くるんだ。
「そーゆーおまえのまんまでいいからさ、とりあえず行こ?」
おまえのままでいいからさ、
そんな言葉ゆるやかに心臓ゆるめる、この自分のままでいい?
「…俺のままでいいって、なに?」
この自分のままでいい、本当に?
問いかけ見つめた真中で、懐かしい瞳が笑った。
「ただのオマエのままで俺はいいよってこと、悪かろーが良かろーがどっちでもいいじゃん、」
ただの自分のままでいい、悪くても、良くても。
そんなこと許されるのだろうか?
「悪くても良くても…ってありがと、でも俺、迷惑かけるかもしれないから、」
反論こぼれだす唇ほろ苦い、本当は自分も「いいじゃん」と言いたい。
けれど言えなかった歳月の涯、真夜中の玄関で君が笑った。
「迷惑だったらこんな時間に来ねえよ、ってかさ?俺にまでイイ子ちゃんやるなよなー寂しいだろが?」
いい子にならなくていいと、言ってくれる人はいた。
けれど「こんな時間」に来た人はいない。
『ほんとうにいい人、』
『嫌いな人なんていないですよ、こんなにイイやつですから、』
いい人、いいやつ。
そう呼ばれて沢山の人に囲まれた。
けれど本当に「自分」のところへ来た人は誰もいない、家族すら。
『ほんとにこの子は、いい子なんです、』
悪意なんてない、何気ない褒め言葉。
ただ褒めて自慢していただけ、でも自分には重たい枷になる。
そうして「いい子」だけしか自分にないと、追いつめられるのはいつからだろう?
「あのさ…俺っていい子ちゃんだった?おまえから見ても、」
「そーだなー、ちょっと前までは?おまえもさ、いい子だー言われんの好きだったろ?」
問いかけて応えて、幼馴染の瞳が自分を映す。
まっすぐ見てくれる眼だ、ただ慕わしい想いに低い明るい声が言った。
「おまえって昔からさー見てくれだけでも天使だ言われんだろ?でもさあー誰かをディスったり、エロかったりさ?そのまんまのオマエが俺は、楽なんだよなあ、」
天使、そこからの喩えがそれなんだ?
「ふっ…なにそれ?」
可笑しくて笑ってしまう、だって落差あんまりだろう?
けれど呼吸ひろがる楽になる、きっと「楽なんだよなあ」のせいだ。
「なにもナンもねーだろ、おまえだってムカつくときあるだろーが?男ならエロいの当たり前だろ、それともオマエちげーの?マジにセイジンクンシかよ嘘だろ?」
呑気なトーン疑問たたみこんでくる。
こんなふう笑ってほしかった、でも誰もいないまま「いい子」に閉じこめ繋ぐ。
ずっと誰もいなかった、けれど今、君が笑う。
「まあナンデもいっか?ほら行こ、大事なモンは持ったよな?」
笑ってこの腕つかんでくれる、その掌が大らかに温かい。
温もり体ごとひきあげられて、崩れた膝そっと立ちあがって、かたん、扉をひらいた。
「…」
静寂の廊下、見つめあった瞳が笑ってくれる。
幼馴染そのままの眼にやり笑って、悪戯坊主の声ひそめて笑った。
「…こんな夜中に出歩くとさ、俺たちだけ生きてるカンジしねえか?」
生きている、自分たちだけが今。
「…ん、」
肯いて喉が詰まる、痛くて、けれど嬉しい。
こんなふうに「俺たちだけ」で、誰に何も言われない自由が疼く。
「…世界が眠ってるとき自分だけ起きてるのは、寂しいとか思ったことあるけど…」
ほら想い素直に声になる、こういうの何年ぶりだろう?
ひさしぶり自由になった声に、なつかしい声が微笑んだ。
「それイイな…世界が眠ってるときってイイじゃん、」
「そう…かな?」
あいづち返しながら呼吸ふっと緩む、楽になる。
自分の言葉ただ受けとめられた、その隙間に幼馴染が微笑んだ。
「…そういう起きちゃったときは俺にも声かけろよ?」
「え?」
つい訊き返して、エレベーターの扉ひらく。
乗りこんで二人、並んだ悪戯坊主の瞳そっと笑った。
「…世界が眠ってるとき自分だけ目が覚めてるのってさ、俺は世界征服したぞってカンジしねえか?」
そういう考えもあるんだ?
思った端つい可笑しくて、くすり笑った真中に言われた。
「…だから俺にも声かけろよ、おまえだけ世界を独り占めすんなよ?ガキの頃もゲームで俺は魔王だったろが、」
低い明るい声しずかに笑ってくれる。
その言葉ひそやかに図星さされて、かすかな痛みごと微笑んだ。
「うん…ありがと、」
言わなくていい、でも寄りそってくれる?
『おまえだけ世界を独り』
それが苦しかった、つい15分前までずっと。
けれど海から来てくれた、今もう遠い故郷の匂いが甘い。
そんな眼差し見つめ返した前、エレベーターの扉が開いた。
「あ…涼しい、」
マンションから一歩、頬ふれる風ほとぼり冷ます。
あわい甘い匂い公園から吹く、緑ふくんだ夜に幼馴染が笑った。
「気持ちいいだろー?漁に出るとさ、もっと気持ちいいぞー」
額そよぐ風かすかに甘い、低い明るい声ふれる。
笑ってくれる瞳の向こう月は明るい、こんな夜もあるんだ?
「うん…気持ちいいだろね、」
「きもちいいぞー俺の船に乗せてやるよ、」
朗らかなトーンが真夜中らしくない、明るい月そのまま笑ってくれる。
夜も悪くない、そんなバイクの背ふたり走りだした。
「ちゃんと抱きついとけよ?あぶねえぞ、」
風が切る、ヘルメットかすめライト流れる。
暗い夜、けれど月光る先へ抱きつく背中が温かい。
「…あったかい、」
想い声になる、瞳こぼれて月やわらかに霞む。
頬ふれる温度かすかに辛く苦く甘い、懐かしい香に故郷がにじむ。
―海を運んできてくれたみたいだ、な…
心裡つぶやいて、我ながら気恥ずかしい?
こんなこと思うほど懐かしかった、帰りたかった、それでも帰られなかった故郷の海。
『帰るなんてダメ、あなたの居場所はそこでしょう?』
ほら声が呼ぶ、あれは母の声で、そして沢山の声。
あの声たちに居場所なんて消えてしまった、だって本物じゃない。
『あなたを嫌いな人なんていないでしょう?こんなにいい子、みんなに好かれて居られるなんて贅沢よ、』
違う、そんなの本当の自分じゃない。
母の声に、たくさんの声に、呼ばれていたのは本物じゃない自分。
そうして居場所なんて消えてしまった、元から無かったのかもしれない。
『好かれてお金もらえて、贅沢できて、これで不満ならどこ行っても無理よ?他になにができるの?あなたの居場所でがんばりなさい、』
贅沢、不満、無理、それが価値だと言うのなら?
そんな居場所だから苦しくなった、なにひとつ本音じゃないまま虚しいだけ。
だって自分で選びたい、なによりも、どこよりも、この自分が居たい場所は?
「うみ!見えんぞー」
低い明るい声が笑って、頬ふれる風かすかに辛い甘い。
ヘルメットかすめる風が呼ぶ、香る追憶に月が光った。
「海、」
言葉ひとつ視界にじむ、それでも波光る。
輝く波に月渡らせて、海上ゆく道へバイク駆けた。
「すごい、」
呼吸ごと声が出る、まぶしい。
バイク駆ける道すぐに波、暗い昏い波から海が轟く。
闇轟かせる海の声、辛い甘い煽る風、墨色きらめく月光が奔る。
「月の橋!って!かんじだろー!」
低い明るい声からり風を徹る、抱きつく背中が笑う。
温もり薫る背くゆる匂い、月かける潮に鼓動がはずむ。
「うんっ!すごい!」
「だろー!すげーだろ!」
風に幼馴染が笑う、懐かしい時間のままだ。
帰りたかった、だた想い素直に温もり抱きしめて、月の波はしる。
「すごいっきれーだー!」
声すなおに笑いだす、息ふかく呼吸する。
腕は幼馴染を抱きしめて、けれど心ゆるめられる。
『ただのオマエのままで俺はいいよ、悪かろーが良かろーがどっちでもいいじゃん、』
あの言葉、たぶんずっと欲しかった。
悪くても良くても「ただの自分」でいい、そんなふう受けとめてくれた。
”自分は誰、どうして生きている?”
そんな疑問とらわれ始めたのは、いつが最初だったろう?
気がついたら解らなくなっていた、自分は何のために生きるのだろう?
そんな疑問に囚われて、自分自身すら受けとめられなくて苦しくて、居場所すら解らなくなってしまった。
『あなたの居場所はそこでしょう?あなたなら出来る、がんばって、』
そんなこと言われても「居場所」なんか解らない、だって望んでいないのに?
そんなふう言われても「出来る」なんて解るわけがない、やりたい意志どこに自分の中あるのだろう?
そうして「がんばって」なんて解らなくなった、これより頑張るなんてどうすればいい?呼吸の仕方すら忘れてしまったのに。
けれど君が言った「いいじゃん」が、深く呼吸する。
「なーんでー今日!来てくれた?」
抱きしめる背中に問いかけて、唇かすめる風が甘い。
轟く波くだける香、慕わしい記憶と声が笑った。
「言ったろー!バイク!走らせたかったんだってー!あと、月!」
低い明るい声おおらかに笑ってくれる。
その声きっと言うとおりなのだろう、バイクと月、それだけで来てくれた。
この男には「ただのオマエのまま」でいいから。
『ただのオマエのままで俺はいいよ、悪かろーが良かろーがどっちでもいいじゃん、』
ただの自分のままでいい、悪くても良くても、どっちでもいい。
只ただ生きている「ただの自分」そんな等身大ただ見つめて、丸ごと笑って一緒に走ってくれる。
だから一緒に今、笑って走ればいい。
「バイク!きもちーなー!月もいいっ!」
「いいだろー!きもちーだろ!日の出も気持ちーぞっ」
ほら?願いそのまま笑ってくれる。
その背中は温かで、慕わしい時間ごと掴んで自分を受けとめ笑う。
抱きしめる温かな背中、頬ふれる潮の風、笑ってくれる低い明るい声、そして輝く夜かける月。
「月しずんでさーっ太陽が昇る瞬間!見たいだろーっ?」
「見たいっ!」
笑って応えて、抱きしめる背中が笑ってくれる。
このまま今どこへ行くのだろう?
どこでも良いかもしれない、この温もりと光と、ただ自分そのまま見てくれる眼ざしと。
そうして真夜中を超えて月、陽はまた昇る。

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7月20日誕生花ヒマワリ

文月二十日、向日葵―false riches
暗い昏い、真夜中をすぎてゆく。
ピーっ…
テレビ流れる電信音、鼓膜を突いて拒絶する。
色だけ並んだストライプ画面、いつか眺めた色見本と似ている。
こんなふうテレビにすら拒絶されて、自分の時間どこへ居ればいい?
「…」
かすかなテレビの電子音、それから消えそうな自分の吐息。
それだけの部屋は仄暗い、闇うすい天井に色見本ゆれうごく。
赤、緑、白、黒、どこか他人事みたいな天井の光に、ただスマートフォン開いた。
でも、何のために?
「、あ?」
掌の上、電子音ふるえだす、
掌ゆらす音ふわり画面を明るんで、示された名前つい触れた。
「もしもーし、」
ああ、なんて呑気な声だ?
「もしもーし?そこにいるのは解ってんだぞー観念して出てきなさい、友だちも泣いてるぞー」
ほら呑気な声、こんな真夜中に。
こんなふう不意打ちかましてくれる、つい可笑しくて笑ってしまった。
「なにそれ、刑事モノでも見た?」
「ちょっと見たかなー」
呑気なトーン返してくれる。
もう真夜中を過ぎた、そのくせ長閑な声つい可笑しくて訊いた。
「それで、こんな時間に電話してきたわけ?」
訊きながら見あげた時計、0:20を過ぎている。
こんな深夜に電話する勇気いつも不思議、つい笑った唇ほろ苦く香った。
なんの香?
「おう、それで電話したー、いーから窓開けてみろよ?」
電話の声のんびり誘いかける。
言われた「いーから」に心、まあいいかと思えてカーテン開けた。
「わ…」
声こぼれて光あふれる、満天の月。
満月すこし欠けて、けれど明るい夜に友だちが笑った。
「月すげえだろ、な?」
「うん、…びっくりした、」
すなお応えて光が香る、唇ふれる光に冷たさふれる。
ふれる冷感かすかに辛い苦い、そして甘い。
「なーびっくりだよな?真っ昼間みたいに明るいだろ、」
「うん、夜じゃないみたいだ、」
答えながら言葉なぞる、夜じゃない真夜中に。
3分前まで昏かった視界、けれど今は光あふれる。
「だよなー?夜だ暗いな思ってもさ、ホント明るいってあるのなー俺でもびっくりだ、」
夜だ暗い、でも本当は光あふれている。
そんな言葉そっと頬つたう、熱一滴、皮膚感覚やわらかに清々しい。
かすかに辛い苦い、そして冷たくなって甘い、そのまま唇ふれた雫に友だちが言った。
「そのまま下、ちょっと見てみろよ?おまえんちのマンション前の公園の道なー」
「公園の道?」
訊き返しながらガラス越し見下ろして、灯り一つ点る。
何だろう?見つめた真中、かすかな光ゆれて振られた。
「見えたろーちょっと降りて来いよ、」
呑気な声からり笑って、ガラス越し小さな光きらめく。
街燈あわく照らす道端の影、一台のバイク姿に声が出た。
「え?」
中肉中背どこにでもいるシルエット、けれどガッシリ頼もしい空気。
あの空気よく知っている。
「え、なに?なんでいんの?」
なんで今、あいつここにいるのだろう?
驚いてガラスぱしり掌ついて、そんな彼方に君が笑った。
「ちょっとバイク走らせたくなって来た、後ろ乗っかれよ?」
「ちょっとって、なに、すげえ遠くからだろなにそれ?」
呆れて声が出てしまう、どこが「ちょっと」なんだろう?
それくらい遠く離れて住む友人は、目の前の公園から手を振った。
「おまえが思うほど遠くねえよ、いーからさー観念して出て来なさい!友だちが泣いてるぞーあははっ」
泣いてるぞーなんて、笑って言う台詞?
そんな感想つい可笑しくて、笑いながらカーテン閉めた。
「わかったって、今行くから待って?」
財布ポケットに入れてブルゾン羽織って、家の鍵を持つ。
部屋ぐるり見回して、色見本のテレビばつんと切った。
「なーバイクってマンションの前に停めてて平気?」
ほら呑気な声が急かしてくれる。
可笑しなトーンまたつい笑って、玄関へ歩きだした。
「あんまり長く停めてると警察くるかも、もうじき降りるから待って?」
「うえー警察は困るマジで、可愛がってるバイクなんだぞー」
「じゃあマンションのエントランスに停めて。ロック解除するから、」
答えながらインターフォンからロック解除して、照明スイッチふれた視界に手帳が映る。
あの手帳スケジュール埋もれている。
―そうだ、明日は朝から…今もし出かけたら、
今もし出かけたら、明日の朝一の仕事は?
その義務と責任やわらかに心臓つかみだす、けれど友だちが笑った。
「なーエントランス停めたけど?なーなーおせーよー早く来いよ?」
手帳を見つめて、けれど懐かしい声が呼んでくれる。
今どちらに行くべきだろう?
「…ごめ、俺、明日の朝早いんだけど…」
唇が動く、手帳の義務と責任に操られる。
今このまま出かけたら明日どうなるだろう?けれど扉こつん、響いた。
「だなー俺も早いんだけどよ、まあ、いっか?」
呑気な声が笑ってくれる、そして扉が響く。
こんな真夜中に扉が鳴るなんて?
「…今、扉たたいた?」
「おー叩いてみたけど?」
なんでもない当たり前、そんな呑気が笑ってくれる。
もう電話越しだけじゃない声に、力ふわり抜けた。
「明日も早い人が、今、そこで扉叩いてるわけ?」
「おー、叩いてんよ?」
こんこん、玄関扉が響いて声が笑う。
音に声にもう扉しか見えなくて、玄関ライトだけの部屋から鍵を開けた。
「おーやっと開いた!ヒサシブリー」
呑気な声が笑ってスマートフォン片手、もう一方の手をあげて笑う。
しばらくぶり見た笑顔そのままで、変わらない幼馴染に微笑んだ。
「ひさしぶり…なにやってんの?」
本当に何やっているのだろう、この男は?
こんな「何やっている」も変わらない笑顔は、懐っこい瞳ほそめた。
「なにやってるって、おまえ乗っけてバイク走らせに来たんだけど?」
それで何が悪い?
そんなトーン朗らかに瞳が笑う、昔から変わらない眼。
この眼どれだけ会っていなかったろう?想い迫り上げて、玄関先かくり膝くずれた。
「おっ、どした?」
懐かしい声とんで、腕ごと温もり掴まれる。
支えられる温度ふわり心臓ゆるめて、頬やわらかに熱こぼれた。
「ど、したって…」
応えようと動いた唇、頬から熱こぼれて辛い。
にじみだす視界やわらかな玄関ライト、日焼けした笑顔に抱きとめられた。
「なーんだよ、俺がイイ男になっちゃって腰ぬけた?」
低いくせ明るい声が笑ってくれる、その言葉に心臓やわらかくなる。
この男がこんなこと言うなんて可笑しい、可笑しくて唇に涙にじんだ。
「ははっ…いい男になった、かも?海の男ってかんじ…」
「だろー、潮に焼けまくってカッコイイべ?漁師いいぞー」
低い明るい声のんびり笑って、玄関先からり響く。
この声は海にも響いて笑う、そんな懐かしい故郷に声こぼれた。
「いいな海…俺も帰りたい…」
帰りたい、あの海の町に。
けれどもう帰る家もない、そして待ってくれる家族も。
「…俺の実家どうなってるか知ってて、来たわけ?」
問いかけ素直に声になる、ずっと言えなかった。
それでも今こぼれる想いに、海の男は頷いた。
「近所だかんなー知らんふりもねえだろ、」
「そっか…つつぬけだよね、」
頷き返しながら微笑んで、けれど頬こぼれる熱が痛い。
どうして今さら涙こんなに出る?
「おー泣き虫、変わらんなー」
のんびり低い明るい声が笑ってくれる、懐っこい瞳が微笑む。
変わらない声、眼差し、そして辛い甘い、海の気配かすかに香る。
「そっちだ、て…変わってない、」
「おう、ぜんぜん変わらないってよく言われんぞ、」
海の男が笑って、幼かった時間そのまま笑う。
あれから歳月いくつも超えて、けれど変わらない温もりが頬くるんだ。
「そーゆーおまえのまんまでいいからさ、とりあえず行こ?」
おまえのままでいいからさ、
そんな言葉ゆるやかに心臓ゆるめる、この自分のままでいい?
「…俺のままでいいって、なに?」
この自分のままでいい、本当に?
問いかけ見つめた真中で、懐かしい瞳が笑った。
「ただのオマエのままで俺はいいよってこと、悪かろーが良かろーがどっちでもいいじゃん、」
ただの自分のままでいい、悪くても、良くても。
そんなこと許されるのだろうか?
「悪くても良くても…ってありがと、でも俺、迷惑かけるかもしれないから、」
反論こぼれだす唇ほろ苦い、本当は自分も「いいじゃん」と言いたい。
けれど言えなかった歳月の涯、真夜中の玄関で君が笑った。
「迷惑だったらこんな時間に来ねえよ、ってかさ?俺にまでイイ子ちゃんやるなよなー寂しいだろが?」
いい子にならなくていいと、言ってくれる人はいた。
けれど「こんな時間」に来た人はいない。
『ほんとうにいい人、』
『嫌いな人なんていないですよ、こんなにイイやつですから、』
いい人、いいやつ。
そう呼ばれて沢山の人に囲まれた。
けれど本当に「自分」のところへ来た人は誰もいない、家族すら。
『ほんとにこの子は、いい子なんです、』
悪意なんてない、何気ない褒め言葉。
ただ褒めて自慢していただけ、でも自分には重たい枷になる。
そうして「いい子」だけしか自分にないと、追いつめられるのはいつからだろう?
「あのさ…俺っていい子ちゃんだった?おまえから見ても、」
「そーだなー、ちょっと前までは?おまえもさ、いい子だー言われんの好きだったろ?」
問いかけて応えて、幼馴染の瞳が自分を映す。
まっすぐ見てくれる眼だ、ただ慕わしい想いに低い明るい声が言った。
「おまえって昔からさー見てくれだけでも天使だ言われんだろ?でもさあー誰かをディスったり、エロかったりさ?そのまんまのオマエが俺は、楽なんだよなあ、」
天使、そこからの喩えがそれなんだ?
「ふっ…なにそれ?」
可笑しくて笑ってしまう、だって落差あんまりだろう?
けれど呼吸ひろがる楽になる、きっと「楽なんだよなあ」のせいだ。
「なにもナンもねーだろ、おまえだってムカつくときあるだろーが?男ならエロいの当たり前だろ、それともオマエちげーの?マジにセイジンクンシかよ嘘だろ?」
呑気なトーン疑問たたみこんでくる。
こんなふう笑ってほしかった、でも誰もいないまま「いい子」に閉じこめ繋ぐ。
ずっと誰もいなかった、けれど今、君が笑う。
「まあナンデもいっか?ほら行こ、大事なモンは持ったよな?」
笑ってこの腕つかんでくれる、その掌が大らかに温かい。
温もり体ごとひきあげられて、崩れた膝そっと立ちあがって、かたん、扉をひらいた。
「…」
静寂の廊下、見つめあった瞳が笑ってくれる。
幼馴染そのままの眼にやり笑って、悪戯坊主の声ひそめて笑った。
「…こんな夜中に出歩くとさ、俺たちだけ生きてるカンジしねえか?」
生きている、自分たちだけが今。
「…ん、」
肯いて喉が詰まる、痛くて、けれど嬉しい。
こんなふうに「俺たちだけ」で、誰に何も言われない自由が疼く。
「…世界が眠ってるとき自分だけ起きてるのは、寂しいとか思ったことあるけど…」
ほら想い素直に声になる、こういうの何年ぶりだろう?
ひさしぶり自由になった声に、なつかしい声が微笑んだ。
「それイイな…世界が眠ってるときってイイじゃん、」
「そう…かな?」
あいづち返しながら呼吸ふっと緩む、楽になる。
自分の言葉ただ受けとめられた、その隙間に幼馴染が微笑んだ。
「…そういう起きちゃったときは俺にも声かけろよ?」
「え?」
つい訊き返して、エレベーターの扉ひらく。
乗りこんで二人、並んだ悪戯坊主の瞳そっと笑った。
「…世界が眠ってるとき自分だけ目が覚めてるのってさ、俺は世界征服したぞってカンジしねえか?」
そういう考えもあるんだ?
思った端つい可笑しくて、くすり笑った真中に言われた。
「…だから俺にも声かけろよ、おまえだけ世界を独り占めすんなよ?ガキの頃もゲームで俺は魔王だったろが、」
低い明るい声しずかに笑ってくれる。
その言葉ひそやかに図星さされて、かすかな痛みごと微笑んだ。
「うん…ありがと、」
言わなくていい、でも寄りそってくれる?
『おまえだけ世界を独り』
それが苦しかった、つい15分前までずっと。
けれど海から来てくれた、今もう遠い故郷の匂いが甘い。
そんな眼差し見つめ返した前、エレベーターの扉が開いた。
「あ…涼しい、」
マンションから一歩、頬ふれる風ほとぼり冷ます。
あわい甘い匂い公園から吹く、緑ふくんだ夜に幼馴染が笑った。
「気持ちいいだろー?漁に出るとさ、もっと気持ちいいぞー」
額そよぐ風かすかに甘い、低い明るい声ふれる。
笑ってくれる瞳の向こう月は明るい、こんな夜もあるんだ?
「うん…気持ちいいだろね、」
「きもちいいぞー俺の船に乗せてやるよ、」
朗らかなトーンが真夜中らしくない、明るい月そのまま笑ってくれる。
夜も悪くない、そんなバイクの背ふたり走りだした。
「ちゃんと抱きついとけよ?あぶねえぞ、」
風が切る、ヘルメットかすめライト流れる。
暗い夜、けれど月光る先へ抱きつく背中が温かい。
「…あったかい、」
想い声になる、瞳こぼれて月やわらかに霞む。
頬ふれる温度かすかに辛く苦く甘い、懐かしい香に故郷がにじむ。
―海を運んできてくれたみたいだ、な…
心裡つぶやいて、我ながら気恥ずかしい?
こんなこと思うほど懐かしかった、帰りたかった、それでも帰られなかった故郷の海。
『帰るなんてダメ、あなたの居場所はそこでしょう?』
ほら声が呼ぶ、あれは母の声で、そして沢山の声。
あの声たちに居場所なんて消えてしまった、だって本物じゃない。
『あなたを嫌いな人なんていないでしょう?こんなにいい子、みんなに好かれて居られるなんて贅沢よ、』
違う、そんなの本当の自分じゃない。
母の声に、たくさんの声に、呼ばれていたのは本物じゃない自分。
そうして居場所なんて消えてしまった、元から無かったのかもしれない。
『好かれてお金もらえて、贅沢できて、これで不満ならどこ行っても無理よ?他になにができるの?あなたの居場所でがんばりなさい、』
贅沢、不満、無理、それが価値だと言うのなら?
そんな居場所だから苦しくなった、なにひとつ本音じゃないまま虚しいだけ。
だって自分で選びたい、なによりも、どこよりも、この自分が居たい場所は?
「うみ!見えんぞー」
低い明るい声が笑って、頬ふれる風かすかに辛い甘い。
ヘルメットかすめる風が呼ぶ、香る追憶に月が光った。
「海、」
言葉ひとつ視界にじむ、それでも波光る。
輝く波に月渡らせて、海上ゆく道へバイク駆けた。
「すごい、」
呼吸ごと声が出る、まぶしい。
バイク駆ける道すぐに波、暗い昏い波から海が轟く。
闇轟かせる海の声、辛い甘い煽る風、墨色きらめく月光が奔る。
「月の橋!って!かんじだろー!」
低い明るい声からり風を徹る、抱きつく背中が笑う。
温もり薫る背くゆる匂い、月かける潮に鼓動がはずむ。
「うんっ!すごい!」
「だろー!すげーだろ!」
風に幼馴染が笑う、懐かしい時間のままだ。
帰りたかった、だた想い素直に温もり抱きしめて、月の波はしる。
「すごいっきれーだー!」
声すなおに笑いだす、息ふかく呼吸する。
腕は幼馴染を抱きしめて、けれど心ゆるめられる。
『ただのオマエのままで俺はいいよ、悪かろーが良かろーがどっちでもいいじゃん、』
あの言葉、たぶんずっと欲しかった。
悪くても良くても「ただの自分」でいい、そんなふう受けとめてくれた。
”自分は誰、どうして生きている?”
そんな疑問とらわれ始めたのは、いつが最初だったろう?
気がついたら解らなくなっていた、自分は何のために生きるのだろう?
そんな疑問に囚われて、自分自身すら受けとめられなくて苦しくて、居場所すら解らなくなってしまった。
『あなたの居場所はそこでしょう?あなたなら出来る、がんばって、』
そんなこと言われても「居場所」なんか解らない、だって望んでいないのに?
そんなふう言われても「出来る」なんて解るわけがない、やりたい意志どこに自分の中あるのだろう?
そうして「がんばって」なんて解らなくなった、これより頑張るなんてどうすればいい?呼吸の仕方すら忘れてしまったのに。
けれど君が言った「いいじゃん」が、深く呼吸する。
「なーんでー今日!来てくれた?」
抱きしめる背中に問いかけて、唇かすめる風が甘い。
轟く波くだける香、慕わしい記憶と声が笑った。
「言ったろー!バイク!走らせたかったんだってー!あと、月!」
低い明るい声おおらかに笑ってくれる。
その声きっと言うとおりなのだろう、バイクと月、それだけで来てくれた。
この男には「ただのオマエのまま」でいいから。
『ただのオマエのままで俺はいいよ、悪かろーが良かろーがどっちでもいいじゃん、』
ただの自分のままでいい、悪くても良くても、どっちでもいい。
只ただ生きている「ただの自分」そんな等身大ただ見つめて、丸ごと笑って一緒に走ってくれる。
だから一緒に今、笑って走ればいい。
「バイク!きもちーなー!月もいいっ!」
「いいだろー!きもちーだろ!日の出も気持ちーぞっ」
ほら?願いそのまま笑ってくれる。
その背中は温かで、慕わしい時間ごと掴んで自分を受けとめ笑う。
抱きしめる温かな背中、頬ふれる潮の風、笑ってくれる低い明るい声、そして輝く夜かける月。
「月しずんでさーっ太陽が昇る瞬間!見たいだろーっ?」
「見たいっ!」
笑って応えて、抱きしめる背中が笑ってくれる。
このまま今どこへ行くのだろう?
どこでも良いかもしれない、この温もりと光と、ただ自分そのまま見てくれる眼ざしと。
そうして真夜中を超えて月、陽はまた昇る。

向日葵:ヒマワリ、花言葉「false riches 偽りの富、崇拝、私はあなただけを見つめる、愛慕」


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