野に、君がため、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/31/ffa1dfaea8a2a63e16a5cb0c32c24dea.jpg)
足もと光る、ほら夜が明ける。
見はるかす漆黒が青くなる、登山靴の足もと銀色またたく。
こんな頂まで来てしまった、厳冬の朝風つい笑った。
「なあ?俺たち星を見たかったダケよな、」
「うん、そうだよ?」
ほら君の声が笑う。
漆黒しずむ雪嶺は横顔が見えない、けれど瞳ふたつ明るむ。
きっと大きな目元ほころんで柔らかい、それが見えるほど同じ時を歩いたから。
「こういう星を見たいから、啓太も僕も大学に入ってここに来たよ。でしょ?」
低めのテノール朗らかに響く、暁闇の風はるか星たち奔る。
この星空もっと遠くて、隣の声もっと高かった。
けれど言ってること変わらない、同じだ?
「おう、あれから13年だな、」
応えて懐かしい、幼い夜と星の約束。
ただ星を見たかった、そのために受験も越えて、時を生きて今ここにいる。
「まだ13年だよ、これからが長いんだから。でしょ?」
ほら君が笑う、黎明ふきはらう声だ。
そうして昇りだす明けの明星、唯一の輝きに笑った。
「おう、ジイサンになっても天体観測しよう。ずっと、」
「もちろん、」
ならんだ足もと光る、ほら夜が明ける。
明けてゆく空に星が呑まれる、それでも消えるわけじゃない。
幾星霜ちりばめる天体あおぐ今、その足もとひとつ、芽生えの春。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/6f/73a643a0cca480dfba51c4af54829b36.jpg)
にほんブログ村
純文学ランキング
![萬文習作帖 - にほんブログ村](https://b.blogmura.com/banner-blogmura-reader-pink-small.svg)
2月16日誕生花フキノトウ蕗の薹
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/31/ffa1dfaea8a2a63e16a5cb0c32c24dea.jpg)
如月十六日、蕗薹―genius
足もと光る、ほら夜が明ける。
見はるかす漆黒が青くなる、登山靴の足もと銀色またたく。
こんな頂まで来てしまった、厳冬の朝風つい笑った。
「なあ?俺たち星を見たかったダケよな、」
「うん、そうだよ?」
ほら君の声が笑う。
漆黒しずむ雪嶺は横顔が見えない、けれど瞳ふたつ明るむ。
きっと大きな目元ほころんで柔らかい、それが見えるほど同じ時を歩いたから。
「こういう星を見たいから、啓太も僕も大学に入ってここに来たよ。でしょ?」
低めのテノール朗らかに響く、暁闇の風はるか星たち奔る。
この星空もっと遠くて、隣の声もっと高かった。
けれど言ってること変わらない、同じだ?
「おう、あれから13年だな、」
応えて懐かしい、幼い夜と星の約束。
ただ星を見たかった、そのために受験も越えて、時を生きて今ここにいる。
「まだ13年だよ、これからが長いんだから。でしょ?」
ほら君が笑う、黎明ふきはらう声だ。
そうして昇りだす明けの明星、唯一の輝きに笑った。
「おう、ジイサンになっても天体観測しよう。ずっと、」
「もちろん、」
ならんだ足もと光る、ほら夜が明ける。
明けてゆく空に星が呑まれる、それでも消えるわけじゃない。
幾星霜ちりばめる天体あおぐ今、その足もとひとつ、芽生えの春。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/6f/73a643a0cca480dfba51c4af54829b36.jpg)
蕗の薹:ふきのとう、花言葉「ひとつの真実、待望、仲間、愛嬌」
![純文学ランキング](https://blog.with2.net/img/banner/c/banner_1/br_c_1671_1.gif)
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
![PVアクセスランキング にほんブログ村](https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv10423136.gif)