萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

soliloquy 風待月act.4―another,side story「陽はまた昇る」

2012-08-26 04:49:57 | soliloquy 陽はまた昇る
透明の青に



soliloquy 風待月act.4―another,side story「陽はまた昇る」

水浅葱、水の色、二藍、青、青藍、勝色、青たちのグラデーション。

グラデーションは『鰹縞』とても粋な縦縞の織。
縞の幅や濃淡で印象は大きく変わる、なかでも大きな縞は粋だと思う。

けれど自分には似合わない、小柄には大胆な意匠は似合わないから。
けれど、恋人にはよく似合う、そういう華やかな意匠の衣たちは。
だから嬉しくなる。
好きな意匠を好きな人が纏えば、見惚れる幸せが生まれるのだから。

軽やかに透ける、絹紅梅の織。
ブルーの濃い淡いに透明度も豊かな、美しい夏の衣。
白皙の肌を透かす夏衣の青は、水と深い風まとうように惹きつける。
ひろやかな背中は暁から夜を統べての空、懐の深みは海のよう佇んで抱きとめる。
どこか懐かしい藍の香は、ふるい遠くの記憶を優しい眠りから覚まさせて、ほら大好きな俤に重なりだす。

藍染めの透かす向こうには、幸せの瞬間が垣間見る。
ふるくて新しい夏の記憶、藍の香と透ける青色の優しい想いたち。
この青い薄絹へ交ぜ織られ続ける、どの瞬間も想いも、ただ幸せが愛おしい。




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