萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

葉月二十四日、金盞花ー never despair

2020-08-24 23:47:01 | 創作短編:日花物語連作
炎天の涯に、 
8月24日誕生花キンセンカ


葉月二十四日、金盞花ー never despair

太陽、黄金に灼けて沈む。

海風が髪ふきあげる、頬なぶる潮が甘く濃い。
睫かすめる風吹きよせる涯、金色まばゆい朱夏が水映る。
辛い甘い風、瞳染める赤い熱い黄金、きらめく光の雲が海に凪ぐ。

「…きれいだ、」

吐息こぼれる声ただ、風光を讃える。
この風に光に放たれていく、この匂いに熱に逢いたかった。
逢いたくて、帰りたくて、そうして募らせた涯に幼馴染が笑った。

「きれーだろー?オマエのふるさとだぞー」
「うん、」

素直に肯いて、頬かすめる香あまく熱い。
踏みしめる砂まだ昼が名残る、熱くるむコンバースを透かす。
足裏やわらかに温かい、砂ふむ靴底、熱、からい甘い香、それから朱い黄金。

ずっと帰りたかった、ずっと。
その風が頬ふれて撫でて、懐かしい寂寥ごと今をくるむ。

金盞花:キンセンカ、花言葉「誠実、変わらぬ愛、初恋、忍ぶ恋」「失望・絶望、悲嘆、寂しさ、別れの悲しみ」

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驟雨に咲く、百合の白秋

2020-08-24 09:40:00 | 写真:山岳点景
雨が洗う、真白まばゆい稜線の秋 
山岳点景:百合ユリ2020.8


ひさしぶりの丹沢は自生の百合が盛り、真白な群落が雨に光っていました。
秋の気配ちょっと涼やかな写真・猛暑日続きの暑気払い×残暑見舞いになればイイなあと、笑
夏休みもお盆も明けて残暑厳しいけれど・近場でも山野は花も風も雨も、炎天に凛ときれいです。
【撮影地:神奈川県2020.8】

夏休み×緊急事態宣言出てないとは言っても×県境越えての外出自粛で近場の里山散歩・のち午後はおうち時間なココントコ週末、笑
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休日雑談、初秋の山×湖底の村人

2020-08-24 00:33:09 | 雑談


ひさしぶり丹沢へ、
と言っても今は丹沢山地の麓に住んでいるから・
だから厳密には丹沢湖メインでドライブってことになるんだけど、笑

あーーひさしぶり登山したいなあー!

っていう・ふらすとれーしょん?みたいなの溜まってはいて、
とはいえ・県境またぐのはアレなワケだから、
だったら・上るなら丹沢山地になる、

んだけど夏の丹沢=ヤマビルまみれ→登りたくないなあ。

登るんなら降雪がっつりの後がいい、ヤマビル凍死するから。
登るならば塩水×緻密繊維でヤマビル防止すればいいんだけど、塩かゆい×蒸暑い。
そんなこんなでドライブまでだなーと丹沢湖までカナーリひさしぶりに行ってきた。

丹沢湖=三保ダムで出来た湖、
この湖底には三保村という静かな山村があったんだけど、
この村に代々住んでいた家の出身っていう高校時代からの友人がいる。

三保村がダムに沈み廃村となったのは、友人が生まれる前のこと。
それでも友人の祖父は、消えた故郷に因んで孫を名付たそうだ。
それくらい美しい村だったのだと。

その村の出身という自負が友人にはある。
その想いから友人は僻地医療を知り、医学の世界に携わる道を選んだ。
そうして今、医療の現場で新型感染症と向き合い、命を見つめている。

もう半年以上、友人は実家に帰っていない。
同じ県内に住んでいるけれど、実家から車で2時間程度だけど、それでも帰らない。

「もし万が一、自分がウィルスを実家に持ち込んだら町の人たちにも申し訳ない」

そんなふうに友人は、電話で、手紙で、話してくれる。
そんな友人の実家は、代替地として同じ村から転居した人たちの町にある。

「もう湖底に沈んだ故郷だけど、自分は生まれる前の村だけど、ふるさとを守る人になりたい」

そんなふうに言って、友人は医療の道を選んだ。
その言葉のままに今、ふるさとを守るため実家に帰らないでいる。

「ほんっとさー、転職しちゃおーか思ったりもするよ?やっぱコワイよ、家族にも会えないし、」

そんなふうに友人は話してくれる、
今は会えない、そう言って電話や手紙で話してくれる。

「でも自分はこれしか出来ないなあってさ、これ以外なにをしたいかー言ってもナンもないんだよね?」

恐い、会えない孤独、
それでも、これしか出来ないと言えることは潔い。
そういう潔癖なまで真直ぐな友人が「こわい」と弱音を吐いてくれたことは、ホッとする。

弱音を吐けるなら、その吐き場所が休み場所にできるなら、人はなんとか踏ん張れる。
そういう吐き場所にしてもらえるなら、友人としてありがたいなあって思う。
自分に吐いて、それで生きてくれるなら、いつか会える日が来る。

弱音を吐いてもらう=再会の約束かもしれない、

そんな想いにホッとする、
そんな再開の約束があるのなら、生きてまた会えるから。
だから返しの言葉は・今年は梅酒を漬けてみたよ、呑みに来いな?だ。

そんな友人のふるさとは今、野生の百合が咲き乱れている。
白い花ゆらゆら湖の風ゆれて、山の雨きらめく雫に輝いていた。

あー、あいつ今日も白衣で走ってるんだろうなあ?

なんて山の花にツイ思い出して、
ひさしぶり一緒に呑みたいなあ、なんて思いながら歩く道、
カエデが赤く染まりだしていた、で、

あー、あいつ酔うと赤くなっちゃうよなあ?

なんて懐かしい×可笑しくて、
何だろう?この何とも言えない想いは。


白百合と紅葉、空と水の青、山の緑、
それだけかもしれないけれど、静かな初秋の風光は穏やかで惹かれます。
たんなる人間関係からの感傷みたいなモンかもしれなけいけど、ソレでもイイは良いです、笑
【撮影地:神奈川県2020.8】

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